やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

「観光都市 江戸の誕生」 を読む

2006-01-24 | 雑記

「観光都市 江戸の誕生」(安藤優一郎著/新潮社)といふ新書を読みました。

”江戸の観光市場のポテンシャルの高さ”の一端を教へてくれるものでした。
平たく云へば、江戸時代の、神社仏閣といはず、大名といはず、賽銭稼ぎをもくろむそのパワーの凄さに改めて感動する、といふことです。

寺の開帳で、二ヶ月余りで数億の利益を出したとか、大名が敷地内の水天宮を開放してその賽銭だけでも一年間に2億近くになった、とかー。f^_^;)

前回読んだ桜の話と共に、強く感じるのは、明治維新が如何に江戸時代のレガシーを封印したかといふことです。

戊辰戦争の時、ここ山形の地も、奥羽越列藩同盟の双頭の雄米沢藩が薩長側に対し早々に白旗をあげ、山形藩や天童藩はひたすら事態から逃げ、当時全国最強を誇った屈強の庄内藩が孤軍奮闘の戦ひをしてゐました。
戦ひ済んで、知事として赴任したのは薩摩!出身の三島通庸でした。山形のポスト江戸の基礎は彼が創ったといっても過言ではないですが、封印したものもまた沢山ありました。

幕末の対応の貧しさはありましたが、”江戸時代は素敵だった!”といふ視点でみると、現在の世の中の動向が合せ鏡のやうに映ってきます。