HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

水谷公生 / A PATH THROUGH HAZE

2010-08-08 20:25:17 | 日本のロック・ポップス
小川糸の著書「ペンギンと暮らす」に、日本のロック史に残る名盤「A PATH THROUGH HAZE」の
ことが少し書いてある。レア盤で尚且つ世界的にも評価されていることは知っていたが、
CDで再発されても水谷には何の実入りも無い、というニュアンスのことが書いてあったと
記憶する。当時の日本のロック界には、今から思えば理不尽なあるいはミュージシャンに不利な
契約の問題があったのかもしれない。単発のセッションで幾らと割り切るか、実売に応じた
印税契約にするかの違いというのもあるだろうが。う~む。

「A PATH THROUGH HAZE」は71年6月録音。佐藤允彦と柳田ヒロの演奏を聴き分けられる程
達者な耳を持ち合わせていないが、水谷のギターとの絡みは聴いていて気持ちがいい。
ちょっと篭ったような音質と、柔かいエレピやオルガンの効果もあって、初期のキャラヴァンに
代表されるようなカンタベリー・サウンドと同様の質感を感じる。
メロディアスな曲と、アヴァンギャルド(それでも解かりやすいが)の程良い同居も
カンタベリー・サウンドと呼ばれる一群のそれに近しい。

ジュリアン・コープ著の「JAP ROCK SAMPLER」では無価値のようにかかれていたが、
そんなことは無い。日本人気質と英国の湿った感覚が余りにもマッチしすぎたために
英国人のジュリアンにはそれがどっちつかずのように思えたのだろう。
インストというのは言葉という問題がないから、世界へアピールする際の障害が少なくなる。
それ故に、このアルバムは日本人は勿論、普段英米ロックに現を抜かしているロック好きには
広く聞かれて欲しい1枚だ。

そして、我々はキャンディーズの「春一番」をもう一度聴くべきだろう。
これは多分、日本人ゆえの「特権」だろうから、「特権」を放棄する手はない。
え~と、今は・・・。夏なんです。(笑)
コメント
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