HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

THIS IS A MAN'S WORLD

2011-10-31 20:20:56 | SOUL

最近は家で映画のDVDを見ることが多い。多いといっても映画通の人から見れば、「そんなの
『多い』のうちに入らないよ。」と言われたら返す言葉も無い(笑)のだが、自分基準では「多い」のだ。
昔から映画は嫌いではなかった筈なのだが、果たしていつごろから余り映画を見なくなったのだろう。

映画を見なくなった理由は明確にわかる。それは単純に拘束時間が長いからだ。
ロックのシングルなら3分間で、アルバムなら35分から45分で完結する世界に比べて、
完結するまでに90分~120分以上かかる映画が、ある日突然「のろま」に思えて、それから
映画を見る機会が少なくなったのだ。映画を1本見るよりレコードを2枚もしくは3枚聴いたほうが
面白いと思えたのだから、これは仕方がない。

ところが、ここのところ映画を見る習慣が戻ってきた。1週間に3本から4本見るのだから、それまで
1年に10本くらいしか見ない生活から比べれば大違いというわけである。
では、何故映画を見るようになったか。

理由はいくつかある。そのひとつは単純にテレビ番組が面白くないから。おっと、こんなことを書いても
毎週「なるほどハイスクール」を楽しみにしている、なんて書けば何のリアリティもないですね。(笑)
本当の理由は、それまで45分で完結するはずだった世界、つまりLPからCDになって1枚のアルバムが
完結するまでに時間がかかるようになったことに、今更のように気付いたからである。
特に重厚なボックスに3枚も4枚ものCDが収められた箱モノが増えてくると、何を言わんや、である。
CD1枚聴くのに70分かかるのなら、後30分ぶっ足して映画を見てもいいんじゃないか、と思えるように
なった、というのが本当のところだ。こんなことに今更気がつくのも間抜けの極みだが、間抜けとは
そういうものだ。

DVDの単価がCDに比べて安い場合がある、というのも大きい理由だ。下に挙げた4枚のDVDと
それに関連するCDは、何れもCDを先に買い音楽を楽しんだ後、安価で発売されている映画のDVDを
購入した。音楽は映画と離れて独立して楽しめるものだが、映画を見たあとでCDを聴くと、また
新たな発見や思い入れが増えるというものである。そんな意味もあって最近は気持ちを改めて
映画に接するようになったというわけである。

     

映画「黒いジャガー」と「SHAFT  /  ISAAC HAYES」

      

映画「スーパーフライ」と「SUPERFLY  /  CURTIS MAYFIELD」

      

映画「110番街交差点」と「ACROSS 110TH STREET  /  BOBBY WOMACK」

      

映画「ブラック・シーザー」と「BLACK CAESAR  /  JAMES BROWN」

何れも70年代初期から中期にかけての所謂ブラックスプロイテーション・フィルムである。
貧困、差別、暴力、不法取引・・・。こういった世界から伸し上がるには、或いは正義を貫き通すには
戦いに勝ち続けなければならない。負けは「死」を意味し、されど勝ち続けることは虚しさを増幅させるだけ。
勝者もいれば敗者もいる。その差は紙一重。

映画の中では、どちらかというと黒人が格好よく描かれ白人は間抜けなように扱われるきらいもあるが
それは、そのまま権力は腐敗した物で、それに抗う者が格好よく扱われるのは、いつの時代も
どの視点から見てもさほど変わりないということに他ならない

これらの映画は、スクリーンに黒人社会が抱える問題をわかりやすく提示したという意味で価値が
あるだけでなく、独特のスリルとスピード感、そしてファッションが見る者の目を惹く。
バックで流れるトラックの出来が良いというのも特筆すべきだろう。

あっ、何で私がラップやヒップ・ホップが嫌いなのか、その理由も更に明白になりました。
音楽センスの違いに加えて、ファッション・センスの違いというのは、今まで気付かなかった。(笑)

この4本の映画は、どれも面白いのだが、一際印象に残るのは「ブラック・シーザー」かもしれない。
ヘミングウェイの「勝者には何もやるな」という言葉をどう解釈するかは見る人に任せるが、伸し上がったかに
見えた男がかつての自分と同じような年若いギャングによって末路を迎えるエンディングが、
争いの虚しさを感じさせる。

「スーパーフライ」にはカーティス・メイフィールドの演奏シーンがあるし、「黒いジャガー」のDVDの
映像特典にはアイザック・ヘイズによる『THEME FROM SHAFT』の録音風景も収録されていて、
音楽的な楽しみも十分にある。

えっ、「COFFY」はどうしたって?。

今回はIT'S A MAN'S MAN'S MAN'S (更に)MAN'S WORLD ということで。(笑)

BUT IT WOULD BE NOTHING
NOTHING WITHOUT A WOMAN OR A GIRL・・・・

コメント
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