今年の1月に発売がアナウンスされた、グレイトフル・デッドのトランク仕様の大箱が届いた。
あの名盤「EUROPE '72」の元になった72年の欧州公演のコンプリート版を謳った箱で
最初の情報と少し違ったのは、枚数は60枚組みではなく73枚組で、セット数も3000ではなく
7200(笑)。しかし、1セット450$する7200個の大箱を、たった4日で完売したのだから
デッド恐るべし。いや、デッド・ヘッズの忠誠心に頭が下がると言うべきか。
と言っても、既に73枚のCD全てをダウンロード出来るところもあるようだが。(笑)
コンサートのほぼ全て(途中でテープが切れているものは
ジャケットにその旨の記載あり)を収録しているため、ほとんどのCDが3~4枚組なのだが、
中に一つだけ1枚物がある。
それは、4月21日にブレーメンで収録された「BEAT CLUB」のための演奏だ。正式なコンサートでなく、
テレビ収録のための演奏もしっかり組み込んでくれたことは嬉しい限り。この日演奏された10曲の中からは
『ONE MORE SATURDAY NIGHT』が放送されたのみである。テレビ用の収録なので、当然「絵」が残っている
はずなので、次は映像の発掘を期待したい。何せ、粗雑な日本人と違って几帳面なドイツ人のことだから、
文化遺産としてのロックの在り方に意識的だった筈で、テープの上書きという愚行は無いだろうから、
ドンピカの画質で残っているのだろうな。
オリジナルの3枚組LPのジャケットを踏襲して、各々のCDジャケットは描かれているのだが、正直なところ
オリジナルほどの冴えは感じられない。(笑)それでも、演奏は「音楽の僕」が奏でていると言うしか無いほど
タフで繊細なもので、私はまだ4公演分しか聴いていないのだが、この幸福が70時間超えで続くのかと思うと
嬉しくてバカになりそうだ。
夢が叶うと、その次に待っているのは現実である。
しかし、この箱を開くたびに私は天国行き(地獄でも構わないさ)のエスカレーターに乗るような
気分になるのだろう。年内には打者二巡位はしたいものだ。