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rakitarouのきままな日常

人間の虐待で隻眼になったrakitarouの名を借りて人間界のモヤモヤを語ります。

ディストピアを礼賛する地下鉄サリン30年目の東京新聞社説

2025-03-21 15:50:47 | 社会

地下鉄サリン事件30年目を迎えて、各新聞メディアらは事件を振り返る種々の特集を組み、多くの犠牲者を出した無差別テロ事件を風化させまいとする論説を張りました。その目的とするところは良いと思われるのですが、2025年3月20日東京新聞の社説『「陰謀論」に勝る理性こそ』には驚かされました。メディアやジャーナリズムが「権威を疑う事」「謙虚であること」という原則を失い、権力に阿り大衆を下に見て自らの権力を「報道の受け手」を従わせる道具にするという劣化が起こって久しいと痛感していたのですが、この社説は余りに痛い内容であり、メディア劣化の記録としても残しておく意義があると考えブログ題材としました。

 

〇 疑惑を陰謀論で片づけず、科学的思考と理性で判断する重要性

地下鉄サリン事件30年を記して、事件を知らない若い人にも理解しやすい様に「オウム真理教」や事件の概要を説明する事は良いと思います。そして信者を一般社会から隔絶した世界に閉じ込め、生活上必要な全ての金銭を供出させ、教祖の宗教的権威は詐欺的幻想と極限的環境を与える事で正常な判断ができない状態にするといった説明もその通りと思います。しかしここで大事なのは、当時一流大学の理系学生達の多くが教義に賛同して活動に参加したのは何故か、多くの疑惑がありながらメディアがある種スター性を持って教祖や幹部を紹介、報道したのは何故か、そして何故最終的にサリン散布による大量無差別テロという結論に結び付いたのかという論説であるはずです。

しかし社説が導く結論は驚くことに以下の様な内容でした。そのまま引用します。

 

(引用開始)

 

「予防」で有害性を知る

 

 横浜国立大学の村山太一助教らが約2万人を対象に行った調査では「ワクチンの有害性は隠されている」「在日外国人が政治家やメディアを操っている」「地球温暖化はデマである」という陰謀論を「正しい」と答えた人はそれら言説を知る人々のそれぞれ約15%、約9%、約8%を占めました。

 状況を複雑にしているのは、いったん信ずると正常な判断に戻ることが困難なことです。陰謀論を否定する証拠を示しても、改善がほとんど見られないそうです。

 村山さんは「効果的なのは『予防』」と説きます。陰謀論に触れる前にその有害性を知り、科学的な真実を学んでおくことです。

 SNSや読書の履歴などデジタルデータを解析して、陰謀論に陥りやすい条件を備えた人々を割り出し、いち早く注意喚起する手法も研究されています。

 陰謀論を信奉する人の特徴として、直感に頼る傾向や孤独感が指摘されています。思考停止に陥らずに熟慮する姿勢や、家族や友人ら信頼できる人々とのコミュニケーションも大切なのです。

 戦争や気候変動、少子化、財政難など将来の不安や閉塞感を打ち破ろうと、極端な主張によりどころを求める人がいるかもしれませんが、それが悲惨な結果を招くことは教団が証明しています。衆知を集め、理性的に解決する姿勢こそが陰謀論を打破できるのです。

 

(引用終了)

 

いちいちツッコミは入れませんが、余りの内容に脱力とため息しか出ません。ジョージ・オーウェルの「1984に描かれたディストピアこそが混乱のない統制された社会を築く基である」と2025年の新聞は堂々と社説で述べるようになったのです。一方的な言論のみを真実と洗脳され、異なる意見、異論反論に接することを社会から隔絶されることで予防的に禁じられた結果「オウム真理教の悲劇」が起こったと言いながら、権力側の一方的結論のみが正しく異論反論を陰謀論と一括りにしてそれに接しないためには予防的に抹消(バン)することが大事だという論説を展開するとは少しは恥ずかしいとは思わないのだろうかと思います。

これがどこぞの宗教関係のプロパガンダ新聞ならば「あり」でしょうが、読者から金を取って記事を書いている、しかも「東京新聞」なのですから畏れ入ります。

 

〇 疑う事を禁じたら既に科学(サイエンス)ではない

 

当ブログでは今まで何度もカール・ポパーの反証可能性について触れました。私の東京医科大学における最終講義でも科学は疑いを持つことから始まる事を学生達への置き土産として話すことから始めました。以下に学報雑誌に掲載された私の最終講義の冒頭部分を載せます。

 

(引用開始)

 

  1. 医学と医学教育の位置づけ

 最終講義を行う上で、医学と医学教育における大前提について話します。一つは、大学教育は高校までが「必ず答えの出る問題について学ぶ場」であるのに対して、大学は「必ずしも答えの出ない問題をいかに考えるか、という方法論を学ぶ場」である事です。だから普通は大学卒業にあたって独自性のある「卒業論文」を仕上げ、「方法論を学んだ証」とします。しかし現在の医学教育は「医療の均霑化」という国民の要求に答える必要もあって全国一律の教育目標の下、ある意味「専門学校化」して「未知への探求」を教育目標には上げていません。答えの出ない問題探求は大学院での医学研究で学ぶ事になりますが、国家試験では必ず答えが出る医学も実臨床の現場では必ずしも答えが一つとは限りません。

 もう一つの大前提は、「西洋医学は演繹法で答えを出す自然科学の一分野である」という事実です。オーストリア生まれの英国の哲学者、カール・ポパーは1934年「探求の論理」を著し「演繹法に基づいたパラダイムの構築には反証可能性(疑問を持って検証すること)が必須である」と提唱しました。つまり自然科学の成立には常に「仮定、論理展開(研究)、結論」という演繹法の各ステップに疑問を持ち続け、疑問には確実な検証で答える必要性を強調したのです(図)。そしてこの理論が自然科学の成立には必須の条件であると受け入れられて来ました。疑問の提示を「禁止する」事は科学においてはあってはならないのであり、あらゆる「当たり前」とされる事にも疑問を持ち続ける事が「科学の進歩」と「信頼性」には必須なのです。

(引用終了)

 

〇 専門家 ≠ 正しい政治決断

新型コロナワクチンの効果、安全性についての国会質疑で、「専門家による審議会」という権威で押し切る厚労省

政府各省庁が政策を進めるにあたり、その決定には必ず「専門家による審議会」で検討が行われます。科学技術の進歩により、物事を決定するにはその分野の知識が豊富な専門家による検討が必須であることは当然と思います。しかし専門家の役割は、当該問題事項について非専門家でも理解できるように物事の利点欠点などを解りやすく整理解説する事であり、最終的な決断は責任権者(政治家)が名前と顔を出し責任を明確にした上で行う必要があります。そして専門家は正しく解説はできるでしょうが、政治的決断が正しいという保証はありません。これは当然の事実ですが、「専門家の判断=正しい」がデフォルトとして刷り込まれているために、「専門家の判断に異議を言えない」「専門家の判断に責任は問えない」という形で「専門家による審議会」は政府役人にとって都合よく利用されているのが現実です。コロナワクチンに関する政府の答弁でも「専門家による審議会」という免罪符を多用してまるで専門家が常に正しい政治判断を下している前提で追求がかわされます。

 

〇 軍におけるジェネラル(将軍)の重要性

 

常に合理性が追求される軍事組織は、専門家と最終決断を下す権力者を明確に分けている事が手本となります。自衛隊や米軍では兵科といってそれぞれの士官、兵は軍内での自分の専門性を持って仕事をします。自衛隊では歩兵は普通科、砲兵は特科、戦車は機甲科であり、軍医は衛生科に属し、それぞれ軍服には専門科の徽章を付けます。徽章を見ればその軍人は何が専門かが解ります。例えば高射特科、偵察、需品、輸送、施設(土木工事)、法務など数多くあり、それぞれに軍の専門学校があります。これは旧軍でも同じで、私の父は一ツ橋在学中に学徒動員に取られたため陸軍主計少尉(今の会計科)でした。

この専門科は一佐(大佐)が最上級の位であり、将軍(ジェネラル)になると徽章を外して全ての科に精通(名前の通りジェネラル)する存在として最終決断を下す立場になります。勿論もともとの得意とする専門科はあるのですが、ジェネラルは幕僚会議などで一佐までの科ごとの専門家が示す状況解説を総合的に判断して軍の活動目標が達成できる決断を下すことになります。当然専門家と意見が異なる事は多々あります。ジェネラル(将軍)は「専門家がこう言ったから」という言い訳は一切しません。なぜなら軍の行動に対する決断は自分の責任で行っているからです。

私も師団司令部の医務官(幕僚)であった時、冬場の演習でインフルエンザの流行で部隊の無効率(病欠者による部隊の活動率)がどの程度であるかを日々師団長、幕僚長に報告し、人事(一部長)や後方支援(衛生を含む四部長)らと協議しながら防疫処置の必要性などを師団長に意見具申しました。

余談ですが、日本には制服自衛官の最高位である統合幕僚長(四つ星)は一人です。第二次大戦時、1,500万人の米軍を従える四つ星将軍は3名でした。しかし現在米軍(130万人)の四つ星将軍は44名もいます。多くの船頭が権力分散して自己主張すれば総合的な戦力は弱くなります。現在の米軍はウクライナ戦争で戦力が3倍に増加したロシア軍には勝てないと言われる所以です。

 

誰がどう言おうが決断は責任者(石破総理)が下さねばならない

決断を下すのは政治家(総理・大臣)なのですから、国会答弁において、「専門家による審議会」云々という言質は禁止すべきではないでしょうか。

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ウクライナ戦争の行方

2025-03-15 10:48:41 | 政治

この1か月ほどの間で3年間続いたウクライナ戦争の帰趨が変わりつつあります。時系列的にこれらの動きをまとめます。

〇 2025年2月14日ゼレンスキーは欧州安全保障会議がミュンヘンで開催される事に先立ち、謎のドローンをチェルノブイリ原発に突入させ、ロシアが核汚染の拡大と紛争継続を意図しているとアピール。

〇 2025年2月14日ヴァンス副大統領はウクライナに鉱物資源の50%を差し出す様投げかけたが、ゼレンスキーは拒否。米国のスコット・べセント財務長官もウクライナの鉱物資源採掘権が米国の防空支援の対価だと表明。

〇 一方ヴァンス副大統領はEUの真の敵はEU内部に存在する(グローバリスト・ネオコンの欧州ブランチといえる首脳達である)と意味深長な演説を行い、戦争継続に固執する首脳達を震え上がらせた。

 

〇 2025年2月18日米ロ代表がサウジアラビアのリヤドで戦争終結に向けての協議を開催した。アメリカ側はルビオ、ウィトコフ、マイク・ウォルツの3名で構成され、ロシア側はラブロフ、プーチンの外交政策担当補佐官ユーリ・ウシャコフ、キリル・ドミトリエフの4名で構成される。ロシアの国連代表、ワシリー・ネベンジャ氏は、ヘルソンとザボリージャなどロシアが占領した地域はウクライナから永久に失われると国連で発表。ロシアはクルスクと領土譲歩や土地交換について協議することはなく、ウクライナの非武装化は依然として絶対条件となるとした。結局この会談は交渉の準備段階に終わった。

〇 2025年2月26日プーチン大統領はウクライナのドンバスを含むロシアの希土類、鉱物資源の開発を米国と協力することを公の場で述べる。同時にウクライナへは降伏を勧告。

〇 2025年3月1日、ホワイトハウスを訪れたゼレンスキーはトランプ大統領、ヴァンス副大統領らと口論になり、事実上米国からたたき出され、鉱物資源提出と支援継続についての交渉は決裂した。

〇 2025年3月3日NATOとEU首脳は追い出されたゼレンスキーを励まし、「僕たちは仲間だ!」という掛け声のみの支援集会を開く。「英仏合同の平和維持軍派遣」がウクライナの安全を保証すると発表したが、実効性に乏しく説得力に欠ける。また何百億ドルもの援助を大々的に約束するが、イタリア、ポルトガル、スペイン、ハンガリーなど複数のEU加盟国が反対。

 

〇 2025年3月5日 米国はウクライナへの軍事援助、情報援助を停止と発表。ただしその他のファイブアイズへの情報提供は続けるため迂回された情報はウクライナへも届くと言われる。ウクライナ軍をLBSの「盲目状態」から救うため、フランス、ノルウェー、英国、ルーマニアのNATO専門家が戦闘に派遣。リトアニア、ルーマニア、ドイツ、トルコのNATO空軍基地のSIGINTステーションはフル稼働。ウクライナ国境沿いのフランスとイギリスのAWACS偵察機の活動も活発化。

一部の東欧反ロシア政治家はロシアと欧州を再度戦争に引き込みたいと願っている。英国王室はゼレンスキーを猿か何かと思っているようだ(相手が裸でも気にならないのは人間と思っていないから。貴族の考え方とはそういうものです。)

一方ドイツ国防省はウクライナへの物資供給は既に限界であると表明。

〇2025年3月6日欧州はウクライナへの効果的支援を米国に代わって行うEU内の協定の成立に失敗した。マクロンが提唱したフランスの核の傘という表現も架空のものになった。

