ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

「学校で教えてくれない音楽」(大友良英著)

2023-08-15 12:22:57 | 読後感想など
今年の目標の一つは「毎月一冊は本を読む」。
今年三冊目の本を読み終えました♪
(えっと、今何月でしたっけ?(^^))

大丈夫。
まだ4ヶ月ある(違)。

大友良英さんはギタリスト、ターンテーブル奏者、ノイズの人。
でも儂にとっては2011年の東電の事故以降、いろんな気づきを与えてくれた人でもある。

とは言い乍ら、この本は軽い気持ちで手に取った。
「学校で教えてくれない音楽なんて楽しい音楽に決まっているじゃん」みたいな浅いノリである。
学校の堅苦しい音楽じゃなく、もっと雑多でラフな軽い音楽論?みたいなね。
まぁ、それで間違い無いんだけど。。。とんでもなく深かった!

なんだろうな、儂がなんで音楽が好きなのかなぁ?なんて考えた事もなかったけれど(別に考える必要も無いんだけれど(笑))、あぁそういう事かと色々腑に落ちる感じ。

タイトルが暗示する(大友さんにその意図はない気がするけれど)のは、アンチ学校的な教育のあり方だな、とも思う。
例えば、自由って何か?
子どもたちに「自由」である事を求めるのはいい事、みたいなのが自明であるかのように思われるけれど、そもそも大人がそんなこと言わんでも自由なのが子どもでしょう?子どもたちに自由にさせないのは大人であるのに、その大人が子どもに自由にして良いよと言う事で子どもの自由に理解があるつもりでいる傲慢さの中にある無自覚な強制性。ここまでは容易に想像がついたのだけど、むしろ子どもたちは「社会の中で自分がどう位置づけられているか」を求めているのじゃないか?という指摘に驚く。社会というのはある意味自由と対極にあるわけで、学校がまさに社会化の機能であるのと同時に子どもたちも社会の中で社会に認めてもらう事を求めている(つまり社会化される事を求めてる?)という視点は、至極当然なのだけど、あまり考えたことのないところでもある。またそれは、誤解を恐れずに言えば自由な存在であるからこそ、逆に「押し付けられること」を求めるという事でもあると言えるかもしれん。エーリッヒフロムか!?
これ、考えたら怖いよね。
従順な子供を求めてみたり、管理教育と言ってみたり、ブラック校則でがんじがらめにしてみたり。まぁ色々あってそれは大人が責めを受ける問題なのは間違いないにしても、子どもたちも進んでそれに従うような資質を持っているという事を理解しないと、とんでもなく見当違いな話になりそうだ。
学校の中にいる以上、そんな疑問を持つことはない。
いや、学校の外に居たって学校化社会の中にいるのだ儂らは。そっから脱することは難しい。イワンイリイチか!?

西成の子どもオーケストラや音遊びの会が「居場所」になるというのも今の儂にはよくわかる。
儂が久しぶりに市民バンドに参加して楽器を吹く事にしたのは、はっきり言って居場所を求めての事だし、今年中学生になったウチの子が吹奏楽部に入ってそれが楽しみで学校に行っている様子を見ると音楽を楽しむ場が「居場所」になるというのは普通の事だな、と思う。
でもさ、多くの人にとって学校の音楽の授業は。。。居場所にならないじゃない(笑)。

PTAの事とか考えていても儂が行き着いたのは儂らには「居場所」が必要だという結論だった。儂らの多くは「居場所」欠乏症に苦しんでいて、それが社会の息苦しさにもつながっている。
いや、別にさ、その居場所は音楽を媒介にしなくったって全く構わないんだけれど、音楽という装置が居場所に理由を与える事もあるという話だ。

大友さんは、音楽に「意義」とか「目的」とかなくて良い、と言う。
そうなんだよ。居場所に本当は意義も目的も必要ないねん。そう思う。
だけど、なんだか意義も目的もない場所というのはなかなか許容されない、というか、「意義も目的もない」のだから必要じゃないと思われがちなのだろうな。
そうするとさ、音楽というのを言い訳にして居場所を作るというのはありだよね。
もちろんその言い訳はなんだって構わない。集まりやすければ本当になんだっていい。
「無目的」という「目的」を許容できるほどに儂らの社会はまだ成熟しているとは言えないと思っている。

厳密に言えばさ、顕在的な(強要され正しいとされる)「意義」とか「目的」は必要ではないんだけれど、潜在的な(表立って意図を明言はしないけれど醸成される)「意義」とか「目的」がそこにはあって、それは本当に本当に必要なのだと思うんだな。その為の居場所が圧倒的に少ないのだ。

驚いたのは大友さんが最後に、田中克彦さんの「ことばと国家」という本について「自分の考え方、音楽を考えるときの思想のようなものの基礎になった」と言っている事。
「ことばと国家」は儂もちょっと前に読んだばかり。あれ?もしかして大友さんの話を聞いて「ことばと国家」も買ったんだったかな?記憶にないけど。
難しかったんだけど、もう一回読み返してみる?

「音痴はない」と簡単に言い切ってしまうさやさん、すごいな。
完全に儂の根底から揺さぶられた感。
その感覚が共有されるだけで、儂らはもっと楽に生きられるんじゃないのかな。


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