07/04/26 歌舞伎座千穐楽夜の部②「口上」「角力場」

さぁ、あと２回しっかり書きます！
２．「二代目中村錦之助襲名披露 口上」
信二郎改め錦之助の師匠・富十郎が口火を切り、初代錦之助との関わり、二代目との関わり、襲名のいきさつから何からの立派な口上。
そこから右にすすんで雀右衛門→仁左衛門→秀太郎→福助→門之助→彌十郎→東蔵→魁春→我富→梅玉→芝翫→(左端に飛んで)吉右衛門→歌六→歌昇→獅童→種太郎→隼人→七之助→勘太郎→勘三郎→時蔵→ご本人。総勢２３名による口上は圧巻！なんでこんなに多いの？？？そうか、萬屋一門ってこんなにいるのか。そして松嶋屋も親戚なのか～。この間の大看板の襲名と違って若手が多いのは、一門は若手まで並ぶだろうし、それと同じくらいの若手も並ぶということか。若手はもうほんの一言という内容だった。二代目錦之助の人柄からか、大先輩、先輩からも後輩からもとっても温かい感じの口上がいただいていた。
「今からは想像がつかないほど子どもの時は手がつけられないようなやんちゃな子だった」という魁春丈の指摘は、ちょっと意外でよかった。そういう素地があるのをしっかりと行儀良くふるまうようになったんだなぁと思えて、それも好感度アップになってしまう。
吉右衛門丈は「来月は二代目錦之助さんと演舞場で共演するので、そちらにもご来場を」と宣伝していたのはさすがだと思った。ええ、ええ、ちゃんと行きますとも！

３．「双蝶々曲輪日記　角力場(すもうば)」
「角力場」は昨年６月の高麗屋親子共演で初見(その時の感想はこちら)。
今回の主な配役は以下の通り。
放駒長吉／山崎屋与五郎＝信二郎改め錦之助
濡髪長五郎＝富十郎　角力弟子閂＝隼人　　
藤屋吾妻＝福助　仲居おたけ＝歌江
平岡郷左衛門＝彌十郎　三原有右衛門＝獅童
茶屋亭主金平＝東蔵

初見の舞台になかった吾妻と与五郎がじゃらつく場面も加わったのも見ごたえがあった。ここがあると、身請話の切実さが際立ってくる。
登場から錦之助の与五郎の“つっころばし”ぶりがいい。吾妻とのじゃらつきもいいし、東蔵の茶屋の主人が仕掛けた贔屓話にテンションを上げていく様子も可愛い。東蔵が仕掛けておきながらも最後にしらけているのも対比がきいていた。
富十郎の濡髪は衣裳を六代目菊五郎好みの色に誂えたという。通常の黒の羽織もいいが、襲名の祝儀の気持ちなのかなと思った。とにかく口跡がいいし、顔の拵えも立派なので小柄なのにどっしりとした存在感。放駒になって出てきた錦之助とのやりとりも師匠がしっかりと弟子に胸を貸している感じでよかった～。
錦之助の放駒は米屋の丁稚のちょこちょこ歩きが抜けないのも可愛いし、濡髪の八百長に気づいて意地を張るところの声の張りも耳に気持ちがいい。
閂が息子の隼人というのも見た目はちょっと相撲の弟子には遠い細さだったが、父の晴れ舞台に一緒にいることが大事。従兄弟の獅童も三原有右衛門というあまりいい役ではないが、これも一門として出ていることが大事。萬屋の一門が総出で錦之助襲名公演を盛り立てているのに好感をもった。
錦之助の与五郎と放駒長吉の二役は、襲名披露公演にふさわしかったと思えたし、千穐楽だからかもしれないが立派につとめてくれたと満足できた。

写真は『耳で観る歌舞伎』の表紙の錦之助の放駒長吉を撮影したもの。
今月の他の演目の感想は以下の通り。
4/21昼の部①「當年祝春駒」「頼朝の死」
4/21昼の部②「男女道成寺」「菊畑」
4/26千穐楽夜の部①「実盛物語」
4/26千穐楽夜の部③「魚屋宗五郎」