 

〇2025年3月9日ロシア特殊部隊はクルスクのウクライナ軍占領地区にある停止されたガスパイプラインを通って占領地区のスジャを奇襲攻撃、パニックに陥ったウクライナ軍から都市をほぼ奪還した。クルスク侵攻で同部に残された外国傭兵を含むウクライナ軍数千名は孤立状態となった。

クルスク撤退を取引材料とするウクライナの最期のカードは消滅した。

 

〇2025年3月11日ウクライナはモスクワの住宅地を91機の無人ドローンで攻撃、他にも126機はクルスク地方の攻撃に使われた。停戦交渉と並行した軍事的に意味のないモスクワ市民への攻撃はウクライナにとってマイナスでしかないと思われます。

モスクワ市民への軍事的に意味のない攻撃に対して、ロシア軍はウクライナエネルギー施設を大量のミサイルで攻撃倍返し

 

〇2025年3月12日サウジアラビアのジッダで米国・ウクライナの高官協議が行われ、ロシアとの30日間の停戦で合意し、ロシアへ内容を伝える事が共同声明で明らかにされた。問題は8時間もかけて何が話し合われたか、ウクライナがロシアの主張をどこまで飲めるかだったと考えられます。

 

〇2025年3月14日プーチン大統領は米国提案に条件を付け、ウクライナの中立化、非ナチ化、併合した4州の安全を認める事で戦争終結に向けることができると表明。同氏はモスクワでベラルーシのルカシェンコ大統領と会談後に開いた記者会見で、「敵対行為の停止という提案に同意する」と表明。同時に「長期的な平和につながり、危機の根源的な要因を排除するものでなければならない」と述べた。

その上で、トランプ氏の戦争終結に向けた取り組みについて「この考え自体は正しく、われわれは明確に支持する」とし、「平和的手段によって紛争を終わらせるという考えを支持する」と述べた。ただ「協議する必要のある事項がある」とし、トランプ氏と電話会談を実施する可能性があると語った。

ボールは再び米国・ウクライナ側に戻ったと言えます。

今後2回目のやり直しトランプ・ゼレンスキー会談でプーチンの案を受け入れればそのまま和平が成立するでしょう。但し米国はウクライナ国内の鉱物資源などの採掘権50%を要求して、米国(企業)がウクライナに存在することがウクライナの安全保障であると言い張るでしょう。米国は前記の様にロシアとも鉱物資源の共同開発を進めており、梯子を外されたEU(グローバリスト欧州ブランチ)だけがロシアとの戦争モードで残されることになります。

追記 2025年3月22日

ロシアのプーチン大統領はトランプ政権が提案したウクライナとの停戦案は拒否し、トランプ氏の顔を立ててエネルギー施設などへの攻撃を一時停止する事は了解しました。しかし領土割譲やウクライナの非軍事化を含む今までのロシアの主張をウクライナが承諾して、西側がNATO領域(ポーランド以西)まで確実に引き上げない限り停戦に合意することはないでしょう。その理由をラリー・ジョンソン氏が纏めていたので備忘録として以下に転載します。

(引用開始)

ロシアが「恒久的な」停戦を受け入れない理由を理解する

2025年3月21日ラリー・C・ジョンソン

ドナルド・トランプは、ロシアを説得して停戦を受け入れさせ、ウクライナ戦争を一時的に停止させることに成功することはないだろう。なぜなら、ロシアはこれまで西側諸国が支援する停戦で何度も痛めつけられ、騙されてきたからだ。停戦を求める動きはパターン化している。つまり、ウクライナ軍はロシアが支援する部隊にやられ、降伏する代わりに停戦を嘆願するのだ。ロシアは2014年と2015年の2回停戦に同意したが、その後ウクライナに破られた。

それでは、2014 年 9 月からの歴史を振り返ってみましょう。

ウクライナは、主に軍事的、政治的、人道的要因の組み合わせにより、2014 年 9 月に停戦を求めた。その年の初めに始まったウクライナ東部の紛争は大幅​​に激化し、多数の死傷者、広範囲にわたる破壊、人道的危機を招いた。以下は、当時ウクライナが停戦を求めた主な理由である。

1.軍事的挫折と損失

  • 2014年9月までに、ウクライナ軍はドネツクとルハンスクでロシアの支援を受けた分離主義者に対抗する努力で大きな損失を被った。ロシア軍と装備の支援を受けた分離主義者は、 2014年8月下旬のイロヴァイスクの戦いを含むいくつかの重要な戦闘で優位に立っていた。この戦闘中、ウクライナ軍は包囲され、数百人が死亡、負傷、または捕虜になるなど、大きな損害を被った。
  • ウクライナ軍は長期にわたる紛争への備えが不十分で、ロシアの支援を受けた武装が整い組織化された分離主義勢力と効果的に戦うための十分な訓練、装備、資源を欠いていた。

2.人道危機

  • この紛争は深刻な人道危機を引き起こし、何千人もの民間人が死亡または負傷し、100万人以上が家を追われた。ドンバスの都市や町は大きな被害を受け、水道、電気、医療施設などの重要なインフラが破壊された。
  • 停戦は暴力行為を止め、被災地に人道支援を届け、民間人に救済を提供する手段とみなされていた。

3.国際的な圧力

  • 欧州連合、米国、欧州安全保障協力機構(OSCE)を含む国際社会は、紛争の沈静化のため、ウクライナと分離主義者らに停戦に合意するよう求めた。平​​和的解決を見出すための外交努力が進められており、停戦は必要な第一歩とみなされていた。
  • 2014年9月5日に署名されたミンスク議定書は、三者接触グループ(ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構)の仲介により締結され、停戦の確立、重火器の撤退、政治交渉の開始を目的としていた。

4.政治的配慮

  • ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、戦闘を終わらせ、さらなる人命の損失を避けるよう国内から圧力を受けていた。ウクライナ国民は紛争にますます疲弊しており、国の安定と経済への長期的な影響を懸念していた。
  • 停戦は、ウクライナが軍を再建し、防衛力を強化し、西側同盟国からの追加支援を求めるための時間を稼ぐ手段とも考えられていた。

5.ロシアの関与とエスカレーション

  • 2014年9月までに、ロシアが分離主義者に軍隊、武器、兵站支援を提供し、紛争に直接関与していることが明らかになった。このエスカレーションにより、ウクライナが軍事的勝利を達成することはますます困難になった。
  • 停戦はロシアのさらなる介入を防ぎ、現地の状況を安定させる手段とみられていた。

6.経済的負担

  • この紛争は、すでに汚職、経営不行き届き、そして2014年のユーロマイダン革命の余波に苦しんでいたウクライナ経済に、大きな負担をかけた。戦争は、特に重要な経済拠点であったドンバス地方の工業生産をさらに混乱させた。
  • 停戦は紛争の経済的損失を軽減し、ウクライナが改革と復興に集中できるようにする手段とみなされていた。

2014年9月の停戦の結果

2014年9月にミンスク議定書によって確立された停戦は脆弱で、主にウクライナによって頻繁に破られた。一時的に戦闘の激しさは緩和されたものの、紛争に永続的な解決をもたらすことはできなかった。

結局、2014 年 9 月にウクライナが停戦を求める決定を下したのは、紛争の厳しい現実と、人道的懸念を優先し、状況を安定させ、外交的解決を模索する必要性を反映したものでした。しかし、紛争を引き起こした根本的な問題は未解決のままであり、その後も暴力が続くことになりました。

ウクライナは、ドンバス地域で進行中の戦争で暴力が激化し、軍事的に大きな後退を余儀なくされたため、2015年1月に停戦を求めた。2014年9月に署名された最初のミンスク議定書は、地方分権化や国境監視などの措置を通じて停戦を確立し、紛争を解決することを目指していた。しかし、2015年初頭までに、特にロシアがドネツク国際空港で勝利し、デバルツェボで新たな攻勢を仕掛けた後、戦闘が激化したため、この合意は完全に崩壊した。

ウクライナは、大きな損失と高まる国際的圧力に直面し、さらなる軍事的敗北を防ぎ、状況を安定させようとした。和平交渉への新たな取り組みは、2015 年 2 月 12 日に調印されたミンスク II 合意で最高潮に達した。この合意には、即時停戦、重火器の撤退、捕虜交換、ドンバスの一部に自治権を与える憲法改正などの条項が含まれていた。ウクライナの取り組みは、さらなる不安定化を避け、ロシアを侵略者として描写することで国際的支援を集める必要性によっても推進された。ウクライナを支援する西側諸国は、ウクライナ軍がドンバスで民間人を繰り返し砲撃していることを無視した。

ミンスク合意 II は、ウクライナ東部におけるウクライナ政府軍とロシアの支援を受けたドネツク州およびルハンスク州の分離主義者との間の紛争を解決することを目的とした一連の措置である。ロシアは交渉で重要な役割を果たしたが、主たる署名国ではなかった。代わりに、この合意はウクライナ政府とドネツク州およびルハンスク州の指導者の間で締結された。この合意は、ウクライナ、ロシア、フランス、ドイツの指導者と分離主義者地域の代表者による交渉を経て、2015 年 2 月 12 日にベラルーシのミンスクで調印された。

ミンスクII合意の主な規定は以下のとおりです。

  1. 即時かつ包括的な停戦: 停戦は2015年2月15日深夜に発効する予定でした。
  2. 重火器の撤退:両陣営は安全地帯を作るために前線から重火器を撤退させる。
  3. 監視と検証:欧州安全保障協力機構(OSCE)は停戦と重火器の撤退の監視と検証を任務としていた。
  4. 権力の分散化:ウクライナは、ロシア語の使用権や地方警察の設立権など、ドネツク州とルハンスク州にさらなる自治権を与える憲法改正を実施することに合意した。
  5. 地方選挙:分離主義者支配地域ではウクライナの法律に基づき地方選挙が実施され、OSCE によって監視されることになっていた。
  6. 恩赦:重大な犯罪で告発された者を除き、紛争に関与した者には恩赦が与えられることになっていた。
  7. 捕虜と人質の交換: 双方は捕虜と人質全員を解放することになっていた。
  8. 人道支援:紛争地域への人道支援が許可されることになった。
  9. 経済関係の回復:銀行サービスの再開や年金の支払いなど、紛争の影響を受けた地域とウクライナの他の地域との間の社会的、経済的関係を回復するための措置が講じられることとなった。
  10. 外国軍と傭兵の撤退:すべての外国の武装部隊、軍事装備、傭兵はウクライナ領土から撤退することとなった。

合意にもかかわらず、ウクライナ東部での紛争は継続しており、停戦違反が頻発し、敵対行為が続いている。合意の政治的側面、特に権力の分散化と地方選挙の実施は論争の的となっており、双方が互いの約束を果たせていないと非難している。

ドイツとフランスの指導者たちがミンスクIIを「ウクライナの軍事力増強のための時間稼ぎの策略」と見ていたことを世界が知ったのは後になってからだった。

2022年12月のDie Zeit紙のインタビューで、メルケル首相は次のように述べた。

「2014年のミンスク合意はウクライナに時間を与えるための試みだった。ウクライナはまた、今日見られるように、この時間を利用してより強くなった。2014年から2015年のウクライナは、今日のウクライナではない。」

フランスのオランド大統領もメルケル首相の発言に同意した。

ロシアのラブロフ外相との会談中(ナポリターノ判事とマリオ・ナウファル氏も同行)、ラブロフ外相は、ロシアとウクライナが2022年3月29日〜30日にトルコで交渉を行った際、ロシアはウクライナが提示した特別軍事作戦の終結に向けた提案案を受け入れたと指摘した。善意のしるしとして、ウラジミール・プーチン大統領はロシア軍に対し、キエフ北部の陣地から撤退するよう命じた。しかし、ジョー・バイデン大統領とボリス・ジョンソン大統領からの圧力に直面したウラジミール・ゼレンスキー大統領は、自国の政府の提案を拒否し、戦争継続を選択した。

これがロシア当局に嫌な思いを残したと言うのは控えめな表現だ。停戦交渉に関するウクライナの3度の方針転換は、停戦がもはや戦争を終わらせる現実的な選択肢ではないとロシアに確信させた。だからこそ、ウラジミール・プーチンは2024年6月14日の演説でロシア外務省高官らに新たな条件を提示したのだ。これが今やロシアの譲れない立場だ。もしウクライナがこれらの条件の受け入れを拒否すれば、ロシアは戦場を通じてより厳しい条件を突きつけるだろう。

(引用終了)

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最高値を更新する日本の死亡者数

2025-03-08 15:25:01 | 医療

2025年2月27日に厚労省は2024年12月までの人口動態集計の速報を発表しました。一部はニュースでも取り上げられましたが、前回ブログで2024年10月までの途中経過で予想した通り2024年は今までを上回る160万人超えの死亡者数に達しました。それはコロナ前の死亡者数に対する超過死亡を比較した結果としては、欧米各国よりも圧倒的に多い状態が維持されている結果になります。

