ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/05/25 團菊祭千穐楽夜の部③「め組の喧嘩」

2007-06-05 23:56:15 | 観劇

いよいよ「め組の喧嘩」で團菊祭の感想アップ完結!
【神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩】品川島崎楼より神明末社裏まで
今回の主な配役は以下の通り。
め組辰五郎=菊五郎  焚出し喜三郎=梅玉  
お仲=時蔵  伜又八=虎之介
四ツ車大八=團十郎  九竜山浪右衛門=海老蔵
三池八右衛門=右之助  葉山九郎次=家橘
島崎楼女将おなみ=萬次郎  島崎抱え女郎おさき=松也
尾花屋女房おくら=田之助  江戸座喜太郎=左團次
柴井町藤松=松緑  露月町亀右衛門=團蔵
宇田川町長次郎=権十郎  おもちゃの文次=翫雀  
三ツ星半次=亀蔵  背高の竹=市蔵
山門の仙太=竹松

あらすじは以下の通り。
品川の遊郭島崎楼で相撲取り四ツ車大八たちの大騒ぎが隣り座敷にいた鳶の藤松たちを怒らせて喧嘩が始まる。め組の頭の辰五郎が止めに入っておさめるが、相撲取りとの身分の差をわきまえろと言われたことで内心がおさまらない。辰五郎は、尾花屋のおくらに送られてきた四ツ車を待ち伏せて遺恨を晴らそうとする。闇の中で探り合いとなり、通りかかった鳶の親方焚出し喜三郎が辰五郎の落とした印籠を手にする。数日後、芝神明の芝居小屋で喧嘩になる。四ツ車や弟分の九竜山対辰五郎や亀右衛門、長次郎らが睨みあうところ、芝居小屋座元の喜太郎が留め男となる。辰五郎は兄とも頼む喜三郎の家から戻ってくると酔ってふて寝してしまう。それを歯痒く思う女房お仲は仕返しをしないような男だったら伜又八を連れて家を出るとまで言う。
相撲の興行が終る合図を待っていた辰五郎はお仲と水杯を交わして仕返しへ。鳶の手下たちと勢揃いをして相撲部屋に押しかけていく。相撲部屋もその動きを察知して準備万端。着肉を着込んで材木を振り回す相撲取りたちと鳶たちの大立ち回りとなる。最後は焚出し喜三郎が梯子から飛び降りて両者の支配にあたる町奉行と寺社奉行の羽織を投げての仲裁となる。舞台いっぱいに大立ち回りの盛り上がりの熱気そのままの大団円。

文化2年に実際に起こった喧嘩をもとにした明治23年初演の作品。河竹黙阿弥の弟子の作ということだが、三幕目の辰五郎内の場は黙阿弥が執筆したという。
「火事と喧嘩は江戸の華」というが、実は私はこういう喧嘩の話はあまり好みではない。「喧嘩に命を賭ける江戸っ子の心意気」といわれても共感はできない。確かに身分のことも言われて馬鹿にされているのだが、こんなことで命を張って馬鹿じゃないかと思ってしまうのだ(まぁ庶民のエネルギー発散のために祭りを活用したという江戸幕府の支配の巧妙さもあるだろう)。だから半分くらい気持ちが引きつつ、まぁお芝居だからと観ているわけだ。

菊五郎劇団の生世話物は本当に粋でいなせでカッコいい。辰五郎・お仲・亀右衛門とのやりとりはポンポンと台詞が飛び交って気持ちいいことこの上ない。黙阿弥の脚本もよし、役者もよし、だ。
三階さんまでとにかく立役全員集合で鳶たち相撲取りたちになっての総力戦だ。やはり鳶姿でズラッと並ばれて気勢を上げる様は壮観。水を口にふくんで足元にブッと霧状に吹きかけるのも喧嘩場で足をすべらせぬためという。建物の上に梯子で数人が先に登り、あとからの面々はその手をめがけて駆け上り、手首をつかんで引き上げるというこの離れ業を次々に決めてくれるのはもう圧巻!ラバー製とは思うが瓦を下にいる奴らに投げつけるのはもうお祭り騒ぎのよう。

そうそう、菊五郎劇団の千穐楽だけあって立ち回り場面がやたらにヒートアップしていたように思える(この日しか観ていないので通常版を知らず(^^ゞ)。まず大道具の壁に梯子?をどんどんぶつける場面では壁を壊すまでやっていた。また負傷した人間を戸板に乗せて運び出す場面では一度戸板におろしているのにもう一度持ち上げて乱暴に投げ下ろしたりして、もうかなりのお祭り状態となっていた。

相撲取りの方は四ツ車の團十郎は文句なしにいい。この人の大きさがホントにいい。九竜山を初役でつとめるという海老蔵はやっぱり顔が細すぎる。着肉を着た場面もなんだか可笑しい。まぁ御曹司がこんな役もやるということがいいのかもしれない(追記:俳優祭の「白雪姫」のお后と鏡の精を思い出した。成田屋父子揃って着肉姿というのがいいんじゃないかと勝手に納得)。
その盛り上がりの中に梯子の一番上に行っていてその梯子を倒して二者に割って入る喜三郎の梅玉のまたカッコいいこと。こんな役は初めて見たが、昨年末の「出刃打ちお玉」でのいやらしい中年男の役といい、いろいろな役ができるのねと惚れ直す。芸の幅が広いのはいいことだ。

こうして團菊祭に大満足して翌日の「俳優祭」と続いたのだった。昨年の團菊祭は真面目に全部チケットをとらなかったことを今更ながら後悔(先に立たずだ)。来年も歌舞伎座で團菊祭を観ることができそうな感じなので、ちゃんと観るぞと決意を固めたのだった。

写真は歌舞伎座正面の「團菊祭」の垂れ幕。
以下、この公演の別の演目の感想
5/13昼の部①團菊の「勧進帳」
5/13昼の部②「泥棒と若殿」
5/13昼の部③「切られ与三」「女伊達」
5/25千穐楽夜の部①「雨の五郎」「三ツ面子守」
5/25千穐楽夜の部②萬次郎の「女暫」


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
もうたまらん (かしまし娘)
2007-06-06 11:44:03
ぴかちゅう様、まいど!
「め組」はカッチョイイっす!もうたまらんっす!
何度観てもエキサイティング!大好きな作品です。
返信する
皆様TB、コメント有難うm(_ _)m (ぴかちゅう)
2007-06-07 01:08:20
★かしまし娘さま
>梯子使った大技
>三津五郎襲名の時は、その役が菊五郎で。も~何演らせてもカッチョイイ~。
なぁるほど、襲名披露公演では辰五郎をそういう役者にやらせて座頭は喜三郎で最後にカッコよく決めるんですね。歌舞伎の作品ってうまくできてますよね。
(注)かしまし娘さんの記事はお名前の欄をクリックすると読むことができます(^O^)/
★六条亭さま
TB有難うございますm(_ _)m
江戸っ子のこういう喧嘩はあまり共感できない方ですが、芝居としては確かに楽しいですね。やはり劇団の総力戦で魅力増大だと思いました。
来年の團菊祭も歌舞伎座で楽しめそうな感じなのでしっかり観ようと思っています(^O^)/
返信する

コメントを投稿