肺癌で闘病中であったバート・ヤンシュが、10月5日に亡くなった。享年67歳。
優れたギター奏者であるだけでなく、コンポーザーとしても歌手としても秀でていた人で、
英国フォークという狭い括りを飛び越えて活動する様は、リチャード・トンプスンと双璧であると
個人的には思っていた。
ペンタングルや70年代の一連のソロ・アルバムだけでなく、近年のアルバムも聴き応えがあるのも
トンプスン同様であった。
煙草をくわえた写真を使った渋いアルバム・ジャケットが幾つかあるのだが、「絵的」にも実に
格好よい人だった。掲載写真は私が一番好きなアルバム・ジャケットで、69年のソロ・アルバム
「BIRTHDAY BLUES」。
このジャケット写真のフォト・セッションでのものと思われる写真が、ペンタングルのアルバムに
使われている。いや、正確にはペンタングルのフォト・セッション時のものを、ソロ・アルバムに
流用したと言うべきだろう。
ペンタングルが68年に発表した「SWEET CHILD」の、中ジャケ左から二人目がバート・ヤンシュだ。
「I'M ONLY IN IT FOR THE BEER」か・・・・。
暫く酒を断っていたが、今日はバートを偲んで(と、言い訳して)酒を飲む。
そして、大ショックです。
ペンタングルのギターの名手、バートが死んでしまったなんて・・・
私もペンタングルは大ファンでして、レコードでは全アルバムを所有していました。
アコーステイックにこだわり続けた姿勢には、頭が下がります。
ご冥福をお祈りいたします。
ペンタングルは、1stを聴いた時点ではピンとこなかったのですが、「バート&ジョン」を聴いて
見方が大きく変わり、アルバムを揃えました。
長い揉み上げに、煙草とビール。
何だか古の米国産ロッカーをイメージさせますが
それでいて、渋くアコースティック・ギターを
弾くところが格好良過ぎでした。
私もバートのこのアルバムは、ジャケットがとても好きで、
一時期部屋の壁にディスプレイしていました。
アンディ・ロバーツ、アン・ブリッグス、ボビー・チャールズと、
犬ジャケは名盤が多いと思うのですが、どうでしょう?
このアルバム、内容も勿論良いですね。
特に1曲目の「Come Sing Me A Happy Song To Prove
We Can All Get Along The Lumpy Bumpy Long And Dusty Road」(長い!!)は、
バートの優しい一面が曲に滲み出ていて、大好きな曲です。
彼の魂が安らかならんことを祈ります。
犬好きの私にとって、このジャケットは「辛抱たまらん」ジャケットなのです。
犬ジャケは確かに名盤というか、「名ジャケット」が多いですね。ヴァン・モリスンや、ジャック・ブルース、ジェームス・テイラー、ニール・ヤングにジョン・フォガティ、そしてディランの「地下室」!。
バート・ヤンシュのアルバムに、大きなハズレは
ないと思うのですが、ジャケットの魅力が
「BIRTHDAY BLUES」を更に魅力的なものにしているのは間違いないでしょう。
手を伸ばせば届くところに置いておきたい1枚です。これからも、ゆっくり聴いていきたいと思います。
英国はおろか、外国に行ったことすらない私には
うらやましすぎる経験をされたのですね。
ロイヤル・フェスティバル・ホールっていうのが
渋すぎで、しかも最前列だったのですか!。
それよりも、バート・ヤンシュ最後期の演奏を
目撃したという事実が、思い入れを強くします。
残された私達は、彼の残したレコードやCDを聴き続けることしかできないのが、もどかしいです。
Thank You,Boy」とにっこり微笑みながらギュッと抱きしめてくれた。まるで肉体労働者のような逞しさに驚きながらも、本当にうれしかった。春まだ浅いその日、外に出るとなごり雪が降っていた。人生最良の一日だった。今、涙が止まらない。ありがとう、ありがとうバート。人生の美しさを教えてくれて。
80年のラフォーレ原宿といえば、「AT LA FORET
WITH MARTIN JENKINS」としてライブ盤になった
ことで、日本のいや世界のバート・ヤンシュ・ファンに知れ渡った演奏ではないですか。
そういった場にいただけでも凄いのに、出待ちで
素敵な体験もできたとなれば、羨ましい限りです。
その場にいなかったのに、何だかその光景が
浮かんできて、こちらも嬉しくなります。
改めて、R.I.P.
大学浪人の頃、友達に誘われてラフォーレ原宿でのバート・ヤンシュのライブに行きました。当時ペンタングルのスウィートチャイルドぐらいは聞いていたのですが、ほとんど何も知らないまま行ったのですが、生演奏を聴いて大感動してしまいました。演奏終了後サイン会をやっていて、当時ほとんどお金もなかったけれど、シングル盤を一枚買ってサインしてもらいました。そこには、「また会えるかな?」と書いてありました。
その後音楽から遠ざかっていたのですが、この数年また昔のものを中心に音楽を聴くようになり、あのラフォーレ原宿でのライブを収録したCDを見つけたときは、これは奇跡かと感激しました。
あんなに音楽も人柄も優しさと誠実さが滲み出た人はみたことがありません。
本当に残念です。
またまた、いい話を読ませていただきました。
キャパがそれほど大きくないハコで演奏した後の
ミュージシャンと話す機会があれば、その印象がよければ、ますますそのミュージシャンのことが
好きになりますよね。
あまりに大物の場合は、そういうこともなかなか
ないでしょうが。
バート・ヤンシュ、やはりいい男だったのだなと
いう思いが私の中で更に増幅してきました。