年齢別の死亡者数や、死因別の統計は6月以降にならないと出てこないのですが、前回2023年までの統計をまとめて紙の爆弾2025年3月号に発表した内容を含めて、新型コロナワクチンとの関連や社会で明確化されていない問題点などをまとめたいと思います。

I.  明確化した日本のみの超過死亡増加

図は2015年から19年の各国死亡者数の平均を100とした場合のコロナ以降各年の超過死亡推移を%で示したものです。バックに各年に流行したコロナ株の推移、△は新型コロナワクチン接種を示します。米英独仏は3回目ワクチンまでは積極的に施行しましたが、以降は日本のみが定期接種として主に高齢者に施行しています。南アフリカはワクチン接種率が35%と他国よりも低いため、比較として載せました。南アフリカは武漢起源株が流行した21年は超過死亡が飛びぬけて多かったのですが、以降沈静化しており、4回目以降ワクチン接種を積極的に行わなかった欧米各国は23年以降超過死亡が沈静化している事が解ります。

II.  死亡が増加しているのは75歳以上の高齢者だけ

統計が出ている23年までの日本の年齢別死亡者数の推移を比較すると、22年以降大きく死亡者数が増加したのは、75歳以上の高齢者の死亡が増加したためであると解ります。2019年は138万1,093名で20年よりも多かったのですが、新しい統計結果の24年は23年よりも多く161万1,864名でした。23年の時点で74歳以下の死亡者数は既に減少傾向にあり、24年も75歳以上の高齢者が増加したことが推察されます。

III.  増加した死因は体力・免疫力低下に関連するものが多い?

75歳以上の死因別実死亡者数の21年と23年の比較を示すと、赤丸で囲んだ体力、免疫力低下が関連すると思われる死因の増加が目立ちます。その他の死因による6.6万人の増加には、肺炎とは別に統計が取られている「コロナ陽性死亡」が含まれていて、これはコロナ検査陽性でコロナ病棟に入院した状態で他の合併症で亡くなった高齢者3.2万人の増加が含まれると考えられます。高齢者の事故による死亡増加は入浴中の死亡増加が多いと考えられます。これも大きくは体力低下に関連するでしょう。

IV.  科学的証明には相関関係と因果関係の証明が必要

ある事象が科学的真実であると証明するには、相関関係と因果関係が共に証明されねばなりません。ある薬剤が特定の疾患に効果がある事を証明するには、その薬剤が疾患の原因である病態を改善することが科学的に基礎実験や動物実験で証明されて、実際に患者に使って患者の病気が治る率が高いと証明されれば因果関係、相関関係が証明されて「その薬が病気に効く」という事象が科学的真実と証明されるのです。ワクチン投与と超過死亡には相関関係がある事は証明されました。ワクチンとコロナ感染が免疫力を弱めるという因果関係も証明されつつあります。後は超過死亡で亡くなった人達がワクチンなどと関連した免疫力低下を示していたという繋がりが証明されれば、ワクチン接種が超過死亡の原因と証明されます。

一方で厚労省が主張する「ワクチン接種で重症化が防げる」という事象は、コロナ重症で入院している人のワクチン接種、未接種の比率が、未接種の方が多かったという相関関係のみ示されていますが、ワクチン接種が重症化の原因となるサイトカインストームを抑制するという因果関係を示した科学的論文が皆無であるという事実を厚労省もメディアも公表しません。つまり科学的証明ナシで厚労省はワクチン接種を勧めているのです。

V.  ワクチンによる因果関係の証明は進みつつある

表は紙の爆弾3月号で発表した物ですが、発熱を呈する感染性疾患で救急外来を受診した1万8千名のうち、コロナ検査陽性であった2,854名と陰性であったインフルエンザや市中肺炎の患者1万5千名のコロナ陽性率、入院率をそれぞれワクチン接種の有無で示したものです。最新のワクチンであるXBBを接種した群は、コロナ陽性率、コロナによる入院率は確かに古い型のワクチン接種をした群、或いは未接種群よりも低い事が解ります。しかし、コロナ以外で入院に至る率は、ワクチン未接種群が最も低く、ワクチンを接種した群は古い型も含めて未接種群よりも多い。つまり相関関係としては総合的な免疫力は低下している事が推察されます。

また感染症やがんに対する免疫力を低下させるIgG4がワクチン接種を続けることで増加することが証明され、免疫学会会長も務める岩崎氏の最新の論文では、ワクチン投与後症候群の患者は免疫を弱めるCD8T細胞が増加していて、ヘルペスウイルスが活性化されるといった結果が出ています。

VI.  遺伝子ワクチンは「ワクチン系遺伝子治療薬」としての安全規制を

厚労省のデータでは、2024年12月までの4年足らずの間に新型コロナワクチンによる被害認定は、これまでのすべてのワクチン48年分の倍以上であり、死亡者数の認定は6倍に達しています。それでもワクチンによる死亡という明確な因果関係を厚労省は認めず、薬害として認定していません。それは、遺伝子ワクチンが実際のメカニズムは遺伝子治療剤でありながら、旧来のワクチンの定義に沿った副反応しか因果関係を認めていないからです。コロナワクチンによる副反応は投与された遺伝子によって正常細胞が作り出したスパイク蛋白(正しいスパイク蛋白とそうでない蛋白も含む)によって引き起こされる血栓症、神経障害や免疫異常によるものであるため、従来のワクチンであれば証明できるワクチンそのものとの直接的因果関係の証明が困難なのです。

今後も遺伝子ワクチンを使い続けるのであれば、緊急承認である遺伝子ワクチンは「ワクチン系遺伝子治療薬」として「遺伝子治療用製品等の品質及び安全性の確保について」という令和元年の厚労省規制に基づいて厳格に製品や副作用について調査されねばいけないという事です。

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「王様は裸だ」とテレビ放送されたゼレンスキー

2025-03-02 11:04:26 | 政治

2025年2月28日の米トランプ政権とウクライナゼレンスキー大統領との会談は、世界中のメディアが報ずる様に異例の決裂で終わりました。通常首脳会談に至る前に官僚レベルで両国の立場や合意点を調整した後に首脳会談では微調整をして合意文書に署名するのが外交の基本です。

マクロン氏に頼まれて嫌々会談を持ったトランプ氏、停戦に興味のないゼレンスキーとの「見込みのないレアアースの合意」などどうでも良かったと言える。

今回もある程度の合意点は調整してから階段に臨んだ事は間違いないと思われますが、何しろゼレンスキー自体がCIAネオコンのパペット大統領として、全て言われるままに大統領就任以来行動してきたので、価値観や合意の妥協を自分でその場で調整する(政治家として当然の訓練)などしたことがなかったので、今までのやり方(素人のパペット)を続けて挑発に乗ってしまったというのが真実です。

「一国の首脳」に「記者」から「スーツ持ってるの?」という質問が出る時点で「お前は裸の王様だろ」と言っているに等しい。

その象徴的な場面は一国の大統領に対して、記者から「あんたスーツ持ってないの?」(裸と同じだよ)と揶揄された所でしょう。大恥をかいて終わる会見の結末は、トランプはホワイトハウス玄関前でゼレンスキーを迎える第一声が「今日の服装はいいね」という最大限の皮肉だったことからも運命づけられます。グローバリスト・ネオコンがバックに付いたゼレンスキーは北朝鮮の将軍と同様「独自の制服」さえ着ていれば世界の社会常識は無視しても受け入れられ、ビデオ画面で演説すれば「閣下」と持ち上げられて国会議員の全てがスタンディングオベーションで聞いてもらえることがデフォルトと思い込んできました。実は全員が「アホクサ!」と思いながら表面的には従っていた「裸の王様」状態であったと言えます。

政治誌Axiosに紹介されたホワイトハウス出迎えから決裂に至る経緯。本来ウクライナ側は細心の注意と忍耐が必要な場であった事が明らか。

ロシアとの戦争は、武器も戦略も戦術も全てグローバリスト・ネオコンが設定した通り従っていただけであり、しかも23年以降は一方的な負け戦であった事は日本以外のオルタナメディアやBRICSメディアを視聴している人達は皆知っている事です。

ウクライナの取材(ツアー)は全て保安部のプロパガンダ通りだと暴露するバンス副大統領。

「王様は裸だ」と全国放送されたゼレンスキーに対して、一部の欧州裸王仲間から早速「あなたは独りぼっちではない」という励ましの言葉が投げかけられています。3月2日にはグローバルヤングリーダー筆頭の英国キア・スターマー主催で「これからどーする?」会が欧州首脳を集めて開催されます。EU閣僚でもあった英国のAlastair Crooke氏は、「戦争状態がなくてもEU首脳の意見が一致することなどなかったから各国の利害がからむロシアとの問題でEUの意見が一致することはあり得ない。」と言い切っています。まして経済が落ち込んでいて武器在庫も使い果たした欧州において、引退する独ショルツ、国内で支持を失っているマクロン、選挙で信託を得ない評判の悪い欧州委員長のフォン・ディア・ライエンが何を話しても実効性のある解決策など出てこないでしょう。

外交音痴だったゼレンスキーは顔を洗って出直して全てトランプの要求を呑むしか道はない。

 

追記 2025年3月3日 

〇  英国の二枚舌は第二次大戦以来のお家芸

米国は明確に英国がウクライナで何をしようが、支援などしないと明言。その代わり関税はかけないでおくよ。とディールは成立している。

英国は第二次大戦時にヒトラーがポーランド、チェコなどに侵略した際に「軍を送って貴国を護る」と約束したにも関わらず静観、両国はドイツに飲み込まれます。1956年のスエズ危機において、英国はフランス、イスラエルを唆してエジプトを侵略しますが、結局大規模な戦争はせずに米ソの仲介で撤退しました。

今回もキア・スターマーは英国が中心となってウクライナの安全保障を受け持つなどと嘯いていますが、米国との関税協議では完全に尻尾を振り続けている状態であり、適当にはしごを外す事は明確。あまり報道を鵜吞みにしない方が良いと断言します。英国とはそういう国なのです。

どこのバカが英国に騙されて軍を送るのか知らないが、日本は金を出せと言われないよう気を付けることだ。

 

追記 2025年3月6日

〇 ウクライナ議会はトランプ・プーチンの和平交渉を歓迎

ウクライナ国民の本音はトランプ・プーチンの和平交渉による一刻も早い終戦であるのは頭のおかしな人でなければ当たり前の事です。ウクライナ議会は麻薬中毒のゼレンスキーの100倍まともです。日本のメディアでウクライナ国民の声を正しく伝えるものが皆無であるのは本当に嘆かわしい。「トランプの政策にウクライナ市民は不満の声」などというデタラメばかり報道し戦争継続を煽る「人命軽視の阿呆ども」は恥を知るべきだ!

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追い詰められたグローバリスト・メディアのヒステリー反応

2025-02-22 15:07:19 | 政治

トランプ政権が発足して1か月足らずのうちに、世界は余りにも目まぐるしく動いていて付いてゆくのが手一杯の状況です。1回目の政権時には、国務省を始め、政府全体が8年間の民主党オバマ政権陣営で固められていて巨大グローバル資本、軍産複合体からなるディープステイトの排除をするどころか、その陣営から次々に人材を政権内に送られてトランプが目指す方針を変えられてしまううちに4年間が終わってしまいました。今回は前政権の陣営から邪魔をされる前に矢継ぎ早に政策を繰り出して邪魔をする機会を与えない作戦に出ていると言えます。非常に見事な手際と思います。結果的に追い詰められたグローバリスト・その傘下の主流メディアがヒステリー反応を起こして訳の分からない行動を起こし始めているのが実情でしょう。以下にこれらについて纏めます。

 

I.  民主党が畏れた人事がほぼそのまま決まる

新トランプ政権の主要人事は、グローバル・民主党側が非常に嫌がる人材が多数でした。司法の政治利用を批判したマット・ゲイツ下院議員(42)をまず司法長官に指名しましたが、民主党主導の下院倫理委員会は執拗に同氏の30代頃の売春疑惑や薬物疑惑を追及して12月24日に司法長官候補を辞退させました。しかしその代役として指名されたパム・ボンディ氏はゲイツ氏以上に司法省の改革をする気満々の女性であり、2月5日に正式に承認されました。ゲイツ氏を全力で葬った事がグローバル陣営に幸いだったか疑問です。

他にもロバート・F・ケネディJrの保健福祉省長官、ジョン・ラトクリフCIA長官、トュルシー・ギャバード国家情報長官、カシュ・パテルFBI長官の人事が正式に承認されており、特にギャバード情報長官の就任からトランプ大統領のウクライナ情勢についての分析が現実に合ったものに変貌しており、早速プーチン大統領との交渉進捗など効果が出て、グローバル陣営にとって発狂状態になってきています。

RFKJr氏はXで6か月以内にmRNAワクチンは禁止すると発表。NIH所長のバッタチャリア氏もコロナワクチン停止を明言しているが、定期接種を未だに行っている日本はどうする?

