パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

音楽を文字に 白寿の評論家

2012-04-30 | music/classic
白寿というと「百」という漢字の上の横棒「一」を引くので、99歳のことを言う。ベストセラー新書の『50歳を超えても30台に見える生き方』の著者、南雲吉則からいわせると、人間の年齢の節目、いわゆる二乗でわかる人生の分岐点でいうと10の二乗、100歳である。

この白寿を前に、本を出版したのが、音楽評論家の吉田秀和だ。クラシックの大ピアニスト、ホロビッツをして、1983年(昭和58年)の初来日の演奏を酷評し、3年後の再来日時に、「鍵盤上の魔術師」と再評価した話は有名だ。80歳を過ぎたホロビッツが、一人の評価で発奮したという。

『言葉のフーガ 自由に精緻に』は2011年10月刊行。この吉田秀和のこれまでの多くの評論から、1950年(昭和25年)37歳の「ロベルト・シューマン」から1990年(平成2年)77歳の「マネの肖像」まで半世紀の歩みだ。

バルトーク、モーツァルトなど作曲家5人、パリ、ザルツブルク、バイロイトなんどの音楽の町訪問記、バッハ「ロ短調ミサ曲」やモーツアルト「変ホ長調交響曲(K543)」、ベートーベン「第9交響曲」などの曲評論5作、グレン・グールド、マルタ・アルゲリッチ、カルロス・クライバー、ジュゼッペ・シノーポリ、レナード・バースタイン、ヘルベルト・フォン・カラヤン、カール・ベームなどの演奏家11人。音楽と美術に対する造詣の深さはすさまじい。

巻末の年譜がすごい。大正2年(1913年)に東京で生まれ、24歳の時に、昭和12年に当時の内務省に就職。外国の新聞・雑誌の翻訳に携わり、シューマンの『音楽と音楽家』を翻訳する。昭和21年にモーツァルトの評論を発表。その後、現在まで連載や単行本などの数々。巻末の著書目録には、単行本60冊、講座・対談3冊、翻訳21冊、全集24巻、作曲家評論集6巻、新書・文庫13巻など。

ただ、厚さ4センチ、600ページの本はとても重たく、読書には不適ではないかとおもえるほどだ。

NHKのFM放送「名曲の楽しみ」は1971年昭和46年から続く長寿番組。土曜日の9時からの1時間。これもすごい。
とにかく、「すごい」としかいいようのない人生がここにある。

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