HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

G - SPOT TORNADO

2016-12-03 08:31:41 | ROCK

今年のFZ関連のリリースは凄まじかった。ベスト盤が1枚あったがそれ以外に
6枚ものCD(内、3枚組が1セット2枚組が2セット)がオフィシャル・リリースされた
のだから。FZ存命時でもこれほどのアイティムが1年の間にリリースされることはなかった。
強いて挙げれば79年に5枚のアルバムがリリースされたことがあるが、そのうちの
2枚は過去清算盤であった。まぁ、それでも新録音を3枚(LPの枚数にして5枚)
リリースしたのだから79年も凄まじかったことに異論は無いのだけど。

話を戻すと、これはそれまでFZの遺産や音源リリースをコントロールしてきた
ゲイル・ザッパが亡くなり残された遺族間での揉め事が少なからず関係していると思う。
ユニヴァーサルと契約したことで世界的に広く配給が可能になったことも大量リリースの
一因だろうが事の本質は遺産・財産争いである。

家はおろかFZの関連グッズまでが売りに出され現金化されているのは、新たなプロジェクトの
資金調達の側面もあろうが、要は大量に残されたテープをリリースして更なる現金回収を
目論んでいると考えるのは穿った見方か?ザッパ家の事情はともかく、私はこの状況を
一音楽ファン、一FZファンとしては歓迎している。なぜならそれだけ至福の時間が増える
事になるのだから。

過去にリリースされた盤が大量にあり、これからFZを聴こうとする人には更なる巨大な
山脈としてそれらは積み重なるのだろうが、それが抵抗感に繋がるか征服欲に繋がるかは
聴き手次第。今や番号が(賛否あろうが)#109までふられたアルバム群を集めることは
子供の頃にライダーカードを集めて番号順に揃えようとした私にとっては、少年時代の
延長戦をしている感覚でもある。(笑)

  
  今回の3枚はどれも素晴らしい。
#107「MEAT LIGHT」は3枚組。FZが過去にリリースした盤のPROJECT / OBJECT
シリーズの一環で69年に2枚組LPでリリースされた「UNCLE MEAT」のそれに充たる。
私は「UNCLE MEAT」は01年にリリースされたCDで聴いてきたのだが、それを
気に入っていなかった。音質が今ひとつ軽いというか痩せた音のように感じたのと、
ディスク2の冒頭にボーナス扱いで付けられた未完の映画「UNCLEMEAT」からの台詞や
音のパート(しかも1曲扱いで37分超え)が邪魔に思えたのが、その理由。

今回はオリジナルの69年バージョンでの収録で音質も迫力あるものになっていて、
やっと「UNCLE MEAT」の本質に辿り着けた感じがする。様々なスタジオ・アウトテイクや
関連曲のライブ・バージョンはぎっしりと2枚のCDに詰め込まれ、バリエーションを
楽しむにはうってつけである。

#108「CHICAGO ' 78」は78年9月29日のセカンド・ショーを収録した2枚組
ライブ盤。「JOE'S GARAGE」を製作する布陣での演奏で、ボーカリストのアイク・
ウィリスとドラマーのヴィニー・カリウタの個性が反映されている。

#109は72年の10月から12月のごくわずかな期間に行われたプチ・ワズー・ツアー
として知られる複数の公演から選ばれた5曲を収録した「LITTLE DOTS」。
人数が17人もいたグランド・ワズー期の音はあまり好みではないのだが、この時期は
ドラマーやギタリストが複数いるのはともかく、ホーンが6人いてキーボードレスという
編成が面白く、インスト中心の超絶ジャズ・ロックを堪能できる。

どれもこれも素晴らしい演奏、魅力的なジャケットであり、聴いて手にして満足できる。
来年も#115くらいまでいって欲しいものだ。(笑)

コメント
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