rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型コロナウイルスは宿主細胞の抗ウイルス作用を抑えて増殖するらしい

2021-11-29 18:06:59 | 医療

日本は2021年11月現在幸いにして新型コロナの流行は抑えられていますが、諸外国は冬を迎えて爆発的に患者数が増加している地域もあります。流石に初代新型コロナ用に作ったワクチンが、既に別物である「変異ウイルスにも感染予防になる」という嘘は付ききれなくなりましたが、重症化予防になる(だろう)という一縷の望みをかけて「3回目ブースター接種」が勧められています。本音は「ワクチン接種証明義務化」による「国民のデジタル管理推進」なのですが、「皆さんのため」と言わないと従ってもらえないのでそうしています。嘘をつききれなくなって「従わなければ強制的に施設入所・隔離」という法的強制処置を始めたオーストラリアや欧州の一部の国も出始めました。いよいよ社会体制としては「陰謀論と言われていた事態の現実化」が始まったようです。

 

新型コロナウイルスが感染細胞から排出される仕組みが初めて解明

 

私は科学論文から新型コロナウイルスやワクチンについての疑問の検討を続けます。

ウイルスは宿主の細胞に入り込み、そこで宿主細胞の機構を勝手に使って自己増殖をして再び細胞から出てゆくのですが、大まかな動きは理解されていても具体的な細かい機序については判っていないというのが本当の所です。今回2020年9月のCellと言う雑誌に新型コロナウイルスを含むβコロナウイルスが宿主細胞から排出される仕組みというのが初めて明らかにされました。細胞は核から蛋白合成の指示を、mRNAを介して受けると、リボソームRNAで合成し、粗面小胞体で貯蔵されて滑面小胞体で代謝・活用されます。ホルモンやサイトカインなど細胞外へ分泌される時はゴルジ体を経由してリソゾームに取り込まれて細胞外に排出されます。これが正常生物合成経路(Normal biosynthetic pathway)で、インフルエンザなどのウイルスもこちらの経路を使って細胞外に排出されると言われています。しかしコロナウイルスはリソゾームの酸性によるウイルス障害作用を中和して不活化し、自分に都合が良いキャリアにして排出している(lysosomal trafficking)と言うのです(下図)。その結果、通常経路で排出されるとウイルスに免疫細胞が反応しやすくなるような修飾が行われるのを障害する可能性があるというのです。ちなみにリソゾームで別々に作られたウイルスの成分が再びウイルスとして形成されるのは小胞体—ゴルジ体仲介成分(ERG intermediate compartment、ERGIC)と呼ばれる所で行われるとされ、そこからある物はウイルスとして、ある物はスパイク蛋白だけが分解されて細胞外に排出されると考えられていました。(下図)

論文で用いられた模式図 下半分がコロナウイルス特異的な細胞外への排出システム

 

ワクチンで三量体のスパイク蛋白がERGICで作られる

 

mRNAワクチンの形で外から与えられたスパイク蛋白の遺伝子は同様に小胞体の膜で蛋白成分として造られて、小胞体ゴルジ体仲介成分で三次(立体)構造が3個合わさった三量体(4次構造)になって出来上がったスパイク因子として蓄積され、TGN(トランスゴルジネットワーク)で一部分解されてレセプター結合部位、N末端結合部位などに分かれて細胞外に出されるか、三量体のまま細胞外に排出されます。以前阪大の研究者らが明らかにした新型コロナウイルスの抗体依存性免疫増強のしくみで紹介した様に、ウイルスの中和抗体はスパイク蛋白内にあるいくつかの結合部位のうち、レセプター結合部位(RBD)に対する抗体であって、N末端結合部位(NTD)に対する抗体は抗体依存性免疫増強(ADE)に寄与する可能性があるのですが、RBDのみを作成するmRNAワクチンが作れないのは下図の様に宿主細胞が小胞体で蛋白の4次構造まで作らないと正しいスパイク蛋白ができず、結局有効な中和抗体が免疫として造られないからと思われます。4次構造を示す3量体が細胞内のフリンで分解されてS1とS2に分かれ、S1のRBD部分がACE2と結合し、毒性を発揮すると考えられます。だからこの構造まで作られないRBDのみのmRNAでは蛋白構造が異なるので有効な中和抗体ができないのかもしれません。

ウイルス(a)とワクチンによるスパイク蛋白(b)の合成と排出の違い   スパイク蛋白は同じものが3つ集まった三量体の状態で小胞体膜上で合成される(a) 単体の状態が(c)、場合により三量体が膜上で酵素で分解されてS1とS2の部位に分かれる(d) (Heinzらの論文2021による)

 

スパイク蛋白に多くの変異を持つオミクロン株はワクチンが効かないかも

 

既に報道されている様に、南アフリカで同定された新しい変異種であるオミクロン株は、スパイク蛋白だけで32か所の変異を持つとされます。これだけ変異するとアミノ酸の変化も多くなり、上記の蛋白の3次構造も当然変化すると考えられ、それを認識する抗体も抗原を認識しなくなる(今までのワクチンが効かなくなる)ことが予想されます。幸いBlombergの記事によると、現状ではオミクロン株は感染力は強くても毒性は低そうだとされ、症状の軽いオミクロンがαやデルタ株を駆逐してくれると新型コロナの流行は一度自然消滅するのかもしれません。そうなるとワクチンパスポートも不要になり、経済のリセットも半ばにして頓挫する結果に終わるかもしれません(すごく楽観的な予想)。

 

いずれにしてもウイルスや分子生物学は不明なことばかり

 

コロナウイルスの細胞からの排出機構が昨年初めて明らかになった様に、ウイルスや分子生物学について、我々は現在も解明できていない事が多数あります。遺伝子ワクチンの長期作用についても同じ。医師や科学者達が解っていない事を含めて科学的・医学的に解明済であるかのように「大丈夫」とか「こうした方が良い」などと言うのは誤りです。それは「学者としての学問的発言」ではなく「単なる政治的発言」です。政治的発言になることに嫌気がさして最近あまりメディアに出なくなった専門家もおられますが、情報を受ける側も、あまりに断定的に発言している専門家は「政治的発言」をしているに過ぎないと言う目で見た方が良いだろうと私は思います。

参考までに私が昔学位論文を書いていた時分(1990年代)に自身でやっていた懐かしいPCR検査の結果が、本棚整理の時に大量に出てきたのでその一つをスキャンしてみました。話題のPCR増幅回数ct値は当時の標準として30回で行っています(それ以上だと非特異的増殖が増えすぎる)。ゲルに流して目的とするバンド(cDNA)が奇麗に出ていますが、非特異的なバンドが出ている物もあり、現在のリアルタイムPCRは、RNA抽出やRNAの濃度調整もせず、またゲルで増幅された遺伝子の大きさの確認もせずに、増殖されたバンドの有無を蛍光で見ているだけなので、PCR検査を開発したキャリー・マリス氏が警告した様に、化学分析や陽性者の確率が高い集団内で陽性を確認するには適していますが、陰性前提の感染症判定スクリーニングには精度上問題がある事が分かると思います。

1-4,8-12は異なる培養細胞のEGFreceptor mRNAの発現を、5はリガンドの一つであるTGFαを見ています。プローブの設計で増幅されるcDNAの大きさが異なるので区別できます。6は非特異的なバンドが多く、検査不適格、7はサイクル数を上げると他と同様に陽性となってしまい、有意な発現か不明になります。両脇はcDNAの大きさを図るマーカー(メジャー代わり)。

コメント (2)
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