HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

カバー・ソング100選への道・その33

2011-09-03 22:19:41 | ROCK

    

リアル・タイムで、どれほど人気があったのか知る由も無いが、私が高校生の時はモンキーズというのは
一段も二段も低い存在のように思われていた。それはビートルズやストーンズと比べての物言いで、
絵的に冴えないし、それ以前に「オーディションで寄せ集めた作られたバンド」とか、「ライブでは実際は演奏を
していない」とか余り良い印象を与えない記事を多く目にしたことも、モンキーズ軽視に拍車をかけた。
私もそうだが、周囲でモンキーズのレコードを買ってみようとする奇特なヤツはいなかったのだ。

モンキーズのレコードを初めて買ったのは26歳の時で、今は手元にないのだが、それはやたらと曲の詰まった
ベスト盤だった。26歳にもなると、「レコーディングの為だけのバンド」や「セッションマンが作った架空のバンド」の
アルバムにも純粋に良い盤があることを知っていたので、最早抵抗は無かった。そして単純に楽曲のアレンジや
マイク・ネスミスのセンスを楽しみ、今ではライノから出たDXエディションを買う始末だ。(笑)

66年に全米1位になったニール・ダイアモンド作の『I'M A BELIEVER』は大好きな曲だ。何となく
前向きというかポジティブな気分にさせてくれるのが、その理由だ。
転落事故で下半身付随になり、ドラマーとしての活動以前に実生活でも不便を強いられるようになった
ロバート・ワイアット。ワイアットによるこの曲をカバーは、当時のワイアットの無人島レコード10枚の中の
1枚であることを知ったヴァージン・レコードの勧めによって実現した。
自身の運命に全く落胆しなかったということは無かっただろうがアルバム「ROCK BOTTOM」と共に、
前進する意思を力強く表明したという意味で、このカバーを好きな人は多いだろう。

マッチング・モウル、ヘンリー・カウ、ピンク・フロイド、ハット・フィールド&ザ・ノースのメンバーがバックを
担当する、プログレ選抜メンバーによる録音は原曲の良さを活かしたもので、溌剌とした中にも奇妙な捻れがあって
間奏で聞けるフレッド・フリスのヴァイオリン・ソロが印象的だ。ワイアットの瑞々しい歌唱も力強い。
現行CDでは掲載写真左のベスト盤「GOING BACK A BIT」ではオリジナル録音を聴くことが出来、
掲載写真右の5枚組「EPS」では未発表拡大バージョンを聴くことができる。
今回のカバー・ソング100選では、多幸感の持続ということで拡大バージョンを選んだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする