ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

06/11/23 顔見世大歌舞伎夜の部②團十郎の「河内山」

2006-12-09 14:52:21 | 観劇

『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』は2回目。2003年に国立劇場で幸四郎が「直侍」と二役で通し上演した時が初見。河内山は良かったが直次郎は色気が感じられず物足りなかった。昨年の再演では直次郎が染五郎に替わっていたようで正解だと思った。
團十郎の河内山はどんなだろうか。『黙阿弥名作選』(新潮文庫)で「河内山」の部分を読んでから観た。

2.『天衣紛上野初花 河内山(こうちやま)』質見世より玄関先まで
あらすじは以下の通り。
河内山宗俊は江戸城の御数寄屋坊主。質屋の上州屋で木刀を質草に50両借りようとする。番頭に体よく断られるが、この店の跡取り娘の難儀を聞きつける。松江出雲守邸に腰元奉公に出ている浪路が主の意のままにならないと幽閉されているのだ。河内山は200両で浪路を取り戻すことを請け負う。
知恵をめぐらせた河内山は上野寛永寺の使僧と偽って出雲守邸に出向き、皇室出身の門主の権威をちらつかせて無事救出に成功。口止め料もせしめて引き上げようとした玄関先で、出雲守にとりいる北村大膳に正体を言い当てられるが、突き出されたらこの家の醜聞もぶちまけると脅す。家老の高木小左衛門がその場をおさめ、未練がましい出雲守らが立ちつくす中、花道で「ばぁかめ~」の有名な台詞を決めて堂々と引き上げていって幕。
今回の配役は以下の通り。
河内山宗俊=團十郎 松江出雲守=三津五郎
宮崎数馬=友右衛門 腰元浪路=門之助
後家おまき=右之助 北村大膳=弥十郎
和泉屋清兵衛=歌六 高木小左衛門=段四郎

原作ではこの二幕の間にもう一場面あって河内山の正体を見破るのは出雲守その人。江戸城でお茶を正面に出されているのだから一番に思い出すのはまさに道理。また腰元などの奥を仕切る人がいないのが大名家にしては不自然だと思っていたらやはり老女という配役があるのを省いてしまっている。その老女に浪路を家に帰すなとか指示するのもカットされてしまっている。浪路に殿の意に従えと強要する老女も配役に加えてこの場面もノーカットのバージョンを一度観てみたいものだ。
三津五郎の松江出雲守が門之助の浪路に執心しているのはとてもバランスがいい。そして三津五郎の悪い殿様は「野田版鼠小僧」の大岡越前でも見ているが目のあたりに邪心を漂わせた表情がいい。弥十郎の北村大膳も憎憎しい。ここに老女が加わると3人コンビで面白いと思うのだが(こだわってる)。
反対に真の忠臣の段四郎・友右衛門の組合せは昼の部の「先代萩」同様、なかなかいいと思う。友右衛門の声って立役にしては優しいのが嬉しい。
右之助・歌六・番頭の四郎五郎の揃う質見世の場面も見ごたえがあった。その場面での河内山のボウボウと髪が伸びた姿と使僧になりすました姿が大きく変わるのもこの演目の楽しさ。
團十郎の河内山宗俊は舞台向きの目・鼻・口が顔のつくりが生きる。大きな目がギョロギョロ動くのを見るだけでワクワクする。くせのある台詞回しも普通の人間ではない人物を演じるためにはちょうどいいように思える。こうして團十郎が元気にワルを演じてくれているだけで嬉しい。

團十郎の顔のつくりにふれたところで、てぬぐいさんの「河内山えかきうた」をご紹介したい。特徴がよくわかるし、音楽つきだし、これは楽しい!!
「先代萩」が重厚だっただけに、こういう軽く楽しめる芝居での締めくくりもバランスがとれてよかったと思いながら夜の部を打ち出される。
写真は今公演の筋書の表紙の一部分を撮影。「大当楽屋寿語六」が使われていて多くの役者が描かれている。絵を描く娘は「みんな表情が違っててすごいね」とのこと。確かに人の顔を描きわけるのは大変だものね。
関連の感想記事はこちらm(_ _)m
11/25昼の部①「先代萩」前半・八汐編
11/25昼の部②「先代萩」後半・勝元編
11/23夜の部①「良弁杉由来」
11/23顔見世大歌舞伎の舞踊4本の感想


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