HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

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LOLLAPALOOZA LIVE DVD / LOU REED

2011-10-02 09:37:07 | ROCK

掲載写真は2009年のロラパルーザに出演した際の映像を収録した、ルーリードのDVD。
白黒では無いが、極端に彩度を落としたセピア・トーンの色調が映像に深みを与え、単なる演奏を
捉えたDVDでなく、何かひとつの映画を見たような気分にさせる。

メニュー画面もチャプターもなく、いきなりDVDはスタート。チャプターがないので曲を飛ばすという
ことが出来ない。まあ、早送りは出来るのだがルーの意図は「たかだか1時間弱。選りすぐられた
選曲の演奏を腰を据えて見ろ。」ということであろう。ぼんやりしているとDVDは終わったあと自動的に
頭から再生を繰り返す。「もう1回見ろ。」である。(笑)

バックのメンバーにはロブ・ワッサーマンやスティーヴ・ハンターという馴染みのある名前に加え、
ウルリッヒ・クリーゲル、サース・カルホーンの名前が。
この二人は2008年にリリースされた、あのノイズの傑作「THE CREATION OF THE UNIVERSE」を
録音したLOU REED'S METAL MACHINE TRIOのメンバーであり、これは一筋縄ではいかない
演奏が期待できるとDVDを観る前から思った。

実際にここでの演奏は素晴らしい、というか面白い。ルーを含めギタリストが3人いるのに、ほとんどの
場面においてギタリストはリズムを刻むのに徹する。リードを弾くのは、ほとんどがルーで
流暢とかいう言葉とは無縁の、しかしそれが無いと曲が完成しないという微熱を携えたソロで
ここらは往年のルーのファンは既に了解しているスタイル。

問題の時間はアルバム「ECSTASY」収録の『PARANOIA KEY OF E』終了と共に訪れる。
曲のエンディング間近でウルリッヒに何やら耳打ち。二人のギタリスト、ベーシスト、キーボーディストが
ステージから去り、ドラマーは椅子に座って残っているものの、ここからの実質のステージは
メタル・マシーン・トリオの3人で進行。約15分に渡り、即興のノイズ演奏が繰り広げられるのだが、
これが実に格好良いのだ。フリーキーなサックスと、残る二人が操るノイズの組み合わせは、それが
大音量で放たれた時、きっとその場に居た人は限りない自由を感じることが出来たのではないだろうか。
コンサートで延々とドラム・ソロやギター・ソロを聞かされるより、よほど開放感があると
DVDを見ながら私は感じた。

えっ、何が問題の時間なのかって?。いや、メタル・マシーン・トリオみたいなのを毛嫌いする人も
いるだろうと思って。(笑)

延々と続くノイズの中、ドラムスがリズムを刻みだし呼応するキーボードが叩くコードをきっかけに
『I'M WAITING FOR THE MAN』に突入するという構成が、また格好いい。
フェスティバルでの演奏ということで、尺が短いきらいはあるが、近年のルーのライブの面白さが
濃縮されているので、ここ最近のルーのアルバムに縁が無かった方にも見ていただきたい映像である。

コメント (4)
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