 

II. CIA USAID解体

CIA末端要員のロバート・キャンベルを出演させて陰謀論の紙芝居で日本国民を必死に洗脳するサンモニ

前回も記したCIA、USAIDの解体は大きな波紋を呼んでいる様です。特にUSAID解体はグローバル陣営は予想していなかった事らしく、メディア総動員で狂った様に「慈善事業が滞って世界の弱い人たちが~」と騒いでいます。面白かったのは日本においても2月16日放送のサンデーモーニングで紙芝居まで作って「USAIDの閉鎖は陰謀論という偽情報に基づいて慈善事業を真面目に行っている団体を一方的に閉鎖しているトランプ独裁政権の横暴なんです」という物語(ナラティブ)を必死に日本人に広めている様です。コメンテーターにCIA末端工作員のロバート・キャンベル氏(戦時下のウクライナに出張してウクライナ支援の本まで出版=普通の大学教員は不可能)を出演させて、番組内容と出演者の発言をチェックさせていた事です。

DOGEの調査で米国では160歳以上の国民が13万人もいることになっていると判明。これも陰謀論なのでしょう。

 

III. 財政出動の凍結 NED TNI 活動停止

全米民主主義基金(NED)は1983年に設立された準NGOですが、これもUSAIDと同様連邦予算に占める割合は小さいものの、民主主義を広める名目さえ付けば、反政府組織の支援などあらゆる目的で資金を使えるため、腐敗、汚職の温床になってきました。Trusted News Initiative(TNI)は、BBCを中心に世界のグローバル体制側メディアを規制(結束)する目的で2019年に設立された組織で、NHKも加盟していてUSAIDの出資先に含まれます。「偽情報を阻止する」事が目的の組織ですが、コロナやワクチンなど議論の余地が多い政策について両論併記することなく、一方的な意見のみを報じて「異論は偽情報と決めつける事」が特徴です。そのようなジャーナリズムに連邦予算の援助は不要でしょう。

 

IV. ウクライナ紛争終結へ

 

トランプ氏はプーチン大統領との直接会談を準備中であり、本当にウクライナ紛争が終わる気配になってきました。大慌てなのは紛争を継続させたいゼレンスキーと欧州グローバリスト達です。トランプ氏の「欧州首脳らは戦争を終わらせる努力を3年間一切行ってこなかった。」という批判にマクロン大統領は「国民はロシアとの戦争に備えよ。」と言い、ドイツのショルツ首相は「国家非常事態宣言だ」と狂ったとしか思えない反応を示しています。ドイツはノルドストリームパイプラインをウクライナが破壊してドイツ産業と国民がエネルギー高騰に苦しんでも国家非常事態とは言いませんでした。首相として完全に頭おかしい。

ミュンヘンの欧州安全保障会議でヴァンス副大統領は「欧州の本当の敵はロシアや中国でなく欧州内部にいる(言論の自由を弾圧するあんたたちグローバリストだ)」と明言して会場を震撼させました。続く国政選挙で国民が真の民主主義に基づいて正しい国家代表を選びやすくなったと言えるでしょう。欧州国土を戦場に導く売国奴、民衆の敵のグローバリスト達を追い出す鬨が来たと言えます。

ヴァンス副大統領は「欧州の真の敵は内部にいる」と明言

トランプ氏は今までの支援の見返りに「ウクライナの鉱物資源の半分をよこせ」とゼレンスキーに要求。ゼレンスキーが拒否すると「ならばもう良い。」とあっさり切り捨て。慌てたゼレンスキーが「差し上げます」と言い出していますが、トランプを批判することで彼の意見が変わる事はない程度の知恵さえないゼレンスキーは既に終了コンテンツでしょう。

ウクライナ国防委員長コステンコ氏は、米国はウクライナへの武器販売を停止したと伝えており、ウクライナへの武器支援は終わった様です。世の中は援助をもらう方が与える方に文句を言って通るはずがありません。

米国はウクライナへの武器売却を凍結 というウクライナ高官の投稿  米国に鉱物資源をくれてやるために命を張りたくない、というウクライナ兵79旅団の投稿

 

V. パナマ運河からの中国締め出し

トランプ氏はパナマが中国に飲み込まれる(パナマの2港を中国が所有)事を憂慮して、パナマ運河の再度領有を宣言しそうになりました。パナマのムリノ大統領は、同国の一帯一路からの離脱を宣言し、米国軍艦の通行料について検討する(無料にするという米国務省の発表は虚偽)と発表。トランプ氏の脅しは一定の効果を見せた様です。

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陸上自衛隊OH-6D Italeri 1/72

2025-02-18 13:13:06 | プラモデル

陸上自衛隊仕様のHughes OH-6D を作りました。OH-6の1/72モデルはタミヤ・イタレリ、AZモデルなどから発売されているのみでなかなか入手が困難なレア物になっています。OH-6Aは1960年代に開発された米軍用観測ヘリで、軽量小型で生産性にも優れ、安価に大量生産可能であったため、世界中の軍、官庁、民間用としても多用されました。陸上自衛隊では1969年から使用が開始され、川崎重工業でライセンス生産もされてローターが4枚から5枚になったD型(1978年~)含めて193機が導入されました。2020年には老朽化により使用が終了して国産の後継機OH-1に転換されましたが、OH-1が高価なため配備が進んでいない状況です。OH-6は1.3tという普通自動車並みの重量のため、車輪を付けて人力で移動も可能ですが、新型のOH-1は4tあり、牽引車が必要です。OH-6は軽量安価で整備を簡潔にするため、必要最小限の機能で外板も非常に薄く、車に例えると現代の車がオートマパワステが当たり前な所、全てがマニュアル車といった操縦系統でした。

塗装説明図は北海道仕様という事?で黒の部分が実機の写真より多めに見える。

私は自衛官時代にタンデムローターのV-107バートル(米軍CH46)、ベトナム戦争でお馴染みのUH-1イロコイ、そしてこのOH-6にも搭乗したことがあります。バートルは船に乗っている様なゆっくりと上下動する乗り心地であった一方、UH-1は細かい振動が常にある様な乗り心地でした。OH-6は師団司令部勤務の際に、師団航空隊から週3回は師団長や幕僚長の出張に合わせて司令部に飛来していたのを見ていましたが、阪神淡路震災に出動した際、広島から神戸の宿営地への連絡移動の際に師団長から「お前も乗って行け」と言われて乗せてもらいました。乗り心地は遊園地の観覧車の様な狭い空間で上下前後左右に揺れるという稀有な体験で、晴天の下、姫路や岡山の上空500m位の所を展望しながらの移動でした。

モデルは老舗のイタレリ製ながらとにかく小さいので細かい作りこみをするには1/48(ハセガワ)がお勧めかも知れません。しかしハセガワが右後ろのドアしか開かないのに対して、1/72ながらこちらは左の前後の扉を開けることができるのは優れモノと言えます。透明部品は合いにくいので調整が必要で、イタレリ製のNATOパイロットを狭いコックピットに無理やり乗せたので愈々窮屈になりました。しかし駐屯地で良く見ていたOH-6の雰囲気が再現できたように思います。昔作ったハセガワの救難仕様のUH-1と並べてみました。やはりOH-6の小ささが分かります。

頑張って操縦手を入れてみました。

UHは車体、ローターとも二回り位大きい。

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Junkers Ju87 G-2 Tank Buster 1/72 Revell

2025-02-12 14:37:43 | プラモデル

ユンカースJu87の派生型であるG-2タンクバスターを作りました。ユンカース87は88と並んで第二次大戦初期のドイツ軍電撃戦の「破竹の進撃」で有名になった急降下爆撃機で、陸軍の直協機として数メートルの正確さで爆撃が可能であったことから多用されました。しかしポーランド、ノルウェー、フランス戦までは無敵であったJu87も、1940年の制空権がないバトルオブブリテンでは英国空軍のスピットファイアに面白いように撃墜され、対空戦闘力の弱さが露呈します。1960年台の映画Battle of Britainでもレーダーサイト攻撃に来たスツーカが新米のスピットファイアパイロットに次々と撃墜されて(rats in  a bottle)と揶揄されるシーンがあります。

特徴的な逆ガル型の翼を持つJu87

Junkers Ju87は1935年にアラド、ハインケル、B&W(ブルーム・ウント・フォス当時はハンブルグ航空機製作所)の4社の試作機からやや強引に実力者のウーデット大佐と空軍総監になるミルヒによって選ばれた機体でした。初期のAシリーズは600馬力のエンジンで爆弾搭載量にも限界がありましたが、ドイツが支援したスペイン内乱ではフランコ派のコンドル軍団で十分威力を発揮する事が出来ました。改良型のBシリーズ(1938年)は1200馬力のJumo210を装備して電撃戦の中心的役割を果たします。1941年の改良型Dシリーズは1400馬力の強力なエンジンを装備し、主翼の機銃も7.7mmから20mmになりましたが、重量も4,250Kgから5,720kgに増加したため、運動性や対空戦闘では期待したほどの性能向上には至りませんでした。空軍省はJu87の後継となる機体の開発を望みましたが(引き込み脚を持つJu87F)開発に至らず、Ju87は大戦後期まで様々な派生型を生みながら生産され、総生産数は5,700機に至りました。

迷彩は当時の爆撃機の標準パターン迷彩RLM70&71(ブラックグリーンとダークグリーン)、下面RLM65(ライトブルー)東部戦線1944年SG2航空団所属にしました。

G-2タンクバスターは最も量産されたD―5型(翼端を左右60cm延長)をベースに37mm高射砲2門を翼下に取り付けたタイプで、各6発の対戦車弾を発射可能でした。有名なハンス・ルデル大尉はG1型で592台のソ連軍戦車を破壊した記録を持ちます。この空から戦車の弱点であるエンジン上面を狙う攻撃は、隠れる場所の少ない大平原や砂漠の対戦車戦における革新的ゲームチェンジャーになりますが、以降の様なヘリコプターからのロケット攻撃や現代のジャベリンなどのコンピューター制御の対戦車攻撃と異なりJu87や75mm砲を装備したヘンシェルHs129からの戦車攻撃は高度な操縦技術を要するものでした。特にJu87の対戦車攻撃型は重い砲のために離着陸にも操縦が難しかったと記録されます。軟降下を行いながら疾走する敵戦車の後上方5-600mから正確に砲を発射する技術は大変なものだったと思います。また敵戦闘機に対する脆弱性は他のスツーカ以上に弱く、制空権のない戦場では飛行不可能でした。

87G1の実機 対戦車砲の細部やエアインテイクの構造が見える。D型からはオイルクーラーが機首上面から下面に移動になった。翼機銃は重いので取り外されている。

模型は古い金型ながらドイツレベル製で整合などは良好で、D-5とのコンバーチブル可能なキットでした。ハセガワ1/48のG-2も対戦車砲の砲口がないという不評がありますが、1/72の当キットもなかったのでドリルでそれらしく整形しました。また機首右側面の気化器空気取り入れ口も穴がなかったので作りました。昔作ったD-5冬季型(ハセガワだったか?)と並べてみました。対戦車砲の細部も1983年文林堂世界の傑作機(Ju87B-G)の写真を見ながら追加しました。同書によるとG型の塗装は一部資料に見られるRLM70(ブラックグリーン)一色のものはなく、通常みられる基本塗装であったとわざわざ記されているので同書の塗装指示どうりにしました。胴体の国籍標識は、大戦後期は白抜きの物が一般的であったとされるので古いD-5モデルのデカールが正しいと解ります。エンジンカウルが少し浮いているのは、取り外してエンジン部を一部見せる事が可能なためです(余り精密ではない)。

白の水性塗料で冬季塗装されたD-5 ダイブブレーキを装備した通常の爆撃機型

D型は翼端が延長されているのでスマートに見える。

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子離れ(米国)親離れ(日本、欧州、イスラエル)できるか

2025-02-08 15:37:04 | 社会

トランプ政権が開始されて2週間足らずで、各省長官人事もやっと決まりつつある状態でありながら、世界情勢が目まぐるしく展開してそれぞれの意味合いを理解するのも困難な状況です。大きくは、多極化に向かう世界で米国を多極の一極に据えるMAGA(=米国モンロー主義の復活)に進むトランプ大統領陣営と米国覇権維持グローバル(Deep state巨大資本陣営)のせめぎ合いなのですが、圧倒的に権力を持ったトランプが1期目ではできなかった改革を用意周到邪魔される前に手を打って改革を進めている物と思われます。

つまり米国は子離れ(従属国の独立)を指向、従属国は親離れを強いられているものの、それぞれで対応が異なっている状況と言えます。

トランプ大統領と最初に会談をしたのは、イスラエルのネタニヤフ首相でしたが、その反応は「勝手な事はするな」(米国独自の価値観の押し付けはイスラエル権力層=AIPACが許さない)という内容でした。欧州の反応は「我々は独立しましょう」(グリーンランドに防衛軍を送る。ウクライナは独自に対応)の方向ですが、2番目にトランプと会談をした日本は「え?対米独立?今こそ日米同盟強化でしょ?」という多分トランプ的には「それなら米国の要求は全て飲んでもらうよ」という反応でした。以下最近の動きをその観点から纏めます。

英国がウクライナ支援の主導を引き継ぐという2月6日テレグラフ紙の記事

 

〇  CIA(米中央情報局)USAID(米国際開発庁)解体

CIA解体について日本では全く知らないヒトも多いのでは?

