ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/04/26 歌舞伎座千穐楽夜の部①「実盛物語」

2007-04-27 23:59:17 | 観劇

夜の部は千穐楽。「実盛物語」は以前TVで菊五郎丈の実盛で一回観たことがある。
そして一昨年の4月にTVで「松栄祝嶋台 片岡千之助初舞台」を観た。ニコニコ顔でご挨拶する千之助ちゃんにいっぺんで贔屓になってしまった。今回初めて仁左衛門との共演を舞台で観ることができるのが楽しみだった。

1.「源平布引滝 実盛物語」
今回の配役は以下の通り。
斎藤実盛=仁左衛門 太郎吉=千之助
瀬尾十郎=彌十郎 葵御前=魁春 小万=秀太郎
九郎助=亀蔵 小よし=家橘
郎党=猿弥、宗之助
あらすじは以下の通り。九郎助と小よし夫婦は、娘小万の主筋の木曽義賢が落命した後、その妻で懐妊中の葵御前を匿っている。九郎助と孫の太郎吉が琵琶湖に漁に出ると網には白旗を握った女の片腕がかかった。その腕は太郎吉が指を開くとようやく白旗を放す。そこに甥の訴人により、平家方の斎藤実盛と瀬尾十郎がやってくる。葵御前が産む子が男なら殺すためだ。はたして葵御前が産気づいた様子。その産室から小よしは白旗を握っていた女の片腕を錦にくるんで赤子だと差し出す。実盛は中国の故事をひいて腕を産むこともあろうと言い、瀬尾が清盛に報告に向かう。しかし瀬尾は実盛の二心を疑って隠れて様子をうかがっていた。そこに近くの漁師が浜に打ち捨てられた片腕をなくした小万の死体を運び込んでくる。実盛が腕を身体についでみよと言い、白旗を掲げると息を吹き返す小万。葵御前から旗が無事に届いていると知ると安心して息絶える。
葵御前が実盛にいろいろと感謝すると、実盛は今は平家方についているが源氏に仕えていた者として源氏再興を願っているという本心を明かす。また先ほどの片腕は自分が湖で若い女から斬り落としたというので、小万の息子の幼い太郎吉は母の敵と刃を向ける。実盛は太郎吉の頼もしさを褒め、将来潔く戦場で討たれようと約束し、その仔細を物語る。そのやりとりの中で葵御前が本当に産気づき、玉のような男の子が産まれる。その源氏の嫡男の第一の家来に太郎吉を推挙するが、葵御前は手柄をたててからと条件をつける。
そこに盗み聞きしていた瀬尾が飛び出してきて小万の亡骸を蹴って辱める。太郎吉は小万が身につけていた刀を抜いて瀬尾に斬りかかると、瀬尾は自らの腹につきたてて名乗りを上げる。昔不義をして産ませた娘を捨てた時にその刀を身の証にしたというのだ。平家方の自分を討って孫に源氏の若君の家来になれというのだ。太郎吉に刀を持たせて瀬尾は自刎して果てる。実盛はその刀の銘から太郎吉に武士らしい名前を与え、瀬尾の首を持って主従の固めをさせて去ろうとする。太郎吉は尚も実盛やらぬと迫るので、将来白髪首になっても髪を黒く染めて面差しがわかるようにして討たれてやると確約し、馬に乗って引き上げていく。

太郎吉と実盛の可愛い見せ場のひとつが、男子誕生を白旗に祈願する実盛の後ろを太郎吉がそおっと産室にのぞきにいくのを見つけては大人しくせよと何度か繰り返すところ。それと武士になる決意を固めた太郎吉が実盛が馬に乗ったところに自分も乗りたがるところ。座頭役者と子役の見せ場である。まさに仁左衛門と孫の千之助の情愛の通いあった心があったかくなる見せ場!馬に入っている役者さんも息をあわせての名場面。しっかりと舞台写真を追加!!

仁左衛門の実盛の台詞回しと身体の動きが義太夫にのっていて聞き惚れ見惚れる。義太夫への勉強が並大抵でないことが活きているのだと思う。長身、手足の長い身体をいっぱいに使って見得や決まり、その間の緩急をつけた動き。瞬きをするのが惜しいくらいに双眼鏡に目をくっつけて観るしかない。
秀太郎の小万もほんの少ししか出番がないのに、存在感がある。千之助は祖父と大叔父と一緒に舞台に立ち、身体中でその芝居を体感していることだろう。千之助ちゃん(やはりちゃんづけ!)は7歳とのことだが、少し台詞回しもふらつくけれど、本当に全身で一生懸命やっているのがわかるし、何より本当に嬉しそうなのがいい。馬上のふたりの笑顔で見つめ合うところなど、観ているこちらも幸せな気持ちにさせてもらった。顔が孝太郎よりも仁左衛門に似ている隔世遺伝だと思ってしまうのは贔屓のせいだろうか。これからの松嶋屋もますます応援したくなってしまった。

「先代萩」の勝元の颯爽とした捌き役のイメージを思い出しながら、今回の仁左衛門の実盛も堪能した。それに子どもへの愛情あふれる様子も本当に魅力的~。これだから贔屓度がますます上がってしまうのだった。

写真は歌舞伎座正面の千穐楽の垂れ幕。

「作品研究」さんのサイトが参考になったのでご紹介させていただいておく(→こちら)。
今月の他の演目の感想は以下の通り。
4/21昼の部①「當年祝春駒」「頼朝の死」
4/21昼の部②「男女道成寺」「菊畑」
4/26千穐楽夜の部②「口上」「角力場」


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2 コメント

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マー君 (harumichin)
2007-04-28 09:38:22
ニザさんの実盛。研究されていて、大好きなんですけど、今月は、マー君(千之助)の師匠を見つめる姿に見入っておりました。
『お芝居が、大好きなんだろうなあ。』と。
歌舞伎座のロビーでは、やんちゃに走り回って、
ママから時に、大きな声が飛ぶような彼が、
舞台では、じっとお行儀のよさを見せる。
彼の成長が楽しみです。
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★「花がいっぱい。」のharumichinさま (ぴかちゅう)
2007-05-02 23:35:25
松嶋屋と萬屋って親戚だったんですね。筋書で秀太郎さんの話を読んで知りました。渡辺保さんがチラシに出ている名前で親戚でない人はほとんどいないっておっしゃっていたのに合点でした。
千之助ちゃん、いいですね。あのニコニコ顔がいい。仁左衛門丈の愛嬌も遺伝しているんですね、きっと。私は勝手に将来の将来はこの子が仁左衛門を継いでくれるといいなぁと思ってしまいました。孝太郎は我童かな、なんて勝手に思ってます。
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