タミヤ製の1/72 IL-2 シュトルモヴィクを作りました。IL-2空飛ぶ重戦車と言われる地上攻撃機で、戦車T34と同じ位第二次大戦の雌雄を決する役割を果たした兵器と言って良いと思われます。第二次大戦時に作られた全ソ連機11万機のうち1/3にあたる3万4千機がIL-2だったと言われていることからもその重要性が解ると思います。スターリンから直接「空気やパンと同様赤軍にはIL-2が必要なのだ。」と評されたことからもいかにソ連軍内で重視されていたかが解ります。Strumovikとは「強襲する」という意味があり、広いロシア平原における空からの戦車機甲部隊の攻撃が主な任務です。この空からの機甲部隊攻撃の重要性は皮肉な事に日本と死闘を繰り広げた1939年のノモンハン事変で再認識されることになりました。1938年の時点で強装甲の偵察攻撃機としてIL-2は設計試作されていましたが、日本の97式軽爆が空力特性の向上で爆弾槽を胴体内に設けていたことから狙いを定めた低空降下爆撃ができず、地上攻撃に特化した機体の開発の重要性が認められIL-2やドイツのHs129に繫がって行きます。
IL-2の実機 機首が特徴的なスタイル 後席は窓が外されている。 タミヤ1/72 IL-2 シュトルモヴィク エデュアルド製のもあるのでいずれ作ります。
IL-2の外見の特徴は地上攻撃がし易い様にノーズが低く長く伸びて、えぐれた様な空気取り入れ口が操縦席の前にある事ですが、これも本来地上からの攻撃に弱い液冷エンジンの冷却を装甲板に守られた胴体内で行うための工夫であり、上から取り入れた空気を胴体内の冷却装置を通して翼下に逃がす構造によります。当初単座であったIL-2も後方から100mまでMe109戦闘機に迫られて20mm機関砲で攻撃されては厚い装甲も形無しで、初期は平均14回の出撃で損失するという高い被撃墜率だったことから現場で後方に銃座が設けられフィールドモデルとして使われます。1942年からは正式に複座型が採用され以降は発展型のIL-10も複座型になります。IL-10は朝鮮戦争にも北朝鮮軍として使用され、米軍への攻撃に使われました。
ドイツ軍の1/76ハーフトラックと米軍のジープ微妙に縮尺が違いますが、大きさの比較にはなると思います。
模型はさすがに世界のタミヤ模型で安定の作りであり、1/72ながら操縦席内の作り込みも細かく、後席の銃手の席がハンモック型であることも再現されています。整合も奇麗なのですが、不要な小さな突出が初めから作られていてカッターで削り取る様に制作図で指示されています。1944年レニングラード戦線の566攻撃航空連隊の機体を作りました。下面ライトブルー、上面はライトブラウン、グリーン、ダークグレーの液体マスキングゾルを使ったスプレー迷彩にしました。攻撃される側代表で中学の頃作ったドイツ軍の8トンハーフトラックと米軍のジープと並べると空飛ぶ重戦車の大きさが解ります。小型戦闘機のポリカルポフI-16と比べても大型であると思います。