HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 98

2011-10-09 07:06:37 | ROCK

シェリル・クロウは私にしては珍しく、デビューした時から聴き続けている数少ない女性ミュージシャンだ。
90年代は熱心にリアル・タイムの所謂「洋楽」を聴いていたために、アンテナに引っ掛かったという
のが、その理由のひとつだが最大のポイントは、音楽もそうだがルックスであったのは否定しない。
金髪の巻髪に大きな口、そして口元のほくろ。何だか昔憧れた女優に似ているような気がしたものだ。

いやいや、肝心なのは音楽である。カントリーをベースにしているということは、ある意味ロックの
王道に繋がるわけで、これを保守的と見て面白くないと捉えるか、直球ド真ん中と捉えるかは
人それぞれ。私は直球ド真ん中が来たとばかりに、バットの真芯で捉えるべく踏み込んだ。

ところが。捻くれ者の私は、93年デビューのシェリルが自分より年上の60年代から70年代に
全盛期だった人とつるむ事が多いことや、グラミーの常連になったことに違和感を覚えたりで、
アルバムは買い揃えるものの、徐々に1枚のアルバムに熱心に対峙することがなくなっていった。
本来は外角低めが一番好きな私であるからか?。

デビュー前から大物達のレコーディングやツアーに参加していた経験上、人脈はあっただろうから
何を今さらの言い掛かりに近い感情であったし、シェリルがアメリカで大きく支持されただけの話なのだが
もっと突き詰めれば、多分シェリルが付き合ったギタリストを気に入らなかっただけなのかもしれない。
そんな・・・。(笑)

掲載写真は昨年出たアルバム「100 MILES FROM MEMPHIS」。
アルバム・タイトルにあるように、メンフィスから100マイル離れたミズーリ州育ちのシェリルが
スタックス・サウンドに敬意を表して制作したアルバム。従来のシェリルのファンには、ソウル・マナーを
踏襲したバック・トラック故に不評であるようだが、私は近年のアルバムの中では最も気に入っている。
昔はミズーリ州王者になるのが、NWA世界ヘヴィー級王者への登竜門だったんだぜ。(何の話だよ。)

王道ロックでなく、王道ソウルを器用に模倣しただけと言われれば身も蓋もないが、そう言った
物言いの輩は「70年代で終わってろ。」と切って捨て、最新バージョンのシェリルを楽しもう。もう若くは
ないが(そういえば、デビュー時で既に30歳手前だった)、百戦錬磨の手管に翻弄されるほうが
気持ちいいに決まっている。

このアルバムには、ボーナス・トラックとしてジャクスン5の『I WANT YOU BACK』のカバーが
収録されている。シェリルがプロになる足掛かりになったのが、マイケルのツアーへの参加であり、
彼女のマイケルへの感謝がここに刻まれている。

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追悼 バート・ヤンシュ

2011-10-06 14:37:39 | ROCK

肺癌で闘病中であったバート・ヤンシュが、10月5日に亡くなった。享年67歳。

優れたギター奏者であるだけでなく、コンポーザーとしても歌手としても秀でていた人で、
英国フォークという狭い括りを飛び越えて活動する様は、リチャード・トンプスンと双璧であると
個人的には思っていた。
ペンタングルや70年代の一連のソロ・アルバムだけでなく、近年のアルバムも聴き応えがあるのも
トンプスン同様であった。

煙草をくわえた写真を使った渋いアルバム・ジャケットが幾つかあるのだが、「絵的」にも実に
格好よい人だった。掲載写真は私が一番好きなアルバム・ジャケットで、69年のソロ・アルバム
「BIRTHDAY BLUES」。

このジャケット写真のフォト・セッションでのものと思われる写真が、ペンタングルのアルバムに
使われている。いや、正確にはペンタングルのフォト・セッション時のものを、ソロ・アルバムに
流用したと言うべきだろう。

       

ペンタングルが68年に発表した「SWEET CHILD」の、中ジャケ左から二人目がバート・ヤンシュだ。

「I'M ONLY IN IT FOR THE BEER」か・・・・。

暫く酒を断っていたが、今日はバートを偲んで(と、言い訳して)酒を飲む。

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 97

2011-10-05 19:04:44 | ROCK

06年にデビューしたコリーヌ・ベイリー・レイ。自身の名前を冠したデビュー盤は大いに売れたのだが
鈍い私は全く気づかず、去年出たアルバム「THE SEA」でようやく、その素晴らしさに気付いた。

