6/7-10に LA の南カリフォルニア大学で開かれた INFORMS Marketing Science Conference に参加した。例年のように1,000人ほどの参加があった模様。参加者の世代交代は少しずつ進み、特に中国・韓国系の若手が目立つ。全体としては少数とはいえ、日本から参加する若手、そして院生(特に慶応の)が以前より増えている。
いまはどんな研究が旬なのだろう?たとえばシェアリング・エコノミー。10の並行セッションのうち1つが、ほぼ連日そのテーマに当てられる程度には関心を集めていた。機械学習のセッションは以前より増えているのではないか。構造推定はもちろんだ。そして、ソーシャルメディアやインフルエンス関係も依然として多い。
自分の関心に沿って選んでいくと、どうしてもインフルエンサー関係の発表を聞くことになる。研究の焦点はインフルエンサーの存在云々から、そうなりそうな人を早期発見するといった応用の方向に進んでいるという印象を受けた。こうした「進歩」は、このテーマで論文を執筆中の自分としては、大変困った傾向である。
今回私が参加したのは、石原昌和さんや Jessica An さんとの共同研究の報告に参加するためだ。題して "Uncovering Latent Consumption/Purchase Occasions from Observational Data on Brand and Quantity Choices" ... 昨年発表した期間限定品の研究から派生し、広範な地域・カテゴリのデータを分析している。
消費者が期間限定品を買うのはバラエティシーキングとして説明できそうに見える。同じ銘柄のビールを飲み続けていると飽きる。一方で、同じ消費者のなかで同じ銘柄を選び続けるロイヤルティも観察される。一見、消費者の選好が一貫していないように見えるが、同じ消費者が異なる状況に置かれていると解釈すれば辻褄が合う。
こうした現象は、期間限定品に限られるわけではない。消費者の選好が消費・購買のオケージョンで変わるということは、現場のマーケターはすでによく理解しているはずである。それを確認するために、ふつうは質問紙・面接調査が行われる。しかし、それなりの費用がかかるので、そうしょっちゅう実施できるわけではない。
一方、多くのパッケージグッズについては、世帯または個人の購買履歴データがつねに収集されている。そこから潜在的なオケージョンによる選好の違いを推測できれば、実務的に大変便利なはずだ。さらにそこから、消費者や製品のセグメンテーション(後者は市場構造分析などと呼ばれることもある)を行うこともできる。
これは、選好の世帯内異質性と呼べなくもない。今回の会議でもこうした現象を取り上げた研究がいくつかあったが、世帯の成員の選好が異なることに注目していた。われわれの研究はそうではなく、一人の個人ですら状況によって選好が系統的に変わり得ることに注目している。独自性の高い研究だと思うのだがどうだろう?
会議全体の話に戻ろう。今回の Marketing Science Conference には、これまでにない変化がいくつかあった。よいことでいえば、最終日を含めて毎晩レセプションがあったこと、ディナーのステーキが見事でワインが飲み放題だったことなど。当たり前のように聞こえるが、ここ数年、残念な思いをすることが多かった。
この会議は来年はフィラデルフィア、再来年はローマで開かれる予定。ローマ大会は日本からの参加者も多そうだ^^
いまはどんな研究が旬なのだろう?たとえばシェアリング・エコノミー。10の並行セッションのうち1つが、ほぼ連日そのテーマに当てられる程度には関心を集めていた。機械学習のセッションは以前より増えているのではないか。構造推定はもちろんだ。そして、ソーシャルメディアやインフルエンス関係も依然として多い。
自分の関心に沿って選んでいくと、どうしてもインフルエンサー関係の発表を聞くことになる。研究の焦点はインフルエンサーの存在云々から、そうなりそうな人を早期発見するといった応用の方向に進んでいるという印象を受けた。こうした「進歩」は、このテーマで論文を執筆中の自分としては、大変困った傾向である。
今回私が参加したのは、石原昌和さんや Jessica An さんとの共同研究の報告に参加するためだ。題して "Uncovering Latent Consumption/Purchase Occasions from Observational Data on Brand and Quantity Choices" ... 昨年発表した期間限定品の研究から派生し、広範な地域・カテゴリのデータを分析している。
消費者が期間限定品を買うのはバラエティシーキングとして説明できそうに見える。同じ銘柄のビールを飲み続けていると飽きる。一方で、同じ消費者のなかで同じ銘柄を選び続けるロイヤルティも観察される。一見、消費者の選好が一貫していないように見えるが、同じ消費者が異なる状況に置かれていると解釈すれば辻褄が合う。
こうした現象は、期間限定品に限られるわけではない。消費者の選好が消費・購買のオケージョンで変わるということは、現場のマーケターはすでによく理解しているはずである。それを確認するために、ふつうは質問紙・面接調査が行われる。しかし、それなりの費用がかかるので、そうしょっちゅう実施できるわけではない。
一方、多くのパッケージグッズについては、世帯または個人の購買履歴データがつねに収集されている。そこから潜在的なオケージョンによる選好の違いを推測できれば、実務的に大変便利なはずだ。さらにそこから、消費者や製品のセグメンテーション(後者は市場構造分析などと呼ばれることもある)を行うこともできる。
これは、選好の世帯内異質性と呼べなくもない。今回の会議でもこうした現象を取り上げた研究がいくつかあったが、世帯の成員の選好が異なることに注目していた。われわれの研究はそうではなく、一人の個人ですら状況によって選好が系統的に変わり得ることに注目している。独自性の高い研究だと思うのだがどうだろう?
会議全体の話に戻ろう。今回の Marketing Science Conference には、これまでにない変化がいくつかあった。よいことでいえば、最終日を含めて毎晩レセプションがあったこと、ディナーのステーキが見事でワインが飲み放題だったことなど。当たり前のように聞こえるが、ここ数年、残念な思いをすることが多かった。
この会議は来年はフィラデルフィア、再来年はローマで開かれる予定。ローマ大会は日本からの参加者も多そうだ^^