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冒頭の写真は公演のプログラムの表紙。スカイツリーが手前の浅草寺とともにある写真というのが浅草公会堂での公演にふさわしい。
(1)「一本刀土俵入り」の感想はこちら
【保名】清元連中
「保名」は2005年3月に仁左衛門で、2006年5月に菊之助で観ている。
今回の亀治郎の「保名」は花道を使わず、本舞台の2枚の屏風の陰から登場。清元は二挺二枚と実にシンプルな舞台だった。続けて若獅子による殺陣「田村」でその屏風が使われていて、その流れを大事にしてあくまでも若獅子の舞台の中でのバランスを考えたのだろうと思えた。
安倍保名が許嫁に自害されて正気を失っているということが頭に入って観ることができるようになっているので、狂気の中での気分のアップダウンや、小袖がその姫に見える幻の様子などが見てとれるようになってきた。またシンプルな舞台装置の中で亀治郎のメリハリのきいた踊りに集中して見ることができて、一番イメージが広がったような気がする。
地方公演は清元も録音になるけれど、音作りにはこだわったとアフタートークでお聞きした。5月は自身が狐になるので、狐つながりだなぁとチラッと連想。歌舞伎というのは人間でない存在との物語が楽しめるのもよい。
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【殺陣田村】(澤田正二郎立案 監修:田中林輔)
「保名」で使った屏風を活かして「殺陣田村」へ。紋付袴姿で立ち回りの型を演じるもの。構成は、
[手取り 白扇]-謡曲“田村”- →[薙刀]-鼓- →[居合い抜き]-尺八- →[二刀流]-琴と謡曲“田村”-。
[居合い抜き]だけシテが水野善之だったが、あとのシテは笠原章。若手がツレとなって斬りかかるのをシテが受けての立ち回りとなるが、構えや立ち居振る舞いが美しい。「様式美」の世界だった。「殺陣」という言葉も新国劇から生まれたという。
後半の歌舞伎舞踊と新国劇の財産の「殺陣」のコラボは調和がとれていて、前半の芝居ともども堪能できて大満足だった。
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【カーテンコール】
最後に出演者が次々と登場。カーテンコールだけでなく、代表の笠原章から挨拶があった。震災後の状況をふまえ、この公演をそのままやってよいものか、亀治郎に相談したという。「一人でもお客さんがいらっしゃるなら是非やりましょう」という言葉に決意を固めての全国公演実施に踏み切ったとのこと。亀治郎からもそれを受けてのトークもあり、客席もそれを支持する熱い拍手で湧く。東京公演の初日はいいムードでスタート。
しかしながら、ロビーでも感じたが、さすがに新国劇の流れを受けた観客層のようで、年配の男性が目立っていた。それも硬派という感じ。亀治郎が客演したので若めの女性客が来ているという気がした。そうそう私でも若めに入ります(^^ゞ
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【亀治郎アフタートーク】
よみうりカルチャーのトーク付き企画で、以前さちぎくさんが菊之助に質問をして阿古屋をつとめられる三曲の修練を積まれているという回答をもらったという話を聞いていたので、今回はせっかくなので私が質問をさせていただこうと思っていて、司会者が始まる前に希望者に挙手をさせたので、しっかりと手を挙げておいた。
トークの概要は、亀治郎が劇団若獅子と共演するようになった経過や、「一本刀土俵入り」の新国劇の演出の面白さ、歌舞伎にもそれが取り入れられたというような話、お蔦を演じる時の芝翫から教えられたこと(親切であっても親身になっていないから再会時にすぐに思い出せない)や着物を着崩す方法等。あらかたプログラムに書いてあったのを幕間に読んでしまっていた内容だったので、頭の大半は質問の組み立てに使わせてもらった。
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私Q:(概要)
有難うございます。実は何年か前に蜷川さんと彩の国さいたま芸術劇場でトークをされた時も聞きに行っています。亀治郎さんはいろいろな世界の方たちと一緒にお仕事をされて活躍されているので目が離せません。昨年初めて「亀治郎の会」に行き、プログラムにインタビューされても半分ホントで半分嘘で、本当のことは会のプログラムやサイトの登録会員向けのコーナーでしか話さないと書かれていたので、ここで本当のことをしゃべってもらえるのでしょうか?!