米国政府の無駄を省く手始めはCIAとUSAIDの解体でした。CIAは全職員に辞職勧告がなされて早期辞職に応ずればボーナスも支払われるようです。CIA解体は前回のブログで示した様に至る所で反響が出てきている様です。USAIDはCIAのフロント実行組織で、移民や被災民への慈善事業を表看板にした他国政府、メディア、反政府NGOへのCIAの意向に沿ったコントロールを行う組織です。ハイチの地震、ハリケーンへの援助事業は予算の数パーセントしか実際の援助には使用されず、殆どの予算(税金)が中抜き、裏工作、キックバックに使われたと言われます。USAIDは年間6兆円(428億ドル)の予算でコロナウイルス開発を始めとする世界を混乱に陥れる役を慈善団体という名目で邪魔をされずに実行してきました。今後は国務省の一機関として「真に慈善事業に使う分のみ」の予算で運営される予定です。

CIAの手足として動いて来た従属国の(梯子を外された)ポチ達は、現在右往左往し始めている所です。命令を下し、後ろ盾になっていたCIAのボス達が荷物をまとめて母国に帰ってしまったからです。日本、欧州、中東でも国内で大きな動き(力関係の移動)がこれからあるでしょう。

 

〇  ガザを米国が所有し、リヴィエラの様なリゾートに

トランプ氏には珍しく原稿読みで会見 ネタニヤフ首相は満足そうな表情 パレスチナの人達もそこに住むよとコッソリ発言はしている

トランプ大統領と最初に正式に会談した首脳としてネタニヤフ首相と共に会見したトランプ大統領がガザを米国が所有すると言って物議をかもしました。親イスラエル派からは概ね歓迎され、BRICS始め多くの反シオニスト派からは「何だって?」「信じられない!」という予想通りの反応です。

私は頭のおかしなシオニスト「神がパレスチナを数千年前からユダヤに与えた」から何でも許されると言い放つ輩を黙らせるのはトランプが「私が神として君臨しましょう。」くらいの阿呆を宣言する必要があったのだろうと考えています。「妄想には妄想で答える」形式。なぜなら記者会見においてトランプ氏はいつものフリートークを封じて「原稿読み」に徹していました。これは具体的な計画を一切述べず、展望のみ語る作戦であり、実行性の面で「米軍は現状派遣しない」「金はサウジに出させる」「完全停戦が実現してから住民の移住を行う」「エジプトとレバノンが移住を受け入れる」というどれも現状実現不可能な具体性のない展望に徹し、雰囲気だけシオニズムに希望を抱かせる内容にしている所がミソと思われるからです。ネタニヤフ首相としては極右リクードを黙らせる土産を持って帰国できる内容だったでしょう。

会談に際してモサドがヒズボラ攻撃(24年5月19日にヘリが墜落して死亡したイランのライシ大統領もポケベルを持っていた)に使った「金のポケベル」と「普通のポケベル」をトランプに贈ったそうですが、「頭のおかしな集団にはこの答えで」というにふさわしい解答だったように思われます。

 

〇  USスチールは日本が投資する。尖閣は5条の範疇

黄金時代とか持ち上げているけど大丈夫か?

続いて二人目の会談になった石破総理ですが、こちらはネタニヤフ首相と違い、具体的事象について会見で表明、しかしながら「軽くあしらわれたね」という印象。米国は全く損をせず、150兆円の投資を呼び込み、日米安保の口約束で(5条範疇に入る入らないは今まで何度も扇の裏表の様に繰り返された)喜んで帰国するのですからイスラエルに比べて何と楽なことか。対外投資で日本円が買われる事はありません。長期円安確定の約束を日本のメディアはどう報ずるか(売国の度合いが計れる)見ものです。

 

〇  ロシアの政治的要望は受け入れてもウクライナの地下資源は欲しい

ガザ沖の天然ガス埋蔵田(パレスチナの領海にある)  ロシア占領地域に集中する埋蔵レアアース

ガザの所有も本音はパレスチナの海洋天然ガスの奪取をイスラエルが目論んだ事が発端であることはイスラエル情報省の覚書(ハマス襲撃直前に覚書発行)から明らかになっていますが、ウクライナを米国が欲しがるのは特に東部ドンバス地域に埋蔵するレアアースなどの天然資源が目的です。キエフやリヴィウがある西部は主に穀倉地帯であり、それらは既にモンサントやカーギルが利権を握っていてウクライナ国民が所有する農地など残っていません。ロシアは東部ドンバス地域をロシアに併合し、残りのウクライナに親ロシア政権を樹立して中立非武装を宣言させて欧米の利権を追い出しにかかるでしょう。後はディールで農産物やレアアースの開発利権をトランプと協議してウクライナの再建資金に充てる方向で話が進むと思われます。2月9日のニュースではゼレンスキーは慌ててウクライナのレアアース共同採掘とウクライナ支援をリンクしてトランプと協議したいと言い出していますが、「100年遅い!」阿呆です。欧州としては一刻も早くロシアからの安いエネルギー輸入再開を図って、産業復興と物価安定に向かわないと完全にBRICSに経済を奪われる結果になります。

敗北寸前の国がディールできるという発想が余りに阿呆!100年遅い!

 

〇  対米自立をテーマにした「紙の爆弾」

目まぐるしく変わる世界情勢と対米自立をテーマにした「紙の爆弾」2025年3月号が発売中です。rakitarouも「日本だけ続く超過死亡増大」について論考を加えていますので是非お読みください。扉にカラーで掲載された各国の超過死亡統計表を示します。

また来る2025年3月9日(日曜)品川区スクエア荏原(武蔵小山商店街、戸越銀座商店街)にて13:30-15:50「メディア廃棄宣言」を執筆された(反)ジャーナリスト高橋清隆氏を招いて「温暖化とコロナに流されない市民の会」勉強会を行います。参加費1500円でこちらから申し込めます。rakitarouも前座としてワクチンと超過死亡の関連、トランプ後の世界情勢について解説します。交通の便が良い所ですので関心を持っていただける諸兄は是非ご参加下さい。

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トランプ効果とCIA、FBIの衰退

2025-02-03 14:21:00 | 政治

トランプ氏が大統領に返り咲いてから2週間足らずのうちに、メディアは批判ばかりしているものの既に多くの事が世界で変わりつつあると思います。持続的効果は未定ながらガザでの一時停戦と人質交換は一部実現しました。公務員の削減と在宅勤務の禁止も発令。カナダ、メキシコ、中国への関税発動も行われ、早速世界の株価に影響を与えています。現在閣僚人事の議会承認手続きが進められていますが、民主党・グローバリズム陣営にとって不都合極まりない「RFK.Jr.の保健福祉省長官、トュルシー・ギャバード国家情報長官、カシュ・パテルFBI長官」の人事は、見苦しい程紛糾を極めています。そのような中でケネディ大統領暗殺についての機密文書の開示命令は目立たないながら大きな意味がありそうです。第一期目のトランプ政権でもケネディ文書の公開が約束されましたが、CIA、FBIの反対で結局重要な部分開示が見送られた経緯があるからです。国家保安上のリスクがあるからと説明されましたが、1960年代の事件で現在の米国の安全にリスクなどあるはずもなく、「CIAとFBIが犯人です」と自白しているに等しい。今回これが明らかになることで今までCIAとFBIの明らかな悪事に関わってきた連中が現在「逃亡モード」に入っているという事でしょう。以下に妄想を含めて最近の出来事からこれらの関連を推察します。

FBIを普通の警察組織に戻すと公言するパテル氏を必死に攻撃する民主党議員

 

〇 突然CIA悪事の暴露を再放送NHK映像の世紀

2025年1月26日、NHK映像の世紀バタフライエフェクトは、「CIA世界を変えた秘密工作」をアンコール放送しました。内容は「アメリカ大統領直轄の情報機関「CIA」は、戦後のアメリカ外交を陰で支えてきた。世界の民主化支援という大義の下、他国へ工作員を派遣、秘密工作を仕掛けてきた。イランでは、巧みな世論操作で政権を転覆させ、莫大な石油利権をアメリカにもたらした。ソ連の衛星国ハンガリーでは、ラジオを使って反体制運動をあおった。南米チリでは、社会主義政権を親米政権に転換させたクーデターに関与した。」(番組紹介から転載)というもので古い題材でありながら「アメリカはCIAを使って悪い事を秘密工作として堂々としてきた」と暴露したもの。次の「ベトナム勝利の代償」の回でもトンキン湾事件を仕掛けて北爆を開始したと暴露。要はイラク戦争、コソボ内戦、中東のカラー革命、ウクライナのマイダン革命から現在の戦争まで全部こいつら(CIA)の工作ですよ、とどんな阿呆でも解る様に説明したに等しい。

 

〇 ウクライナはCIA傀儡ゼレンスキーを変えて終戦へ

プーチン大統領は繰り返し「正式な大統領ではないゼレンスキーと交渉するつもりはない」と明言しており、米ロの調整で停戦した後に最終合意には正式に選ばれた大統領と条約を結ぶ事を考えていると思われます。2022年の4月、一度双方が合意した停戦協定をウクライナ側が一方的に破棄し、しかも圧倒的にロシア側が勝利していることから同じ相手と停戦協議をすることはないのは当然と思います。NATO各国の首脳の殆どは反グローバル側に替わる勢いであり、落日のダボス会議2025にゼレンスキーは出席したもののほぼ相手にされずに終わっているのが現実です。

 

〇 CIA主導の北朝鮮デマ終了

クルスク北西部の北朝鮮軍陣地

3か月かけて繰り返し「ウクライナ諜報部発信」として続けられた北朝鮮軍がウクライナ戦争に参戦して多大な損害、というデマは続ける意味合いがなくなり「北朝鮮軍は撤退した」という形で収束させる様です。以下状況を説明したMoon of Alabama氏からの引用です。

(引用開始)

2024年10月14日、ゼレンスキー元大統領は、ウクライナへの支持を高めるための情報作戦を開始。彼は、ロシアが北朝鮮を戦争に巻き込む計画を立てている、と証拠もなく主張した。メディアはすぐに「ウクライナの特殊部隊の情報源」を引用してこれらの噂を広め、さらに匿名の「情報源」が加わり、すぐに北朝鮮の兵士3,000人が戦闘に参加するという話になった。しかし、そのようなことが計画されたり起こったりしたという証拠はまったくなかった。

しかし、今日、米国のメディアは、このナンセンスを誇張して報道している。

北朝鮮がロシアの前線に兵士を派遣する理由-ワシントンポスト
ロシアの対ウクライナ戦争を支援するために兵士を派遣することは、金正恩政権に貴重な外貨をもたらし、両国間の関係強化を促進する可能性がある

ウクライナ軍の情報機関の主張だけを根拠とするこのナンセンスを、西側の政治家や軍人が信じるとは思えない。しかし、この問題を定着させようとするウクライナ政府のキャンペーンは明らかだ。その望みは何だろうか? ロシアとのウクライナ国境で北朝鮮と戦うために韓国に軍隊を派遣させることか?

数日後、ウクライナの「北朝鮮」情報作戦全体が米国の計画に基づいていたことが明らかになった。

上記を書いた時点では、このキャンペーンのアイデアが、しばしば戦略的なアイデアを提案する国防総省のシンクタンクであるRANDから出たものだった。

(引用終了)

その後シベリア地方出身のブリヤート人の捕虜を北朝鮮軍の負傷者としてメディアに引き出したりしていましたが、韓国の似非戒厳令失敗により、新たな戦争状態を作る事にも失敗したCIAは北朝鮮軍デマを収束させる他ないと判断したのでしょう。北朝鮮軍はウクライナがロシア領土のクルスクに進軍した突出部の北西の一角の防衛に当たっていると報道されていましたが、重厚な火砲とドローンの連携で攻撃する戦法が現在のロシア軍の戦術であるのに、その一角を火砲のない北朝鮮軍に任せることはあり得ません。しかもウクライナが当初奪取目標としたクルスク原発が後方にある場所です。第二次大戦のドイツ軍のソ連攻略、いわゆるバルバロッサ作戦において、ソ連が弱点として突いたのは強力なドイツ軍前線ではなく、同盟国のハンガリーやスロバキアが守備する一角であり、今回の戦争でもロシアが弱点となる北朝鮮軍をそのような場所に置くはずがないのは多少の軍事知識があれば誰でもわかる事です。

 

〇 日本の動きもCIA弱体化が背景か?

