やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

シェリング/オール・バッハ・コンサート

2005-10-28 | 古きテープから

1976.4.12 東京文化会館
(Vn)ヘンリク・シェリング (Pf)マイケル・イサドーア
プロブラム:1,バッハ/ヴァイオリン・ソナタ第3番
       2,”  /無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番
       3,”  /無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第1番
       4,”  /ヴァイオリン・ソナタ第6番
       5,”  /”      ”   第1番から「アンダンテ」


30年近くも前、シェリング58歳の時の来日公演。
決して、テープの劣化や時間の経過ばかりではないだらう、改めて聴いて見ると、
思ひのほか、ヴァイオリンの音色に艶がない。
一曲目のヴァイオリン・ソナタなどは、一寸心はずむ演奏には聞こへない。

けれど、有名なパルティータの2番になると、ソロになったせゐなのか、ホールの音響のせゐなのか、奏者のコンディションのせゐなのか、中音域に張りがでて来て
その落ち着いた音色が、30分近くの曲を一気に聴かせるものになる。
終曲「シャコンヌ」は、光り輝く安っぽいビルとは正反対の、古色な建物のやうに、どっしりと光と影に彩られてゐる。

後半の、無伴奏ソナタの1番もまた、妙な美しさを求めない演奏です。
終章のプレストが素晴しく、全体の曲の創り方も、手中の演奏です。


ソロとデュオとの組み合はせとはいへ、全てバッハといふ重いプロブラムにも関はらず、ホールは熱い拍手で閉じられてゐました。



(写真は、LPのジャケットから借用)