パンダ イン・マイ・ライフ

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音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

夜想曲集

2015-11-15 | book
音楽と男女の機微。日本生まれのイギリスの小説家,1954年生まれのカズオ・イシグロの粋な短編集「夜想曲集」は2009年6月刊行。新聞書評で知った。

「老歌手」
スターのガードナーは60歳,妻のリンディは50歳。イタリアのベネチアを旅行中に,流しのギタリスト,ヤネクは2人に出会い,ガードナーに頼まれ,ゴンドラからリンディにガードナーが歌う伴奏を引き受ける。ガードナーは,ヤネクの母が熱心なファンの歌手だった。2人は離婚を決意していた。
「降っても晴れても」
レイはスペインで英語の教師をしている47歳。大学時代の友人,チャーリーとエミリーは結婚しロンドンで暮らしている。久々にレイは二人のもとを訪れる。
音楽の思い出とともに,レイはそれぞれ2人の相手への思いを聞くことになる。倦怠期の夫婦。
「モールバンヒルズ」
大学を辞め,ギタリストとして職につきたい「ぼく」は,4つ年上の姉,マギーが夫と経営するイギリス,モールバンヒルズのカフェでバイトをすることにした。そこにスイスからティーロ」とロジャーズの50代の夫婦がやってくる。自分の才能を認めてくれない世間,音楽では食べていけない苛立ちにさいなまれる「ぼく」。夫婦は,人生は落胆の連続だという。「夜想曲」
売れないサックス奏者のスティーブは,売れない理由の醜男のため,美容整形をすることになる。その費用は妻のレンが離婚と引き換えに出してくれた。静養のホテルで出会ったリンディ・ガードナーも整形手術をしていた。2人は部屋を行き来し,深夜のホテルを徘徊することになる。
「チェリスト」
サックス奏者の私は,チェリストのティボールと7年ぶりに出会う。イタリアの避暑地でティボールが経験した年上の女性が滞在していたホテルでの音楽レッスンの思い出。

誰もつらい思いをしながらも,日々生きている。そんな中で,人生の先輩も悩みもがいていることを知る。毎日,人は道を切り開きながら生きている。音楽は,そんなつらい人生の伴侶となる。いいお話です。

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