昨日とりあげたノラ・ジョーンズの記事の中で、ノラを先達と比べて先達であることの優位性を理由に、
ノラを批判するような話もあるという内容のことを書いた。比較論は好きでは無いが、コリーヌの声や
バック・トラックを聴いて私の頭に浮かんだのは、リンダ・ルイスであった。
勿論、ここでリンダの優位性を話したいのではない。70年代中盤以降、アリスタに移籍して
マジックを失ったリンダ・ルイスが、今デビューしたらこういうアルバムをつくるかもと思ったのだ。

ツボを押さえたバック・トラックと変幻自在のコリーヌの歌唱が、一体となったアルバムを聴きすすめると
先のような妄想もあながち間違ってないだろうと思うし、それはコリーヌの存在の重要性に繋がる。
私は音楽に「癒やし」は一切求めていない。求めるのは「高揚感」と「非日常」なのだが
素敵なメロディーに抗えるはずも無く、それは私の生活においては不幸なことに「非日常」でもある。
周りを見渡して欲しい。点けっぱなしのテレビから流れてくる「日常」の音、或いは音楽とやらの
無残な様に気がつくだろう。

ジャズもソウルもロックも咀嚼したSSW。音楽的に貪欲で様々なジャンルの要素がうかがえるところが、
個人的には窮屈で退屈とも感じられた従来の「SSW」という言葉から、感じられるイメージを壊したという
意味合いでも、近年登場した歌手の中では忘れられない人である。

   こちらは今年出た、「THE LOVE EP」。5曲のカバー・ソングで
構成され、プリンスやポール・マッカートニー等の選曲とアレンジに驚かされるカバー好きには堪えられない盤である。
EPの最後にはドリス・デイのカバーというよりは、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのアレンジを踏襲した
長尺で圧倒的な存在感の「QUE SERA SERA」が収録されている。もし「続・カバー・ソング100選」(笑)を
構想する時があれば、この中から1曲選びたいと思わせる楽しい盤である。

「自身が不幸な立場に在るとき、良い曲が書ける」というニュアンスの事を言ったのは、かのブライアン・
フェリー。自己憐憫に満ちた歌うたいのフェリーさんらしい表現であるが、新しい幸福を見つけた時に
コリーヌがどんな歌を歌うのか、私はそれに興味があるし早くそんなアルバムを聴いてみたい。

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YOU CAN DO A LOT WITH 100 WOMEN - 96

2011-10-04 18:55:47 | ROCK

少し前にジャズの細かなジャンルの中で「ビッグバンド」と「ヴォーカル」が得意でない、と
書いた。「ヴォーカル」は得意でないというか今ひとつ理解できていないのが、私が熱心に聴かない
理由である。要するにそれは「歌唱」において、ポップスやロックとの差異は何なのかということで
「ヴォーカル」であるのにバックの演奏によってジャンルが決定付けられるのなら、嫌だなというのが
私の捻くれた処である。

バックの音は、ギターが過度のエフェクトをかけず、ドラムスがうるさくなければいいのか。
ピアノ・トリオ、或いはストリングスをバックにスタンダードを唱えば「ジャズ・ヴォーカル」なのか。
発売されるレーベルが、ジャズ系のレーべルなら「ジャズ・ヴォーカル」なのか。

そういった意味の無い、どちらかというと無駄に攻撃的な態度になりがちな私の頭を軽く吹き飛ばしたのが
02年にリリースされた、ノラ・ジョーンズの1STアルバム「COME AWAY WITH ME」であった。
あの、ラヴィ・シャンカールの娘というのも驚きであったが、ブルーノートからアリフ・マーディンのプロデュースで
デビューというのも話題になった。可愛らしいルックスからは想像もできない若さと老成さを同居させた渋い声に
単純に「素敵だな。」と思ったものだ。

本人のバック・ボーンはジャズであるということと、ジャズ歌手という括りでデビューしたように記憶していたが
ノラのデビュー・アルバムは03年のグラミーで最優秀アルバム、最優秀ポップ・ボーカル・アルバムを受賞。
「スタンダードでなく自作曲を歌うからか?」なんてことも思ったが、私の中では、ちょっとした垣根が
崩れ落ちる瞬間でもあったので、ノラから得たものは大きい。

