ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

10/02/13 歌舞伎座昼の部(2)「爪王」「口上」

2010-03-06 23:19:33 | 観劇

2/13昼の部で二の午まつりを初体験したという記事以降、なかなか書けなかったが頑張って最後まで書く気になっている。
【爪王(つめおう)】
戸川幸夫作・平岩弓枝脚色の舞踊劇。波乃久里子が日本舞踊の名跡を襲名する公演で初演された。十七代目勘三郎が鷹匠を演じた所縁の演目を追善興行ということで孫の勘太郎と七之助で上演するとのこと。あらすじを公式サイトから引用、加筆。
「雪の降るある日、鷹匠は訪ねてきた庄屋(錦之助)から、悪い赤狐を退治するよう頼まれる。鷹匠は吹雪と名付けた鷹を連れて山へ赴き、吹雪を放つが狐に敗れてしまう。春が訪れ、鷹匠は吹雪に獲物を恐れる鷹は王者ではないと言い、吹雪は再び大空へ舞い上がり狐に挑み......。」
今回の主な配役は以下の通り。( )内は歌舞伎座での初演→歌舞伎座本興行初演時のキャスト。
鷹=七之助(波乃久里子→同) 狐=勘太郎(真帆しぶき→同) 
鷹匠=彌十郎(猿之助→先代の勘三郎) 庄屋=錦之助(中村錦之助→安井昌二)

この舞踊劇が期待以上になかなか楽しめた。七之助が波乃久里子の演じた役を継承するというのは「ふるあめりかに袖はぬらさじ」の遊女亀遊が思い起こされる。七之助の鷹の吹雪が実によかった。細面の切れ長の目に力があって猛禽類の化身のような姿にふさわしい。鷹羽のしっかりした質感を表すような髷の上にすっくと伸びた髪の飾りも力強さを感じる。
勘太郎の狐は2005年8月の「雨乞狐」が素晴らしかったが、今回の狐も実にいい。
狐と鷹の戦いの場面を舞踊で見せるところが変化に富んでいて引きつけられた。最初の戦いで勘太郎の狐が勝つのだが、実に憎憎しげに吹雪を追い詰めていく。劣勢にたった吹雪の七之助が綺麗な海老反りをみせてくれたのが歌舞伎の様式美をうまく使っていると印象深く思えた。

春になってリベンジに挑む鷹匠と吹雪。今度はさらに激しい立ち回りとなり、狐は火炎模様の衣裳に、吹雪は色付きの羽毛のついた衣裳にぶっかえるという見せ場もあり。ついに狐を斃した吹雪が上手奥の峰の上ですっくと立っての幕切れが実に気持ちのいいものだった。

次は勘三郎の「俊寛」だったが、順不同で「口上」を簡単に。
【十七代目中村勘三郎二十三回忌追善 口上】              
三、十七代目中村勘三郎二十三回忌追善 口上(こうじょう)
十七代目勘三郎を偲び、故人所縁の幹部俳優が追善口上を述べる一幕。芝翫が体調不調で休演のため、勘三郎自らが仕切っていた。福助がそれを詫びていた。
真ん中に勘三郎・勘太郎・七之助が並び、上手へ仁左衛門、玉三郎、三津五郎、魁春、左團次、梅玉。下手から我當、秀太郎、福助、橋之助、錦之助。
印象に残ったのは玉三郎の口上。晩年の先代の相手役に抜擢された公演で、花道の出まで鳥屋で一緒になる時間に「あと何回一緒に共演できるかねぇ」と毎日話しかけられて、お茶を濁し続けてしまった。1週間位たって思い切って「これから何回でも共演できますよ」と言ったら「そう言ってくれるのをずっと待ってたんだよ」と手を握られたとのこと。実に先代の人柄がよくわかるエピソードだった。

勘三郎は「歌舞伎座で追善興行が打てる役者になっておくれよと先代に言われていたが、それがさよなら公演で実現して嬉しい」というような話をしていたが、まぁ今の歌舞伎界における勘三郎の実力を示したということだろうと思う。
写真は、昼の部入場前の正面のさよなら公演カウント時計。2/13段階であと77日だった。
2/25千穐楽夜の部(1)三津五郎×福助の「壺坂霊験記」
2/25千穐楽夜の部(2)高下駄タップの「高坏」
2/25千穐楽夜の部(3)勘三郎×玉三郎×仁左衛門の「籠釣瓶」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