やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

バルトーク/「弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽」

2005-09-25 | 音楽を
最近、妙にバルトークが聴きたくてー。

バルトーク晩年の、代表作です。

手元にあったものから、ライナー/シカゴ交響楽団(1958録音)、ブレーズ/シカゴ交響楽団(1994録音)、デュトワ/モントリオール交響楽団(1987録音)を聴いてみました。

やはり、ライナーの演奏が素晴しかった。レコードの時には、音の貧しさが気になってゐましたが、CDになったものは音が鮮明になり、引き締った、けれど、有機的な美しさがあって他の演奏から抜きん出てゐます。

小生のお客様に指物師をされてゐた方がをられます。
以前伺ったときに、障子の桟はどこまで細くできるのだらう、と話したことがあります。その方は、七厘(約2mm強)だといはれ、実際に茶の間の襖はそれに近い細さの組子でした。
バルトークの音楽を聴きながら、そのことを思ひ出してゐました。
細く絞り込むことによって痩せるのではなく、強靭なバネと美しさを生み出してゐます。勿論、裏打ちされた作曲上の技術が完璧なのでせうが、凡庸な小生にはそのあたりの難しい理論は分かりません。

そもそも「弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽」のタイトルが示すやうに、まったくもって、味も素っ気もないタイトル、です。
基本的に、物語性を排除したものです。
”音”を列挙しての音楽、なのです。
各楽章には、フーガがあり、アーチ形式の構造とかがありますが、そこに何かを求める、といったものではありません。
けれど、聴くたびに耳をそばだてる興奮を起こすのは、同時代的には解体へ向かってゐた作曲の世界には振り向かなかった、あるひは、振り向けなかった切羽詰った産物なのかもしれません。