昔々、CDの販売に携わっていた頃の話。
とある販売促進会議で、訳のわからないことがおこった。
幾ら払って呼んだのか知らないが、冴えない顔の爺(部外の人間である)がマドンナの当時の
最新作「I'M BREATHLESS」のさわりをCDラジカセ(笑)でかけながら、全曲解説を始めたのだ。
「ヴォーグ」とは何ぞやだの、これからのトレンドは何ぞやだの、それらを集約しているのが
マドンナであるだの、延々1時間半にわたって講釈は続いた。
あれは一体何だったのだろう。
会議らしき事が終わって、いつものように店長連中と飲みにいったのだが、不機嫌な私を
見て「ハリーにはマドンナは向いてないよな。でもな、良い物はいいんだよ。素直になれよ。
ああいうのがわからないとダメだな。」と有り難い言葉をかけてくれる3歳年上の
他店の店長がいた。流石はかつて軽音楽部に所属し、卒業公演(笑)とやらで部に一つしか
ないワイアレスを独占してギターを弾いたのが自慢のヘヴィ・メタさんは言うことが違う。(笑)
同僚たちは私を見て笑っていた。私が怒りを通り越してヘラヘラしているのが可笑しかった
らしい。
一々言い返すのもバカげていたが、以前も書いたが私は○’Zとドリ○ムが大当たりするで
あろうことをすぐに了解していた男である。好きであろうが嫌いであろうが売れるモノを
売れる時期に欠品無く揃えるのが仕事なのだ。
ただ、あの部外の人間が一体何のために呼ばれ、いくら人気があると言っても邦楽の売れ筋の
何分の一にしかならない1枚の新譜のために何をやっているんだというのがムカついたのだ。
レコード会社のA&Rなら話は別だが、地方の小売店の店長を集めて講釈をたれて何の効果が
あるというのだろう。
マドンナという女性のパワーというか衰えない上昇意欲には、彼女のデビュー時から
圧倒され続けた。CD販売の仕事を離れてもマドンナほどのビッグ・ネームになると新譜を
出す度に好むと好まざるとに関わらずニュースは耳に入る。
大して気にもとめてこなかったが、2000年にカウ・ガールのイメージで登場した時は、
「実に冴えている。彼女は再び米国中で愛されるだろう。」と思ったものだ。
かつてはマドンナのCDシングルのボックス・セットを持っていた。30枚組だったか
何枚組だったか忘れたが今は手元にない。今手元にあるのは掲載写真のシングルだけだ。
一聴して、いやMTVで一目見て、曲が可愛らしかった(歌詞も)という第一印象の良さが
現在まで続いている。「マテリアル・ガール」を歌ったのと同一人物というギャップが
面白かったというのもある。
2005年3月の当ブログでデボラ・ハリーとの対比について書いたが
それについては今も同じような思いだ。
いつか「レディ・ガガとマドンナのどちらが好きですか。」と聴かれるかもしれない。
その時はきっと「前者の曲は知らないが、女性としてならマドンナが好きだ。」と
答えるだろうけど。