でれでれ草さんのブログから引用

米国は戦後「対日心理戦略計画PSB-D27」に沿って100人態勢でメディア、政治家、教育関係者、学者などをCIAの支配下に置くべく諜報員とその下で働くエージェントを使ってきたことは知る人ぞ知ることではあります。朝日新聞出身の緒方竹虎(コードネームポカポン)、船橋洋一、読売新聞(日テレ)の正力松太郎(ポダム)、先日亡くなった渡辺恒雄、CIA下部組織のS学会の印刷物で赤字をしのいだ毎日新聞(TBS)などCIAが許可しない米国批判は一切できない日本のメディアの仕組み作り上げたのはCIAに他なりません。また民放の生命線であるCMを差配する電通をCIAが抑えている事も当然です。

2025年1月30日東京地裁は電通グループとその幹部に東京オリンピックに際しての談合事件に有罪判決を出しました。また創業者でもないのに40年もサラリーマン上がりのまま人事権を握り続けるフジの日枝氏の責任追及が行われています。

日本の天皇制は3代で潰す(ヒロヒト、アキヒト、ナルヒトで終わらせる。文仁親王、悠仁親王には継がせない)というマッカーサー以来の米国の計画があります。国連による執拗な愛子天皇推し勧告はその一角ですが、外務省による「内政干渉するな!外野は黙っていろ。」という珍しい反論もグローバリズム奴隷番組のサンモニは発狂状態だったようですが、世の中の力関係の微妙な変化を表している様に感じました。

ちなみに鬼塚英昭著の「天皇のロザリオ」によると、戦後日本キリスト教化計画は1949年トルーマン大統領の正式な承認の下陸軍長官の「ロイヤル文書」に基づいて計画化され、昭和天皇が洗礼を受ける様仕向けられたが結果的には失敗に終わる経緯が記されています。元々「日本のキリスト教国化」は、「神道に基づく大日本帝国の精神」が残ると「米国へ復讐戦争を起こす恐れがある」とマッカーサーが戦後統治の一環として取り入れた政策です。天皇制を潰す事も日本を再軍備させて米国の鉄砲玉として朝鮮戦争(後のベトナム、中東、現在の対中国)で使う上で必須の政策になります。米国はアキヒトの家庭教師にクリスチャンの小泉信三やヴァイニング夫人を充てる事に成功、後にイエズス会が1916年に設立した聖心女子大学出身の正田美智子との「テニスコートの恋」を演出させることに成功します。アキヒトの妃候補は小泉信三がかなり前から美智子に決めていたことは種々の記録からも明らかで宮内庁の宇佐美長官、田島前長官、小泉の三者で決めてしまってからテニスコート事件を起こした事も明らかになっています。ナルヒトの妃は元宮家から、北白川家3姉妹、久邇晃子、伏見章子らの候補がいたにも関わらず、米国の指示で当時の福田総理らがS学会から小和田雅子を選んで国民が知らない内に皇太子が選んだ事にしてしまいました。その後神事を徹底的にサボタージュして現在に至った事は誰でも知っている事実です。この後は一人娘愛子を無理やり天皇にして、真子さんの様に外国籍の男性と恋愛結婚させれば皇室を3代で終わらせる計画が達成できるという訳です。

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「偽情報・誤情報、キャンセルカルチャーと忖度」=現代メディア

2025-01-30 16:12:22 | 社会

中居正広氏の女性問題から派生したフジテレビバッシングは、局の執行部退陣のみならず存続まで危ぶまれる事態になりました。しかし混乱の文春が報じた元情報である「フジテレビ幹部のA氏が食事会をセットしてドタキャンすることで中居氏と女性のみが残る設定をした」が全く偽情報であったことが明らかとなると、10時間に及ぶ「吊し上げ中継会見が必要なモノだったのか?」を含めて出席していたジャーナリスト全員が情報の確認(ファクトチェック)さえせずに責任追及をしていた事が露呈してしまいました。正にフジから広告撤退した空き時間に放映されている「ACジャパン、決めつけ刑事」(嶋田久作氏出演、ハイ人生終了!というキャンセルカルチャー問題も盛り込まれている)の実写版が繰り広げられるという大型バラエティになってしまいました。しかも会見が長引いて中止になったものの記者会見後の番組が「全国女子アナ選手権」的な特番が予定されていたというから完璧です。

ACジャパンの傑作 決めつけ刑事

ヒトも組織も「良い点」「悪い点」があるのは言わば社会の常識に当たるモノですが、一部の悪い点をあげつらう事で対象の存在全てを否定する「キャンセルカルチャー」の流行は社会の幼稚化を表す現象です。上記決めつけ刑事の「ハイ、人生終了!」のセリフに象徴される批判される内容の意義付けや改善の機会などを考慮せずに「全否定」というのは善悪二元論に基づくものであり、携帯という小さい情報提供メディアで結論だけを得る事に慣れた現代人の知性劣化を物語るものでしょう。

 

〇 失敗を社会全体の改善につなげる根本原因分析

Root cause analysisの手法 Fishbone diagram

東京大学名誉教授の石川馨氏は、世界の見本となった日本のQCサークルの生みの親とも言われて、品質管理の向上に多用される根本原因分析(Root cause analysis)を1960年台に築き、それが世界中で建設、航空、医療などの安全管理にも応用されています。To err is human「ヒトは誰でも間違いを犯す」という前提で、個人の責任を問う事はせずに、間違いを犯しても大事に至らないシステムを作るFail safeとかFool proofといった改善が社会の安全に繋がるという思想が大事にされています。ブレーキが自然にかかるとか、逆の接続は端子自体がつながらない仕組みになっているといった事で至る所で応用されています。個人の責任を問わない文化が伸びた一方で「一事を持って全否定につなげるキャンセルカルチャー」が何故全盛になってきたかは主に政治的社会的理由が背景にありそうです。

 

〇  司法の政治利用 娯楽としての公開裁判(炎上)

キャンセルカルチャーは善悪二元論による全否定と安易な娯楽としての公開裁判の意味を持つ

巨大資本でメディアと米国民主党を牛耳るグローバリスト権力層にとって、米国をグローバリズムの中心ではなく、多極化を認め、米国を極の一つとして再構築しようとするトランプ大統領は「政治生命を消したい対象」でしかありませんでした。2020年選挙時の「議事堂襲撃扇動問題」や「機密書類持ち出し」、「ロシア疑惑」、果ては「ポルノ女優口止め料問題」と数々の無理筋提訴でトランプ氏の政治生命を絶つ事をグローバル陣営は試みましたが結局失敗、暗殺も2回試みて失敗し結局トランプ氏は大統領に返り咲きました。CNNのファリード・ザカリアはハリスの敗因の一つが「司法の武器化」に米国市民が拒否反応を示した事だと明確に評しましたが、こういった指摘は日本のメディアで聞いたことがありません。「トランプはレイシスト」「トランプはヒトラーと同じファシスト」「分断を煽る」などという「社会正義に反する」という印象操作による政敵排除を目的としたキャンセルカルチャー発動をメディアは繰り返してきましたが結局失敗に終わっています。

日本のメディアも同様の印象操作を繰り返してきましたが、「社会正義に反する」と規定した「芸能人」や「贅沢な立場にある者」を公開の場で吊るし上げる「公開裁判」は日本のメディアにとって「金のかからないバラエティ」としてワイドショーの時間つぶしにこの10年以上使われてきたネタと言えるでしょう。今回のフジテレビの一件はその「悪しき集大成」と言えるように思います。メディア全体が「安易な自らの在り方」を真剣に反省し、新たな「ジャーナリズムの規範」を作って立ち直れるか否かに既存メディア再生存続の可能性が問われていると私は思います。

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NHK映像の世紀 戦争のトラウマ 感想

2025-01-23 14:02:43 | その他

2025年1月20日に放送されたNHK映像の世紀「兵士達の消えない悪夢」は内容、編集ともに素晴らしい番組であり、どんな戦争番組よりも戦争の実態を伝える内容であったと思います。備忘録を兼ねて医師の視点を交えて感想を記します。

内容は一般の国民、民衆が徴兵によって、国家の要請で兵士となり戦争をさせられる結果各国共通に生ずる精神的障害を、精神科医学の発達の視点、殺される側の視点、殺す側の視点から考察した内容です。メンタルヘルス全盛の現在からは想像がつきませんが、精神医学が発達していなかった20世紀初頭の第一次大戦の世界戦争で多くの兵士に生じた「砲弾病」と言われる外傷を伴わない原因不明の痙攣や自己喪失状態は「詐病」なのか「真の病」かも分らず、軍も医師も対応に苦慮するものであったことは明らかです。

 

I.  殺される側の戦争神経症 Shell shock(砲弾病)

 

第一次大戦は戦線が膠着したまま年単位で動かない「消耗戦」(war of attrition)で塹壕に兵士達は籠って何日も続く砲弾の雨を耐え続けて、攻撃になると昔ながらの列をなして突撃を繰り返していました。死や手足を失う恐怖が終わりなく続く状態を強いられる事でshell shockと言われる不随意運動や痙攣、夢遊病や茫然自失状態が多発する様になりました。この塹壕に籠る消耗戦は21世紀の現在もウクライナで再現され、陣地を守らされるウクライナ兵のみが体験しています。砲爆撃の量は1:10でロシアが一方的に優勢であり、現在のウクライナにおける砲弾病の実態がいかなるものか報道が待たれます。

激しい痙攣と不随意運動の症状 電気ショックによる治療

Shell shockの治療法として外力による強制的な運動や電気ショックといった当時の治療法が紹介されます。軍はより強い恐怖「戦場離脱による銃殺」で対応し、その犠牲者が21世紀にやっと名誉回復するニュースも紹介されます。精神心理学の泰斗であるフロイトはこれらの反応を「心因性疾患」と考えて「戦争神経症」という病名を付けます。

 

II.  生き残る者の罪悪感survivor’s guilt

日中戦争において、皇軍は戦争神経症がないことになっていましたが、実際は同様の患者が出現しており、陸軍国府台病院で治療と研究が行われていた事が紹介されます。私は自衛隊病院の精神科病棟も受け持った事がありますが、当然ながら戦争神経症の患者はおらず、通常の精神疾患の患者だけでした。市川市にある国立国府台病院は戦後も戦争神経症の患者が入院を続けていて、朝になると起床ラッパを吹く患者がいるという話を聞いたことがあります。日本の国府台病院で治療された例で紹介されたのは、激戦で一人生き残ることで罪悪感を感じて立ち直れなくなるsurvivor’s guiltという症状でこれも戦争神経症の形態とされます。戦争のトラウマは殺される側から戦う側、殺す側のトラウマに焦点が移ります。

 

III.  殺す側の戦争神経症 PTSD

国家の存立危機と関係ない戦争に駆り出されて、精神を病む帰還兵   ソンミ村虐殺を伝えるメディア

第二次大戦の沖縄戦では、抵抗する民間人を米軍軍が殺戮します。女性や子供を殺すことにまっとうな米兵達は「罪悪感」を覚えます。また一方的な殺戮にも嫌悪感を示します。これは敵を殺してほしい「軍」にとっては邪魔な感情です。「人間は同じ人間を殺したくない」という自然の感情を持つのが普通なのです。1947年、米軍のマーシャル将軍は戦闘で実際に敵に銃を撃つのは兵の25%だと記して物議をかもします。そこで米軍は新兵の訓練方法を変え、「敵は同じ人間ではなく家畜以下」標的も動かない的ではなく「人形をした動く物」にして銃を撃つ抵抗を無くすようにします。

自殺したシンプソン氏  冬の兵士の聴聞会(1971)で想いを語る帰還兵

しかしベトナム戦争ではゲリラ戦法を採るベトコンに対して、一般人虐殺であるソンミ村虐殺事件などが起きてしまいます。その時19歳の黒人兵であったシンプソンは無抵抗の民間人25人を殺した罪悪感のPTSDで30年後に自殺をしたことが紹介されます。ベトナム帰還兵達の証言からPTSDという病名が1980年の精神医学の病名に追加されました。

 

IV.  兵士脳、娑婆脳を共存させる21世紀の戦争

 

2023年6月に自衛隊教育隊で候補生が銃を乱射した事件を受けて、軍の教育隊における教育の基本は「娑婆脳を一度棄てさせること」だと説明しました。軍務経験のない日本人にはこれを理解することは難しいと思いました。余分な知性、知恵を一度全て棄てて頭を白紙に戻し、教範と教官の言う事だけで動ける体にする事は、二等兵にとって作戦上も部隊にとっても重要なことです。

しかし21世紀の「テロとの戦争」においては、本来警察が行うべき「犯罪者と一般人を見分けた上で発砲する」という状況判断の連続を強いられます。これはイラク・アフガン戦争に従軍したペトレイアス将軍が策定したCOIN(counterinsurgency)という戦闘教範に即した戦い方で、イスラエルの「ハマスも民間人もまとめて虐殺する」現在のガザ紛争を彼が批判したことでも有名です。COINは本来の軍の戦い方(任務)ではない事は、かねてから私は主張してきましたが、この戦場において兵士脳と娑婆脳を共存させる事は多くの兵士達の精神を破壊する結果になり、この番組でもイラク・アフガン戦争における戦闘による米軍の死者が7,057名であるのにPTSDによる自殺が3万人を超えていることが紹介されました。クリント・イーストウッドの映画「アメリカン・スナイパー」は伝説的狙撃兵としてイラクに従軍したクリス・カイルが自らのPTSDを克服しながら、最後は心を病む帰還兵に銃殺されてしまう実話の映画化でした。2008年のグラン・トリノでは朝鮮戦争で朝鮮の少年を殺してしまい罪の意識に悩む老人を演じ、硫黄島2部作は米軍の「殺す側の論理」がこれ(星条旗)でよいのか?という問いかけを日本側から描いた「手紙」との対比で描きました。彼は兵士の立場からの「心の葛藤」と向き合った監督と言えます。

