やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ヴェーベルン、を聴く (2)

2006-03-21 | 音楽を


弦楽四重奏の為の作品を聴く。
イタリア弦楽四重奏団による、1970年録音の名盤。

破棄されたもの等を除くと、ほぼ、ヴェーベルンのこの分野での全集に近い。
全集といっても、録音時間が60分にも満たない、CD一枚分 。

・弦楽四重奏のため緩徐楽章(1905)
・弦楽四重奏曲(1905)
・弦楽四重奏のための5楽章 作品5
・弦楽四重奏のための6つのパガテル 作品9
・弦楽四重奏曲 作品28

学生時代に作曲されたといふ、10分程の「弦楽四重奏のための緩徐楽章」の美しさに驚く。
恋人への想ひが取り込まれた、といふ解説もありましたが、その硬質な美しさは、
抒情、といふ言葉が素直にあてはまります。
曲自体が、まだ、調性の域にあるので、とても聞きやすく、
消へ入るやうな、弱音の旋律の妙がとてもロマンティック、です。

数年後の、重要な作品とされてゐる、「弦楽四重奏のための5楽章 作品5」は、
早くも、旋律の概念が崩れ(破棄され)、音ははじき出され、再び、凝縮して集められたやうな音楽になってゐる。
勿論、聴きやすい曲でも、楽しい曲でもないのですが、その切り削いだ音楽は、漆黒のなかで、わずかに光るダイオードのやうに絶対的な存在感を示します。


時折聴く、FMなどでの現代音楽は、独りよがり的なものが多く、すぐに閉口してしまふのですが、ヴェーベルンの音楽には、それを突き抜けた”美しさ”があって、暫らく、この作曲家のものを聴いてゆかう、と思ふやうになりました。