HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

TEENAGE LAMENT  1981年秋

2010-08-19 20:07:42 | DAY BY DAY
昨日取りあげたレコードに馴染めなかったのは他にも理由があった。
四国の片田舎に住む少年には、楽曲の歌詞が全くリアリティが無かったのだ。
そして、そこには何の憧れも無かった。
「カナリアン・アイランド」と言われても、頭に画すら書けない。想像力が貧困なのだと言われれば
外れてはいないのだが、私の眼前には湾を埋め立てて煙を吐く工場、もしくは絵的に
何の魅力も無い小さな島が遠くに見える瀬戸内海が広がっていただけだ。
「さらばシベリア鉄道」と言われても、更にピンと来ない。「二色の灯」「最後の夜汽車」
「暁の終列車」(何れも同じバンドの曲名ですね)の方がリアリティがあったし。

田舎者だからかもしれないが、リゾート地よりは都会への憧れは、多くの勘違いを含めながら
持っていた。田舎の高校生であった私にとって、都会を体現するアーティストは2人いた。
その一人が柳ジョージだった。アルバム「YOKOHAMA」から想像する都会は大人のもので
自分がそこで生活するなんてことは考えられない世界。後に修学旅行で東京へ行ったが
人が多いだけで何の憧れも感じなかったが、数年後に訪れた横浜はなんとなく格好良い
感じがした。全ては肥大した想像力による刷り込みのせいなのだろうけど。

掲載写真は柳ジョージ&レイニー・ウッドが81年4月に発表したアルバム「HOT TUNE」。
「A LONG VACATION」の1カ月後に出たレコードである。このレコードはリアル・タイムで
買った。今思えばジャケットが「メインストリートのならず者」に似ているのがいい。
それはさておき、このレコードで教わったのがサム・クックだ。RCサクセションで
オーティス・レディングを知り、次がサム・クックだ。ずばり「TWISTIN' THE NIGHT AWAY」の
格好良さにヤられ、その曲の前に収録された「GOLDEN KEY」の歌詞中に登場する『LOS ANGELSの
MOTELで撃ち殺されたSINGER』こそサム・クックだと直感で了解したのは今思えば、
実に冴えていた。

秋になり、楽しそうにはしゃいでいたクラスのカップルの幾つかが崩壊し、友達の友達が
皆友達で無くなった頃、私は飽きずにこのレコードを聴いていた。
その夏リリースされたストーンズの「刺青の男」と、とっかえひっかえしながら。
私が友人達に「刺青の男」を聞かせまくったために、クラスの男友達の間では「ストーンズは
格好良い」という認識が広まったのだが、彼女達から「こんなの退屈でいや。」とか
言われたのが別れの原因だったら笑えるのだけど。

サム・クックがオリジナル・シンガーの曲なのだけど、オーティス・レディングのプロデュースで
その曲をカバーしたシンガーがいる。残念ながらアルバム未収録でシングルのB面のみに
収録された、その名曲の話は9月5日以降の講釈で・・・・。
コメント (2)
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