番組は現代の戦争における実相を暴き出します。イスラエルはガザにおけるハマス攻撃にAIを活用することでヒトが攻撃の命令を下す心理的負担を減らしていると紹介。一方でウクライナ戦争ではロシアは今回の戦争で10万人のPTSD患者を産んだ(英国国防省)と言い、ウクライナは民間人を含め1,000万人のPTSDを産んだ(WHO)と紹介して番組を閉じました。

罪悪感をなくすためAIによる殺人を活用  パレスチナ人はhuman animalとして扱うという国防相の発言

 

V.  国家という共通幻想はヒトとしての道徳より優先するか

法は道徳に優先するものではなく一部であるのが法学の基本中の基本 イスラエルでも帰還兵の自殺が増加という記事

貨幣が経済を成り立たせるための人類の共通幻想であるのと同様、国家は社会を機能させるための人類の共通幻想でしかありません。また「社会」は「個人の我欲煩悩を調整」するための決まり事として存在しているに過ぎません。尽きるところ「個人の我欲煩悩の調整」であり、調整するための共通幻想としての国家の要求が絶対的なものと言えるか疑問です。法は道徳の一部であることは法学の基本であることは述べましたが、法で「ヒトを殺せ」と命じられても道徳として「ヒトは殺せない」と心が命じてその葛藤で神経症になるとすれば間違っているのは「我欲の調整を行う社会の法」の側です。戦争は外交上万策尽きた最期の手段であり、一刻も早く終わらせるために最低でも「出口を決めて行う」事が、人類が決めた知恵であったはずです。現在のガザ紛争、ウクライナ、始まりそうなイランや中国との紛争は本当に万策尽きた結果でしょうか。自分の心身は傷つかない人間に限って「戦争やむなし」と気軽に口にしていると私には思われます。

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米国の外交は米国が決める(by Trump)

2025-01-18 14:01:24 | 社会

次期米国大統領のトランプ氏就任まであと数日になり、就任式の会場が急に屋内に変更になるなど無事に就任自体が行われるか注目される所です。またLame duck状態のバイデン政権が、ウクライナにロシア本土攻撃を米国製ミサイルやドローンで行う事を許可する(米軍情報機関のバックアップが必須)などトランプ就任後の行政へ様々な妨害工作をしている一方で、パレスチナ停戦合意、カナダやパナマ運河を合衆国の管轄にするとか、グリーンランドを買収するとか既に多くの話題を次期トランプ政権は打ち出しています。それらの実効性は未定ですが、これらの新たな外交政策に共通して見られる根本思想は「米国の外交は米国が決める」という事だと思います。イスラエルへの無条件の支援は主権の放棄だという論考で述べた様に、バイデン政権のイスラエル支援は自国内のみならず国際社会を敵に回し、国益を無視した「イスラエル隷従」でしかないものです。他国を支援・干渉するにしてもそこに米国の国益がなければ意味がありませんし、隷従支援のために国内の反対意見を取り締まる法律まで作るようでは完全な主権放棄と見なされても良いでしょう。これらトランプ外交の実効性については、メディアなどでは様々な意見が出されています。多くは悲観的(どうせうまく行かないという反トランプ的期待もある)なものですが、昨年7月の暗殺を免れて「神がかり」の啓示を感じたトランプ氏が失敗を恐れずにレガシィを残す偉業を画策することは大いに考えられます。また反対勢力側もある意味「一定の諦観」を持ってトランプ政権を迎えるであろうことは、選挙結果を見ても明らかだと思います。そこで種々の懸案事項についての見通しをrakitarou視点からまとめておこうと思います。

イスラエル虐殺に武器を送り続けたブリンケン国務長官は退任記者会見で(虐殺長官)などと揶揄される始末

I.  パレスチナ停戦合意

停戦合意についての3段階の概要  この狭い地域を15か月かかってもイスラエルは非武装住民の虐殺しかできず、ハマスの人数は不変という

2025年1月16日イスラエルは正式にハマスとの停戦に合意したことが伝えられました。第一段階は6週間続き、ハマスはイスラエル人人質33人を解放し、イスラエルは最大1,000人のパレスチナ囚人を解放することになっています。トランプ就任式前日から発行される停戦初日には、イスラエル軍はガザの人口密集地から撤退して7日目にはガザ北部への住民帰還が許可されます。また食料や医薬品を積んだトラックの毎日600台ガザ搬入が許可されます。

第二段階でイスラエルはガザから撤退を完了し、エジプトとの国境間のフィラデルフィア回廊に駐留を続ける一方ラファ国境検問所は明け渡す。第三段階では戦争の恒久的終結への交渉を行うことになっています。

トランプ次期大統領は「この壮大な停戦合意は、11月の歴史的勝利の結果としてのみ実現した。この合意は、我が政権が平和を追求し、すべての米国人と同盟国の安全を確保するための協定を交渉するというメッセージを全世界に送ったものだ」と彼はトゥルース・ソーシャルの投稿で述べた、とされます。

彼は、ウィトコフ特使と彼の次期国家安全保障チームは「ガザが二度とテロリストの避難場所にならないようにするためにイスラエルと同盟国と緊密に協力し続ける」と述べ「我々は、この停戦の勢いを基盤に歴史的なアブラハム合意をさらに拡大し、地域全体で力による平和を推進していきます。これは、アメリカ、そして世界にとって素晴らしい未来の始まりに過ぎません!」と付け加えました。イスラエルとしては、トランプの就任式に花を添える形での停戦は「あり」と考えたということでしょう。

 

ベギン、ラビン、ネタニヤフの系譜

イスラエルの二枚舌外交(というより約束を守らない国民性)は歴史では定番

1979年に、エジプトのサダト大統領とイスラエルのメナヒム・ベギン首相はカーター大統領の仲介でキャンプ・デービッド合意に達しましたが、パレスチナに対する自治容認は実行されませんでした。1993年のオスロ合意ではビル・クリントン大統領の仲介で、イスラエルのイツハク・ラビン首相とPLOのアラファト議長がヨルダン川西岸からのイスラエル撤退やパレスチナ国家の成立が合意されましたが、ラビン首相、アラファト議長は暗殺され闘争は継続されました。

一段落置くには良いタイミングか?

今回も恒久的停戦と2国家並存はないだろうと十分予測可能ですが、15か月戦争を続けて1万人の戦傷病者と891名の戦死(うち38名は自殺)、経済は回復に数年かかるほど下降し、米を除く世界から犯罪国家として扱われている現在、ネタニヤフは使用期限切れとして排除し、一度矛を収める事をユダヤの陰の支配者達が決断することもあり得るでしょう。シリアの半分はイスラエルが占領できそうで、トルコと新たな支配者ジョラニらの軍をいなして地盤を固める事も「大イスラエル建国」の準備段階としては重要と考えそうです。

大イスラエル国の範囲(先は長いがシリア領土獲得は大きかった) シリア反政府軍は味方にあらず、早速攻撃対象とするイスラエル

 

2.ウクライナ停戦

 

ウクライナとの戦争に勝ちつつあるプーチン大統領にとって、今譲歩を伴う停戦交渉をするメリットは全くありません。北朝鮮兵の目くらましに西側メディアが翻弄されているうちに粛々と東部戦線で支配領域を広げてゆけば良いと考えているでしょう。北朝鮮兵のニュースについては、未だにメディアの報道どおりではない様に私は思っています。毎日600-800名の戦死者が出ているウクライナで(政府は年間20万人のリクルートが必要と正式に認めている)2-3人の北朝鮮兵と見られる(言葉が話せない負傷をしている)捕虜の映像が、それほど意味があるものには思えません。多数のNATO諸国国籍の義勇兵(一部正規兵)捕虜が明らかにされる方が西側メディア的には怖れている内容ではと思います。

その意味でトランプが「就任24時間で停戦は無理だ」と言ったのは現実でしょう。早期にトランプが大幅な譲歩をして停戦したとなると沽券にかかわります。武器弾薬の供給の窓口を目立たない様に狭めつつ、ロシアの自然な進撃でドネツク・ルガンスク共和国を占領しきった所で残った領土での米国の権益を認めさせた上で脱NATO、非ナチ化、中立化した新ウクライナの存続をプーチンとディールすることになる様に思います。

砲爆撃力の差で消耗戦におけるロシア、ウクライナの戦傷病数は1:8でロシアが圧倒的に勝利しているのが現実

 

3.NATO、EU、グリーンランド

 

プーチンはウクライナの次はバルト三国、ポーランド、西ヨーロッパ諸国にも攻め込むつもりだ、などと威勢の良いヨタを飛ばしていたEU首脳達はトランプが「グリーンランドをよこせ」と逆侵略の意図を聞かされて驚いたことでしょう。各国首脳達は「もごもご・・」と歯切れの悪い反応を示すのが精一杯でした。選挙で国民から選ばれないEU首脳や官僚は単なるグローバリスト権力層の駒でしかなく、昨年来各国で正式に選挙で選ばれる「極右とレッテルを貼られる国民目線の政治家」達に徐々に排除されてゆくでしょう。

グリーンランドについては、領有するデンマークが「住民の意思で決めてゆけば良い」と言い、住民は「売り物ではない」と言いつつ協力関係は拒まないと言っているので、今後協定を結んで基地などの建設が進むだろうと思います。カナダが米国になることはないでしょうが、隣同士の国は協力して経済を盛り上げるのが最も両国の繁栄につながる事は古今東西問わない真実なのでカナダは妥協しつつも良い関係を続けるでしょう(医療保険制度などはカナダが明らかに良いし、住みやすい)。中日、ウクライナ・ロシアも隣国同士経済協力関係が良い方が両国にとって繁栄と幸福につながるのは米国・カナダと同じ。隣国同士を地球の裏側からけしかけて戦争をさせる(divide & rule)のが薄汚い英米欧の常套手段。油断すると飲み込まれるからけじめは大事ですが、他国の鉄砲玉として隣国同士で戦争させられるのは最悪の選択です。

 

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Felixtowe F.2A 1/72 Roden

2025-01-12 17:23:12 | プラモデル

第一次大戦時の英国海軍航空隊(RNAS)の飛行艇Felixtowe F.2A1/72を作りました。1/32モデルはニュージーランドのWingnut wingsから非常に精密な量産キットが発売されているのですが、1/72はウクライナのRodenが唯一作っていて、希少で非常に良い多くのキットを作るメーカーであり、現在まだ会社が存続できているか危惧されるところです。F2AはアメリカのカーチスH8飛行艇を基に345馬力のロールスロイス・イーグルVIII十二気筒エンジンを2基搭載して1918年から実践に投入されました。最高速度は154km、航続距離は950km(約6時間飛行可能)で、230ポンド爆弾(104kg)2発を翼下に搭載可能でした。北海哨戒任務に就く際目立つダズルペイント(赤白の縞模様とか)が用いられました。第一次大戦中に約100機が製造され、その後も70機が製造され、スーパーマリン・サザンプトン、スーパーマリン・ストランラーに引き継がれるまで中心となる飛行艇として活躍したと言われます。

ゆっくりと海上を飛ぶ飛行艇はドイツ水上戦闘機の獲物になりやすく、回転銃座を前後2丁、胴体横に各1丁ルイス7.7mm機銃を装備する他、上翼中央に追加の回転銃座を持つ機体もありました。このキットはその3丁回転銃座を持つタイプだったのですが、ダズルペイントではない機体を作りたいと思ったので胴体は後期型のまま銃座を持たないタイプにしました。

箱絵はダズルペイントの機体 細かいリギングの資料も豊富

モデルは決して作りやすい設計ではないのですが、ゆっくり作れば合わない部品は余りありません。問題は主翼や尾翼の昇降舵まで細かく張られた鋼線をどこまで再現するかです。最後までリギングとの戦いになることを覚悟して組み立ててゆく必要がありました。1/32キットもあるので細かなリギングの図解や綺麗に張った模型を展示したサイトなど多数あって資料には事欠かないのですが、この多数のリギングに何を使うかで悩みました。結局韓国のインフィニ・モデル製の0.05mmナイロン糸を使いました。これは2-3倍まで伸びるので長さの融通は効くのですが、一度丸まると形が崩れてしまうので、出来上がりの見た目は非常に良いのですが張るには慣れとコツが要ります。とにかく長めに切ってから使う方が良さそうです。

翼上面はダークグリーン、下面はダークイエローと肌色を混ぜた物、胴体下面はレッドブラウン、上面はミドルストーンとダークアースにしました。乗員は付いていないのでハセガワ製の海軍要員を流用しました。主翼幅が大きいので、翼と胴体はリギング張りまで別々に作って最後に接着。それでも翼を猫にタ大破されて作り直しなど苦心作となりました。好敵手はハンザ・ブランデンブルグと言われますが、アルバトロスの海軍版と並べてみました。アルバトロスは0.2mmの真鍮線でリギングしたのでやはり太さが目立ちます。