こういったスタイルの歌手に対しては、やっかみ半分で「お洒落(まあ、その基準も人によって違うが)な
雰囲気の音ならいいのか。」とか「この手の音なら昔の○○の方が上手かった。今更この手の音を・・・。」とか
言う批判がつきまとうのは、何十年と続くポピュラー音楽の歴史において昔も今も何ら変わらない。
私も時に似たようなことを思うので大きなことは言えないが、ここはノラのアルバムを楽しんだ方が
能動的で楽しいに違いない。

私個人が、ジャズのスタンダード歌手に興味が無いのは変わらないが、機会あるごとにノラのアルバムは
聴いていこうと思っている。

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LET'S ROLL ANOTHER ONE

2011-10-03 18:41:58 | ROCK

         

ここ半年くらい、ブートレグ販売サイトを見ていなかったのだが、暇に任せて、いやフラストレーションに
任せて(笑)覗いてみたら、興味深いブツがあった。

それは、販売用のブートレグではなく購入者用の特典で、掲載写真左のピンク・フロイドの映像集
であった。何でも春先にギフトとして用意したら好評だったので、再度ギフト用に用意したとのことで
春先にそんなことがあったことすら露知らなかった(笑)私は、その内容をチェックして「これは欲しい」と
思ったのだ。ブートレグ音源はしばらくすると、或いは目利きがいいと、ダウンロードできたりするのだが
映像はなかなか見つからないというのも、物欲に拍車をかけたのは言うまでもない。

ピンク・フロイドのファンには有名なサイト「HARVESTED」が編集した5枚のDVDーR(415分!)を
まとめたもので、確かにこれが手元にあると、70年4月にフィルモア・イーストで収録された
所謂KQED TVの映像以外の重要なものは揃ってしまうのでは、というほどの内容である。

実際に手元に届いたブツを一通り見ると、今まで見たことの無い映像がかなりあったし、過去に
見たことがある映像も、そのほとんどの画質が向上していた。先日リリースされた「狂気」の大箱に
添付されたDVDに収録された72年の映像や、かつてソフト化され発売された「FINAL CUT」のプロモ・
クリップもあるが、それらが纏まった形で見ることができるのは便利だ。

それにしても「THE SCARECROW」の映像の美しさは、一体何だ。ここまで画質が鮮明で色が
綺麗な映像は初めて見たし、撮影時のアウトテイクと思しき映像(無音声)まである。
「FINAL CUT」のプロモ3曲は、アルバム発売時にベスト・ヒットU.S.A.で見たことがあり、
ロジャー・ウォータースの何とも言えない、日本に対する悪意のようなものを感じたことを思い出した。

掲載写真右は、これも同じく「HARVESTED」が編集したフロイドの映像集の2枚組ブートレグDVD。
かつては、これを入手して「画像がいい。しかも全部で200分もある。」と何かと重宝したものだが
今回の5枚組で御役御免となりそうだ。

この5枚組DVDーRはあくまで「おまけ」なので、何かブートレグを2枚以上買わなくてはならない。
で、頭を悩まして買ったのは・・・。

    

ザ・フーだったりして。(笑)

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LOLLAPALOOZA LIVE DVD / LOU REED

2011-10-02 09:37:07 | ROCK

掲載写真は2009年のロラパルーザに出演した際の映像を収録した、ルーリードのDVD。
白黒では無いが、極端に彩度を落としたセピア・トーンの色調が映像に深みを与え、単なる演奏を
捉えたDVDでなく、何かひとつの映画を見たような気分にさせる。

メニュー画面もチャプターもなく、いきなりDVDはスタート。チャプターがないので曲を飛ばすという
ことが出来ない。まあ、早送りは出来るのだがルーの意図は「たかだか1時間弱。選りすぐられた
選曲の演奏を腰を据えて見ろ。」ということであろう。ぼんやりしているとDVDは終わったあと自動的に
頭から再生を繰り返す。「もう1回見ろ。」である。(笑)

バックのメンバーにはロブ・ワッサーマンやスティーヴ・ハンターという馴染みのある名前に加え、
ウルリッヒ・クリーゲル、サース・カルホーンの名前が。
この二人は2008年にリリースされた、あのノイズの傑作「THE CREATION OF THE UNIVERSE」を
録音したLOU REED'S METAL MACHINE TRIOのメンバーであり、これは一筋縄ではいかない
演奏が期待できるとDVDを観る前から思った。

