ぱたの関心空間

関心空間と徒然なるままに。

「阿武隈共和国独立宣言」(村雲司)

2014-06-25 14:35:05 | 読後感想など
最後はファンタジーになってしまって小説としては物足りなさを感じるけれど、考えさせられる事だらけ。一つのブレイクスルーの形のアイディアとして考えるのはあってもいい。実現は難しいとしても、日本人に突きつけられているものはそれだけ切羽詰まった物だ。

自分たちの生存と未来を守るために、「国」を棄てる、という発想は、今の日本ではかなりリアルな感覚だと思う。しかし、その為に自らは滅びの道を選ぶというのはなんとも悲しすぎる。でも、それ以上の解はやはり無いのだろうか?

そして、国のありよう。安全保障についてリアルに考える。本作中では否定的だけど、阿武隈共和国の安全保障策はありなんじゃないだろうか?無主物なんだし(笑)。

使わずに済むのであればちょっとしたブラックジョークで済む。が、ちょっとでも共和国に害をなさんとすればたちまち牙を剥く。でもその種を振りまいたのは他ならぬ日本国。なんという皮肉。おどけながらも相手に途轍もない抑止力を発揮する。虐げられた者に許される最高の安全保障。

そうだ、井上ひさしの吉里吉里人でも、この点で最終的にしくじったんだっけな。あれは金の隠し場所だったな。ここを考えると明らかになる国家の本質的な怖さ。

そんなに単純じゃないことは承知で言うが、究極的な民主主義の帰結は独立にあるのかもしれない。今、儂ら必要な事は「故郷の山河を棄てろと国が強要するなら、国を棄ててもいい(長老)」という覚悟なのかもしれない。

ヤバイな。危険思想だな(^^)。

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