アルバトロスのリギングが太く見えます

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トランプ、プーチン、習近平の第二ヤルタ会談

2025-01-09 15:26:09 | 政治

I.  2025年はやはり波乱の年になるのか

2025年は核戦争を含む第三次大戦が本格的に始まるとか、大きな災害が発生して日本を含む世界が大被害を被るとか、いろいろ言われてきました。確かに世界の情勢は波乱含みで、ウクライナ、シリア、イスラエルなどは戦乱が続き、欧州やカナダも今までの体制に民衆がノーを突きつけて新しい自国に目を向けた体制を作り直そうとしています。1月20日には米国でトランプ体制が始まり、早速既存の権力体制を破壊する転換が始まろうとしています。ドイツの新体制はロシアとの融和による産業再興とNATOからの脱退も視野に入れていると言われます(歴史的にはそちらが正統)。

1945年2月、クリミア半島のヤルタにおいて、第二次大戦後の世界の在り方を決定づけたチャーチル、ルーズベルト、スターリンによる3者の会談が開かれた事は有名です。この会談によって東部、中部の欧州におけるソ連、米国の棲み分けとなるヤルタ協定や戦後日本の体制を決めたポツダム体制が決定づけられたとも言えます。当時は現在の様なヴィルダーバーグ会議やダボス会議でグローバルな金持ち権力者のみで世界の情勢が勝手に決まる事はなく、勿論各国の政治指導者の背後にはスポンサーがいたはずですが、現在よりは「誰が決めたか」の責任の所在が明らかであったと思います。ジャーナリストの渡辺惣樹氏によると、ヤルタ会談の時には2か月後に死亡するルーズベルトは既に現在のバイデン大統領と同等の知的状態に陥っていて、会談ではただ座っていただけで、実務はソ連のスパイとされた国務省のアルジャー・ヒスが担ったと言われ、かなりスターリンに都合が良い結論が出されたとも考えられます。

2025年はグローバル経済の権力者を中心とした利益誘導ではなく、大国の指導者が各国の利益を第一に政治を行う方向に舵が切られようとしています。それをグローバル権力者達は「極右勢力」として蛇蝎の様に嫌い、彼らが支配する大手メディアに「民主主義の敵」「独裁専制政治」とレッテルを貼って批判させています。しかし未だに大手メディアしか情報源とせず、自ら考える事を放棄した人達は別として、多くの「目覚めた民衆達」は、自分達で社会の在り方を決める「真の民主主義」の方向に再度向かいつつあり、ドイツのAfD(ドイツのための選択肢―現在勢力2位アリス・ヴァイデル氏が率いる)、フランス国民連合(RN-ルペン氏率いる。24年国民議会選挙で第一党になる勢いだった)、スペインVOX、イタリアの同胞(FDI)のメローニ首相、英国のリフォームUK(トランプ氏を支持するナイジェル・ファラージ党首)が支持を伸ばしています。クロアチアは現職のゾラン・ミラノヴィッチ氏が親グローバリズムのプリモラツ氏を大差で破り大統領を継続、ハンガリーのオルバン氏と親ロシア路線を継続するでしょう。カナダはグローバリストのトルドー首相が辞任を表明、反グローバリズムのポワリヴル氏が次期首相候補と言われています。

マスク氏が応援するドイツAFDのヴェイデル氏 再選されたクロアチアミラノヴィチ氏

 

II.  2025年は第四転換期の中心になるか

コンドラチェフの経済循環(これから良い方向に向かうかも)

種々の歴史循環理論は科学的証明や反証ができず、非科学的とされますが、現実の事象としては当てはまる事が多く、帰納法的には真実に近いものです。レイ・ダリオ氏の「変わりゆく世界秩序」における覇権国の推移(覇権は、(1)教育、(2)イノベーション・技術、(3)競争力、(4)軍事力、(5)貿易、(6)産出、(7)金融センター、(8)準備通貨という8つの要素から構成され、覇権のピークに対して、(1)、(2)、(3)は先行、(4)、(5)、(6)は一致、(7)、(8)は遅行すると分析)とか、経済ではロシアのコンドラチェフの波による60-70年周期の経済循環もあります。米国の作家ウイリアム・ストラウスとニール・ハウによるストラウス・ハウ理論は、アメリカや西洋史が21年ごとに4つの世代でサイクルを形成して80-90年周期で入れ替わるというもので、よく言われるZ世代という語彙もこの理論を発祥にしています。実際に「The Fourth Turning第四転換期」という本を訳した奥山真司氏の興味深い解説によると、1958年生まれのrakitarouは預言者世代として時代を送り、ゆとり世代の70-80年台生まれの人達は遊牧民(ノマド)として飄々とした諦観の世代ということになります。90年台以降の生まれは、現在は潜伏期ながら英雄としてこれからの乱世の時代を切り抜ける戦士として活躍が期待され、2010年以降生まれ(Z世代?)になると芸術家(適応者)として次サイクルの社会を実りあるものにすることが期待されます。

 

奥山真司氏の解説図 冬の時代の現在、預言者世代の1950-60年台生まれは老年期にいる。

日本について言うと現在のサイクルは第二次大戦終了が開始点となっていて、その前のサイクルは明治維新が開始点でした。前サイクルの英雄世代は第二次大戦を戦った若者達の世代で、社会の破壊に抵抗しようとする世代として私の父親も入っていました。預言者(理想主義)として老年期にある我々世代は、次の乱世を見据えた的確な理想を経験に基づいて実現しようとするのが仕事と思われ、今行っているブログや雑誌の記事もその一環かと思っています。

2025年はグローバリストのバカ達が核戦争を起こさなければ、トランプ、プーチン、習近平と多極主義と自国(の平和と繁栄)第一を掲げる各国の愛国者達が次のサイクルに向けて動き出す鬨と思いますが、そうスムーズに次のサイクルに移るとも思われず、今後自然災害、人災を含む大きな出来事が起こりそうな予感がします。

各時代サイクル(サキュラム)は80年周期で混乱と繁栄を繰り返すという。これから2030年に向けて混乱に入り、ミレニアル世代が英雄として自己犠牲的に活躍?

 

III.  抵抗の核は米国のメディアと経済官僚機構か

 

 グローバリズムの強固な機構は、米国のドル基軸体制、超富裕層と巨大企業による政治とメディア支配が簡単に崩せないほど構築されている現状だと思います。その支配はFBIやCIAなどの情報機関、国務省などの官僚機構も取り込んでいるために、この官僚機構をいかに整理するかというイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)の働きにかかってくるでしょう。「DOGEによって福祉が削られるという虚報・宣伝」をグローバリスト達が広めていますが「政府から君たちクズを排除するのが目的なのだ。」というのがよほど怖いのでしょう。言論の自由については、検閲産業複合体(Censorship Industrial Complex)がメディアのみならずSNSなどのプラットフォームを自由に検閲削除することでグローバリズム体制の維持と民衆の愚民化に貢献してきましたが、マスクのXのみならず、フェイスブックのザッカーバーグもバイデン政権からの検閲強制をメタのCEOとして正式に24年8月24日に暴露した上で大統領選挙には前回の様に露骨な民主党支援(4億2000万ドル)はしないと発表し、今回はあからさまな選挙不正が阻まれた結果になりました。そして25年の1月8日にメタの検閲は終了すると宣言したようです。いずれにしても次の大国のリーダーたちは、核戦争を起こさないようにさえしてくれれば何とか次の社会機構にソフトランディングができる様に他の中小国リーダー達が協力できるのではと夢想します。

 2024年12月4日にドバイで核保有国5か国の代表が中国の仲介で「核兵器の在り方」(nuclear doctrines)を相談したと報じられました。詳細は不明ながら米国とEUの政治中枢がグローバリストに握られて核戦争を起こそうと狂ってしまっている現在、多少はまともな核保有国である中ロが調整役を買って出る事は悪い事ではありません。

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BSスペシャル欲望の資本主義2025「成長神話の虚実」感想

2025-01-06 14:45:05 | その他

新年恒例の番組である「欲望の資本主義2025」を見たので感想をまとめます。最終章は「まとめ的」な内容がなく、スパッと終わってしまったので一回視聴しただけでは掴みどころがないように感じたのではないかと思いますが、全体を見直してみると、「量的な成長の持続には多極主義(グローバルサウス)の台頭を認める他はない。先進国が経済成長を続けるには、<量の成長>から<価値の成長>に成長の定義を広げねばならない。」という事です。

出演はフィナンシャルタイムズ記者のロビン・ウイグルワース、ロンドン大学経済学者ハジュン・チャン、ニュースクール大学クララ・マッティ、ケンブリッジ大学アンタラ・ハルダル、MITノーベル賞学者ダロン・アセモグル、サイモン・ジョンソンといった識者が代わる代わる出演していますが、余りにコマ切れなのでまとまった論説として捉えがたいものがありました。今回も以下各章ごとに内容を、感想を含めてまとめます。

 

第一章 全てがディールになるとき

 資本主義の勝者が報酬と権利を独り占めしすぎて民衆に再配分をする段階で不平等感が出てしまった。それは先進国と後進国の間でも起こり不満が強くなった。再配分の不手際が成長を抑圧する元にもなった。

 

第二章 合言葉は世界分散(グローバリズムから多極主義へ)

 先進国のみでなく、新興国の株式を含めたオールカントリー(オルカン)インデックス投資が世界の潮流になりつつある。それは「量の成長」からみると量が成長する余地がある新興国を含むから安全投資に見えるが、量の成長は必ずしも一方通行とは限らない。

 

第三章 成長をめぐる迷宮の中で

 各国や社会の制度によって、技術革新が成長につながる内容が異なってきた。AIの発達によって技能が低い仕事の効率化は図れるが、高度な技能の効率化は行われない。今までは中流層の雇用喪失が消費成長の障害になってきた。AIやITが雇用を奪うか創出するかの境界は、先進国産業の3/4を占めるサービス業の生産性にどのようにITが食い込むかにかかる。サイバー空間の様な「無形資産」の成長は無限大なので成長の余地は十分にある。

 

第四章 グローバル化の果ての光景

 人口ボーナスが後進国に移るにつれて、世界のなかで経済成長が起こる地域が移動してきた。グローバリズムは資本、資源、労働といった国際分業によってより安く、より多くの経済成長をビジネスモデルとしてきた。しかしそれは先進国のエゴを生み、後進国社会の成長を阻んできた。米国自体が欧州に対抗して工業成長する際に国家主体の保護主義をアレキサンダー・ハミルトンが取ってきたはず。「国家資本主義」によるグローバルサウスの成長は受け入れざるを得ないのである。

 

第五章 倫理が企業を救う?

 ボン大学のマルクス・ガブリエルは、企業の倫理を重視して、道徳と経済の融合が必要と説きます。一橋ビジネススクールの名和高司教授は、日本は「巧み」に優れ、海外は「しくみ」に優れて海外の方がスピードとスケールで優位なので、いかに「巧み」を仕組みに付け替えてゆくかが大事だと説きます。他番組でやっていた「餃子の王将」が「調理法を巧みに改善」してそれを「制度として全国のチェーン店に拡散徹底」させてゆくやり方はまさにそれかと思いました。また経営者デビッド・アトキンソン氏は、日本は「巧みを価格」に反映できていない、と価値を価格に反映させることをしない事で「成長を自らあきらめている」と解説します。マルクス・ガブリエル氏も量でなく質を成長とみなす転換が必要と説きます。

 

第六章 本当の価値の作り方

 アメリカ型資本主義(グローバリズム)以外の価値をアジアやイスラムなどの異文化の中で見つけてゆくことで新たな価値が生まれる。ヴェトナムの例は労働供給地から消費地としてヴェトナムを成長の土壌とみなす例が紹介。

 

第七章 成長神話は歴史の勝者が作る?

 これは第一章の後くらいに位置付けた方が分かりやすい内容。第二次大戦の勝者がマーシャルプランで欧州の戦後復興の歴史を作り、ワシントン・コンセンサスで民営化や規制緩和などの既定路線を決めて世界に従わせてきた。これは結局権力を持った者が他者の成長を押さえつける役にたってきた。だからこの規制にこだわることなく、新たな成長の定義を行ってよいだろう。

 

最終章 反転する成長の物語

 中国の経済成長を見ても、量の成長は民主主義や自由主義に必ずしもつながらない。量(数値)の成長のみの資本主義は「正義」や「倫理」を重視しない傾向がある。

 ヒトは他者の欲する物を見てそれを模倣して、自分も欲しいと思う。これはルネ・ジラールが提唱する「欲望の三角形」といい、ソースタイン・ヴェブレンも「ヒトは他者の眼で欲望を形作る」と説いた。量でなく、「価値や倫理を欲する事による成長は無限」であって、ヒトがこれらを欲する事で経済の原動力となる道があるのではないか。量や効率性のみを重視したAIやITのみに拘っていたら成長や雇用に限りが生ずる事は必定だろう。

コメント (4)
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