実際にここでの演奏は素晴らしい、というか面白い。ルーを含めギタリストが3人いるのに、ほとんどの
場面においてギタリストはリズムを刻むのに徹する。リードを弾くのは、ほとんどがルーで
流暢とかいう言葉とは無縁の、しかしそれが無いと曲が完成しないという微熱を携えたソロで
ここらは往年のルーのファンは既に了解しているスタイル。

問題の時間はアルバム「ECSTASY」収録の『PARANOIA KEY OF E』終了と共に訪れる。
曲のエンディング間近でウルリッヒに何やら耳打ち。二人のギタリスト、ベーシスト、キーボーディストが
ステージから去り、ドラマーは椅子に座って残っているものの、ここからの実質のステージは
メタル・マシーン・トリオの3人で進行。約15分に渡り、即興のノイズ演奏が繰り広げられるのだが、
これが実に格好良いのだ。フリーキーなサックスと、残る二人が操るノイズの組み合わせは、それが
大音量で放たれた時、きっとその場に居た人は限りない自由を感じることが出来たのではないだろうか。
コンサートで延々とドラム・ソロやギター・ソロを聞かされるより、よほど開放感があると
DVDを見ながら私は感じた。

えっ、何が問題の時間なのかって?。いや、メタル・マシーン・トリオみたいなのを毛嫌いする人も
いるだろうと思って。(笑)

延々と続くノイズの中、ドラムスがリズムを刻みだし呼応するキーボードが叩くコードをきっかけに
『I'M WAITING FOR THE MAN』に突入するという構成が、また格好いい。
フェスティバルでの演奏ということで、尺が短いきらいはあるが、近年のルーのライブの面白さが
濃縮されているので、ここ最近のルーのアルバムに縁が無かった方にも見ていただきたい映像である。

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IN THE HANDS OF THE FANS

2011-10-01 18:45:59 | ROCK

円高と不人気という双方の理由のせいだろうか、発売された当初amazonで2枚組3200円で
販売されていたインデックスの外盤CDが現時点で946円である。一部で高評価のサイケ盤なのだが
私は1枚物ではあるものの最初にCD化された盤を所持していることと、それを大して気に入って
なかったこともあってスルーしていた。しかし、徐々に値崩れしていく様を見て「そろそろ買うか。」と
手をうったのが8月末。8月末での値段は1860円で、「これが底値。」と判断した私は、どうやら
相場師には向いていないようだ。(笑)

今年のレコード・ストア・デイ用に発売されたイギー&ザ・ストゥージズの「IN THE HANDS OF
THE FANS」。LPのみの販売ということではあったが、これをスルーするわけにはいかないので
発売時に購入。購入時の値段は1500円であったが、これもamazonでは今現在743円也。
大サービス価格(笑)なので、未所持の方は急がれたし。この後価格が更に下がっても、
それは私のせいではありません。

LPの拡大版というわけではないが、なんと「IN THE HANDS OF THE FANS」のDVDが登場した。
再結成後のイギー&ザ・ストゥージズの映像は、03年と05年のものがDVDとして販売されているが、
ロン・アシュトン没後にジェームス・ウイリアムスン加入したストゥージズの映像は、今回が初めて。
先の2種のDVDではアルバム「RAW POWER」からの曲は収録されていなかったが、今回の映像は
「RAW POWER」全曲演奏を含む全16曲を収録。

演目が変われど、いつものストゥージズというかイギー・ポップ。腹周りの衰えは隠せないが、それでも
上半身裸でステージを駆け回り客を煽る様は相変わらずである。ライブが半分も進行していないのに
客がどんどんステージに上がってきて、どうなるかと思ったが1曲終わると全員ステージから下ろされ、
一安心。イギーのライブでステージが客だらけになるのは毎度のことで見慣れた光景であるが、
私はこの場面が嫌いである。ステージ上で素人さんを見たいわけじゃないのだから。

DVDの収録時間が150分と長いのはステージでの演奏以外に、選ばれた6人のファンとイギーの触れ合い
コーナー(笑)みたいなドキュメンタリーがあるため。その6人はカメラを持たされていて各人が写した
映像がどれなのか紹介される。どうりで今ひとつなカメラワークだと思ったのだが、これは映像の編集が
今ひとつであるということの裏返しでもある。

それでも。アルバムやDVDのタイトルやジャケット写真通り、ファンに支えられてバンドと客席が
一体となったライブの熱気は素晴らしい。値段も安価なので買って見る価値は十分にある。
次は興味深いカバーを含むと言われる、イギー・ポップの新譜を待ちたい。

コメント (2)
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