TVで亀治郎さんのお部屋が映った時に梅原猛さんが書かれたパネルが飾ってあるのを見ました。梅原さんは、震災復興の会議に菅首相の指名で委員になられて復興に向けての考え方をしっかり主張されていました。亀治郎さんは梅原さんとも深くおつきあいされているし、先ほどのカーテンコールでのお話にもありましたが、震災をどう感じ、どうしていったらいいと思っていらっしゃいますか?役者のお仲間に何年に世界は滅亡するとか煙に巻いていらしゃるようですが、滅亡は冗談だと思いますが、お考えをお聞かせください。
それと亀治郎さんの芸の継承、精進との関係もお願いします。(というようなこと)
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亀A:(真面目に大展開してくださった。大幅に私なりにまとめてしまったので文責は私です)
マヤ暦からの2012年人類滅亡説が当たったようなものだと思う。まさかそれが日本にくるとは思っていなかった。今回犠牲になった方々は本当にお気の毒だが、皆さんやすらかなお顔をされていたと聞いているのできっと天国にいらっしゃると思う。その犠牲を無にしてはいけない。
また原爆も広島・長崎と日本に落とされ、原発の大事故も日本で起きたが、これは日本人に与えられた宿命で、原爆が落とされても復興したし、日本人には原子力からもっと他の自然エネルギーに転換していくための技術力を発揮する使命があるのではないかと思う。(この原爆と原発事故の受け止め方は全く私と同じだったので共感で目頭が熱くなり落涙(T-T))
特に信じている神様とかはいないが、神的なものは存在すると思う。そしてその神はいいとか悪いとかの判断はしない。信じてすがれば助けてくれるとか天罰をくだすとかいうこともない。自分が一生懸命やっていると力をくれるなぁと思えることはある。そういう時に感謝する存在。
幕末ものとかのドラマに出演する機会があって感じたことは、西洋とアジアのかけはしになれるのは日本だということ。日本人としてやれることはたくさんある。
福島原発に近いからと首都圏から逃げ出しても仕方がない。普通に生活することが大事だ。TVなどの情報をそのまま信じてはいけない。電力会社の情報は嘘が多いし、TVに出ている学者は政府に都合の悪い人は出られなくなる。インターネットなどでも自分でどれが正しい情報か自分の頭で判断しなくてはいけない。
舞台などもただ照明を暗くしたりしても意味がないし、他でやれることがたくさんある。何がやれるかを考えながら、やっていくだけ。
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関連した他の方のQ:(概要)
困った時の神頼みとかは何かされないのでしょうか?
亀A:(概要)
神様は困った時に頼むようなものではないです。なんというか、自分の良心のようなものです。
他に、フランス公演でのフランス語の口上が素晴らしかったが、どのように準備されたのかという質問もあって、丁寧に答えていた。
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まさに贔屓になってよかったという確信をもつような機会となった。友人にこの話をしたら「やっぱり貴女がいいなと思う必然があったんだよ」と賛同してくれた。
ハイ、ますます応援していきたい気持ちが強くなりました!!
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亀ちゃんはちょっと偏屈なところがありますが、頭もよく、きちんと考えている人なので贔屓になってしまっています。生半可な質問だとはぐらかされて終わってしまうのではないかと思ったので、質問の仕方はけっこう考えて工夫しました。そうしたらあのように真面目に大展開してくれて、本当に嬉しかったです。
さいたま芸術劇場の稽古の後で追っかけて握手をしてもらったオバサンと彼は気がついたでしょうか(笑)
五月明治座の「四の切」、六月新国立劇場の「雨」としっかり観ていくつもりです!