やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ヴェーベルン、を聴く (1)

2006-03-15 | 音楽を


先日、吉田秀和氏の評論集を読んでゐて、ヴェーベルンが聴きたくなりました。

アントン・ヴェーベルン。
(1883年-1945年)
アルノルト・シェーンベルク、アルバン・ベルクと共に、新ウィーン楽派の大きな一翼を担った作曲家です。

一世一代の名盤、カラヤン/ベルリン・フィルの演奏で聴きました。

・管弦楽のためのパッサカリア
・弦楽合奏のための5つの小品
・弦楽合奏のための6つの小品
・交響曲

管弦楽曲は、このディスクにある曲で殆んどです。

まったく、呆れるほど見事な演奏でした。
かういった作品の演奏では、やはり、カラヤンの右に出る人はゐません。
(その分、バッハやモーツァルトやブラームスは、無残な演奏になりますがー)

カラヤン独特の、一寸、ヌルっとした音の作り方が、
ヴェーべルンの、鋼のやうな、日本刀のやうな音楽に、少し親しみやすさを感じ、
凄まじく難しい音楽理論によって創られてゐる作品なのでせうが、
小生のやうな凡庸な人間にも、解りやすいものにしてくれてゐます。

どの作品も数分、交響曲に至っては、2楽章で、10分足らず。
ある意味、バロック期のシンフォニアのやうに、短い。
けれど、その中にこめられた音の密度の高さはその比ではない。

絵でいへば、この景色はどこそこを描いたものです、といった具象的なものや、
そんな説明事態を拒否し、純粋に作者の感じたものだけを抽出した、といったところでせう。
まったく、孤高の音楽、といはれるに相応しいものばかりです。

20世紀に入っての音楽ゆゑ、まう、現代音楽といふカテゴリーでもないと思ひますが、そんな、妙なジャンル分けよりも、豊かな森や、深海を想像させるやうな音の連なりに、改めて面白さを感じたところです。