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パンダ イン・マイ・ライフ

ようこそ panda in my lifeの部屋へ。
音楽と本、そしてちょっとグルメなナチュラルエッセイ

ベートーベン 4「運命」(1)

2008-01-29 | music/classic/Beethoven
200年前の1808年12月22日、ベートーベンが37歳(56年の生涯)の時、シンフォニー5番の「運命」は、6番の「田園」とともにウィーンで初演された。
幼い頃からの苦労とともに、音楽を、これまでの宮廷や貴族向けの儀式・行事向けから、一般向けに視点を変えた。そういう面でも苦労人であったベートベン。

フルトヴェングラーは、主兵ベルリンフィルを振った。1947年5月27日、ベルリンにてライブ、モノラル録音。

45年5月にドイツは連合国に無条件降伏。その年2月にフルトヴェングラーはスイスへ亡命する。
戦時下ドイツでの厳しい日々。大戦中にドイツに留まったことによる戦後の演奏禁止令。
これらのつらい日々を経たのち、廃墟のベルリンで、2年ぶりの市民・ベルリンフィルとの再会。
トスカニーニは37年にイタリアを、ドイツからオーストリア・スイスと逃れたワルターは39年にアメリカへ。
まさに数奇な運命に振り回されながらも信念に基づき常に音楽と向き合った人生が、まさに昇華するようなすさまじさとひたむきさ。

「ダ・ダ・ダ・ダーン」。1楽章の運命の動機のつっかえが私は好きだ。緊張の楽章。7:47
2楽章はゆったりと力強く。いつまでも終わりのない、しなやかに流れるよう。緩急も明確。10:57
3楽章はダイナミックなホルンの響き、コントラバスとチェロの低音の波がリズミカルに畳み掛ける。丁寧に作り上げるフルベン。5:47
続けて入る怒涛の4楽章。歓喜と雄大さがミックス。ゆるぎなくクライマックスへ。8:01
さまざまな思いが交錯する32分32秒。

ベートーベン1「エロイカ(7)」

2008-01-04 | music/classic/Beethoven
カラヤン。ドイツの指揮者。80歳で1989年に没した。死後もう20年になるのにその魅力は衰えない。帝王、カリスマといわれ、その表現力、統率力はもちろん、行動力や表現に対する執念は他の追随を許さない。
もちろん、手兵ベルリンフィルというものすごく大きい道具がなければその芸術は描ききれていたかどうかわからないだろうが。
加齢や時代背景、技術の進歩はカラヤンにどういう影響を与え、人生を歩んだのか。などと考えてもその軌跡をたどるしかないのであるが・・・。
カラヤンは沢山の音源を残しているので、デジタル化、DVDなどでその一端を知ることができる。それは有る意味で至高の楽しみでもある。

カラヤンは4回、ベートーベンのシンフォニーを録音している。1回目は1951年・55年の40代半ばでフィルハーモアオケ、続いていずれもベルリンフィルで、61年・62年つまり50代半ばの壮年期、そして3回目は76年・77年の70歳を前にした熟年期、そして4回目が82年~84年の70歳半ばの円熟期である。
いずれもフィル自体の実力もその録音技術も異なるであろう。

ベートーベンの3番「エロイカ」で聞き比べをしてみた。
76年・77年盤 1楽章13:28 2楽章16:27 3楽章 6:09 4楽章11:35 47分39秒、
84年  1楽章14:05 2楽章16:04 3楽章 6:08 4楽章12:19 48分36秒

84年盤はデジタルなので、あきらかにクリアさでは優。個々のパートがよくわかる。しかし、意外とこじんまりとしている。テンポも4回目はやや遅く、じっくりと仕込んでいる。シャープさや響きなどベルリンフィルの特性は3回目録音の方に軍配が上がる。2楽章と他楽章との対比もあざやかで、性急ではあるが、その流麗な音作りはカラヤン・ベルリンだなと思わせる。フィルも心なしかいきいきしているよう。

