ぴか の観劇(芸術鑑賞)日記

宝塚から始まった観劇人生。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎、映画やTVドラマ等も書きます。

07/02/24 「アカドクロ」VS「髑髏城の七人」97バージョン

2007-02-25 01:59:30 | 映画(映画館、DVD、TVを含む)

「髑髏城の七人」は1990年初演、1997年再演、2004年アカドクロ版、アオドクロ版と7年ごとに上演を繰り返してきた劇団☆新感線の人気作品。作・中島かずき、演出・いのうえひでのり。
「SHIROH」のDVDを買う時に送料を無料にするために合わせて買った1997年再演版のDVDを持ってはいた(DVDで「ドクロBOX」が出る位の作品なので全く知らないのはいけないと思いつつ、一番安かったバージョンにした)。娘とともに一度観ようとしたが冒頭の歌の場面でつまづいて挫折したままだった。
  
そこで新宿バルト9のオープニングを飾るゲキ×シネ4作品一挙上映の中でアカドクロ版、アオドクロ版を観て我が家のDVDと合わせて制覇する計画をたてた。
2/22に新宿バルト9で「アカドクロ」を観た。面白かった。DVDも2/24土曜日に観た。
両方の配役は以下の通り。( )内が97バージョン。
玉ころがしの捨之介と天魔王の二役=古田新太(同じ)
無界屋蘭兵衛、実は森蘭丸=水野美紀(栗根まこと)
ぺてんの沙霧=佐藤仁美(芳本美代子)
極楽太夫=坂井真紀(高田聖子)
抜かずの兵庫、実は兵六=橋本じゅん(同じ)
裏切り三五=河野まさと(同じ)
贋鉄齋=梶原善(逆木圭一郎)
兵六の兄・磯平=磯野慎吾(同じ)
斬光の邪鬼丸=山本亨(同様の役回り、きらくいんがまる:右近健一)
狸穴二郎左衛門、実は徳川家康=佐藤正宏(こぐれ修)
服部半蔵=川原正嗣(同じ)

物語の舞台は織田信長の死後8年たった関東。信長の影武者だった二人の男を二役で古田新太が主演。そのひとり髑髏党を率いる天魔王は関東を支配し、秀吉に対抗する北条家も裏で操っている。天魔王は刀も銃弾も通さない髑髏の頭の兜と鎧を身につけている。このダースベイダーのような姿だから二役の対決場面も楽しめるわけだ。
天魔王の髑髏城をつくった城づくりの一人の沙霧が絵図面を持って逃げ出す。追っ手の髑髏党の邪鬼丸たちから沙霧を捨之介や二郎左衛門が救い、無界屋蘭兵衛が仕切る色里に隠す。遊女の頂点にたつ極楽太夫にぞっこんで通い詰めるのは関八州荒武者隊を率いる抜かずの兵庫。そこに髑髏党が襲ってくるが、極楽たちが戦乱を逃れてきた鉄砲衆という正体をみせて応戦。
蘭兵衛は天魔王に300梃の鉄砲を無界屋の女たちの命を引換えろと売り込みにいくが、天魔王に森蘭丸だと見破られ、薬を飲まされてしまう。信長の代わりに自ら天下をとろうという天魔王の持つ野望に引きづりこまれてしまうのだ。秀吉軍を関東に引き寄せて英国艦隊に大阪を襲わせようと8年がかりですすめた陰謀は番狂わせで実現しなくなると、を自分の身替りにして逃げ延びようとする。
髑髏城を舞台に7人は闘い、天魔王を倒してそれぞれの未来に旅立っていって幕。

「アカドクロ」は期待以上に楽しめた。戦国時代の最後に関東を舞台にしたフィクションの物語をエンターテインメントにして十分面白い舞台になっていた。新国立劇場中劇場の奥行きのある舞台を活かした演出もよかったと思う。
しかし.......。古田新太、太ってしまったのは彼については許容範囲内だからいい。一番の問題は髪型だ。DVDで見た捨之介の写真でも髪が黄色だったから色はいい。問題はヘアスタイル。上がスポーツ刈りのように短くて襟足が長いあの髪形。あれが嫌いなのだ。娘が小さい時に同じくらいの子どもにもあれをさせているのを見たことがあったが親の顔が見たいと思うくらいに嫌いだった髪型。あれで一気に冷めてしまった。客演の女優を含めて女性陣の熱演はよかった。しかし物足りない。ワハハ本舗の佐藤正宏も狸イメージを生かして狸親父の家康で好演だと思った。東宝ミュージカルのテナルディエやヴァンパイヤの宿屋の亭主よりよほどいい。しかし、物足りない感が強く残った。

そこで1997年再演版のDVDを観たら.......。
「髑髏城の七人 1997 DVD」の詳細はこちら
前回つまづいた冒頭の歌の場面を我慢するとそこから先は面白ワールドに一気に入っていく~。当時の技術での撮影ということで音響などの状態があまりよくないために冒頭の歌が聞き苦しいと推測した。こちらではカマイタチの術を操るきらくいんがまるが右近健一になっているくらいで歌の見せ場も多い。QUEENのパロディが多いのも私として嬉しい限り。右近健一の声が「SHIROH」以来大好きなので、「アカドクロ」での禿頭の犬神泥師という役は物足りなかった。
古田新太、チラシ写真より太っていると舞台でもみんなにチラシを示されてからかわれていたのは笑えた。それでも今よりかなりスリムでカッコいい。にわかファンの私でも今のおデブ古田でも好きなのだから、この頃に熱烈ファンになった人は今の彼にもさらに深い愛情を注がせるのだろう。そして気になる髪型はこっちの方がはるかにカッコいい。でも今の彼には似合わないのかもしれない。
沙霧は佐藤仁美も元気でいいが、芳本美代子がとにかく歌もうまいしカッコいい。極楽太夫はやっぱり高田聖子!芳本美代子とともに歌う場面などもいい!!

それに大きな違いは無界屋蘭兵衛を水野美紀か栗根まことというところ。前髪の美しい小姓だったイメージの強い森蘭丸だったという設定でいえば、女優の水野美紀の方がいいのかもしれない。しかし実は信長の骨を拾ってつくった大型算盤をしょっているところといい、薬を飲まされて蘭丸に戻り、敬愛する?信長を殺された恨みをメガネをはずした目に宿しながら思いを吐露する場面などの迫力に、栗根まことの魅力を気づかされてしまった。

1997年のサンシャイン劇場での録画だが公演日は多分10月18日。黒板に贋鉄齋が字を書く場面に年月日と当番いのうえと書かれていて毎日書き換えていると思われた。
ライティングも派手で美しいし、壁際に仮設した花道も効果的に使われていたのも面白かった。「アカドクロ」よりも荒削りだが、劇団メンバーの魅力がより楽しめるし、ロックバンドの音も目立つしというところで、97バージョンに軍配を上げる。

染五郎が「現代の歌舞伎の誕生」と絶賛したことで劇団☆新感線に出演するきっかけともなった作品ということだが、むべなるかなと納得した。
写真は公式サイトより ゲキ×シネ「アカドクロ」の宣伝画像。
ゲキ×シネ「アオドクロ」は3/1に観る予定(→観てきた。感想はこちら)。