ベートーベン 3「シンフォニー7番(1)」

2008-01-03 | music/classic/Beethoven
お正月といえば、岩城宏之さんの2004・05、2005・06年末年始のベートーベン全曲演奏を思い出します。
ベートーベンは、年末から年始にかけてなぜかしら襟を正して聞き入る人になるのです。
ご存知、TVドラマ「のだめ・・・」で有名になりました7番です。なにせオープニングで毎回流れるのですから。
この7番は、8番と同じく1813年に初演されたまさに兄弟姉妹。全編を通じてアクセントが強く、2楽章とてその勇壮なリズムにはまります。
今回、その「のだカン」の続編の放映とあって、1950年1月に録音されたフルトヴェングラー(1886~1954)63歳のウィーンフィルを15年ぶりに聞きました。
もちろんMONOです。1楽章12:54 2楽章10:14 3楽章8:38 4楽章6:52 38分38秒

同じウィーンでは、クライバー44歳(1930~2004)1975,76年版は
1楽章13:29 2楽章8:02 3楽章8:13 4楽章8:33 38分17秒

1974年、クーベリック59歳(1914~1996)は
1楽章13:14 2楽章9:18 3楽章9:22 4楽章7:03 38分57秒

また、1969年、イッセルシュテット68歳(1900~1973)は
1楽章13:08 2楽章10:16 3楽章8:22 4楽章9:09 41分24秒

一方1983年、カラヤン74歳(1908~89)、ベルリンフィルは
1楽章11:11 2楽章7:40 3楽章7:28 4楽章6:24 32分43秒

結構、メリハリがあるものですね。

ベートーベン 2「シンフォニー8番(1)」

2008-01-01 | music/classic/Beethoven
片道1時間、愛車(自転車)で初詣。そこでカウントダウン。一寝して、初日の出をと、コンビ二までウォーキング。元旦の新聞を購入。重たかった。
さて、新玉の年を迎え、何がふさわしいか。よし、今年はと取り出したのは、押しも押されぬ4番、楽聖ことベートーベン。
しかも、9番という年末恒例の大曲の前に控えし、8番である。
他のシンフォニーに比べ、人気は今いちという。しかし明るく、リズミカルな8番は演奏時間も短く、どの楽章も愛らしく、小粒だが、親しみやすい。
43歳、1814年に初演。ベートーベンはこの曲を気に入っていたらしい。
とかく情熱や苦悩がメッセージされるが、56歳の生涯を考えると、失聴や体調不良など後期の状況は厳しい中、おだやかで明るい面もあったのだろうか。すごい人間性である。
ワルター御大とベートーベン交響曲を初デジタル録音のスウィトナーで聞き比べ。
58年、85歳で没したワルターの81歳の時、まさに晩年のコロンビアオケ。
1楽章7:37 2楽章4:21 3楽章5:49 4楽章8:38 26分25秒
方や83年、1922年生まれであるから60歳の円熟のスウィトナーのベルリンシュターツカペレ。
1楽章9:32 2楽章3:54 3楽章5:36 4楽章7:27 26分29秒
じっくりとメリハリ、勇壮なワルターと、録音も明快、きちんとのびのび、あっさり系のスウィトナー。

ベートーベン1「エロイカ(4)」

2007-12-20 | music/classic/Beethoven
ブルーノ・ワルター。ユダヤ人がゆえにヨーロッパを捨てアメリカへ。63歳の時、1939年。皮肉な意味でわれわれが今、その円熟したコンダクトを聞けるのも、57年から61年までのコロンビア響録音のおかげ。49分52秒のエロイカ。人間味あふれるという表現が合う。やっぱり琴線に触れる演奏。私の定番はワルター盤です。

ベートーベン 1「エロイカ(1)」

2007-12-16 | music/classic/Beethoven
「英雄」はベートーベンのシンフォニーの第3番。
この曲を聴くたびに、苦悩とは・・・と感じる。

ベートーベンがその難聴に苦しみ、いわゆる遺書をしたためたのが1802年、31歳のとき。
その2年後の04年にこの曲は発表された。
また、この曲はフランスのナポレオンに捧げられようとしていたが、皇帝に就任したため、ベートーベンが激怒したという逸話もある。

時代とともにその体調も含め、苦しみの中で、生まれた「エロイカ」。

第2楽章の葬送行進曲は有名。好きなのは第3楽章のスケルツォ、ホルンの3重奏。48分53秒の至福の時間。

イッセルシュテット指揮の重厚な演奏が今はいい。