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ねこ庭の独り言

ちいさな猫庭で、風にそよぐ雑草の繰り言

自由民主党の「立党宣言・綱領」- 22 ( 【 平成22年綱領解説 】の検討 )

2024-12-03 19:41:37 | 徒然の記

 初めて下野した自由民主党が、党を挙げて政権奪還を目指しているためか、【 平成22年綱領解説 】は以前の構成と異なっています。

 本文の前に谷垣総裁の挨拶文が入り、【 平成22年綱領解説 】の全文は「政権構想会議座長・伊吹文明氏による解説という組み立てになっています。

 以後見直されていませんので、この文書が自由民主党の最高法規、憲法ということになります。労を厭わず、姿勢を正して、息子たちと「ねこ庭」を訪問される方々に紹介したいと思います。

〈 谷垣総裁の挨拶 〉「新たな綱領策定にあたって、党百年の礎として」

  ・昨夏の総選挙での歴史的大敗の結果、わが党は政権与党の座を降りました。

  ・そして私が自由民主党第24代総裁に選出され、わが党史上二人目となる野党党首・自民党総裁として、党再生という重い職責を担うこととなりました。

  ・就任以来、私は全国各地へと足を運び、有権者の皆様の声に耳を傾けてまいりました。その中で、「自由民主党とは一体どういう党なのか。」「国民のために何をしてくれる党なのか。」とのお尋ねを、多くの方々から頂きました。

  ・「しっかり反省して立ち直ってほしい。」とわが党再生を期待してくださる皆さま方からも、「自民党の顔が見えない。」と歯痒さを感じまた忸怩たる思いでおられるのが、伝わってまいりました。

  ・こうした国民の皆さまのお気持ちにお応えすべく、「自由民主党とはこういう政党である」というものを、早く示さねばならないとの思いを強くしておりました。

  ・それに対する答えとなるのが、今回採択されたこの新しい綱領です。総裁に就任時、「私自身が先頭に立って党再生に取り組む」との決意を実行に移すため、伊吹文明先生に座長をお引き受けいただき、「政権構想会議」を立ち上げました。

  ・この会議では、自由民主党はどういう理念で政治を行い、その政治理念を具現化する政策体系は何であるのかという、党の拠って立つ、基礎となる部分の議論を重ねて参りました。

  ・わが党の理念、政治姿勢、基本的政策、目指す国家像を示し、党の正式文書としてまとめたものが、「平成22年綱領」であり、まさに党再生の礎となるものです。

  ・わが党が永らく護り抜いてきた自由と民主の価値観の上に、「日本らしい保守」の旗を高らかに掲げたこの「綱領」の精神は、時代の流れの中でも普遍的価値を持つものであると共に、自助・自立を基本としながら、困っている人がいればお互いに助け合う共助の精神を大切にし、さらには国が支える公助があるという、私の考える「絆の政治」「おおらかな保守主義」と通ずるものであります。

  ・日本の将来を憂慮しておられる良識ある国民の皆さま、私たちの掲げる旗への理解と共感を広げ、共に誇りと活力のある日本をつくっていこうではありませんか。

  ・この「綱領」を党再生の礎、党結束の象徴として、私は不退転の決意で自民党再生の道を切り開いていくことを、お誓い申し上げます。

  ・皆さまのご理解とご協力を、こころよりお願い申し上げます。

 谷垣総裁の挨拶の全文を、紹介いたしました。党再生にかける氏の意気込みを知りましたが、読後の感想は「失望」です。

 戦後79年が経過しても、アメリカが作った憲法を一字一句変えようとしない自由民主党に疑問を抱きますが、党の憲法とも言える「立党宣言」を簡単に作り変える姿勢にも同じ疑問を抱きます。

 ここまでの反省をするというのなら、過去二回の「立党宣言」のどこに不都合があったのか、どの点を変えようとするのかを国民に伝えなくてなりません。

 「日本国憲法」に対し自由民主党がつくった「改正案」は、現行憲法との逐条対比で国民に公開しています。

 「自由民主党とは一体どういう党なのか。」「国民のために何をしてくれる党なのか。」と問いかけた国民の声を重要視するというのなら、谷垣総裁以下党の幹部は的外れな対応をしているのではないでしょうか。

 党の拠って立つ、基礎となる部分の議論を重ねてきたというのであれば、なおさら具体的な逐条対比を国民に示すのが本筋でしょう。

 日の丸を背負いながら、自信に満ちて小泉首相が国内外に示した「50年宣言の」どこに問題点があるのか。どこに下野の原因を見たのか。氏の挨拶文では何も語られていません。

 「保守でもなく左翼でもなく」「右でも左でもない」、「50年宣言」を小泉首相が策定したとしても、同じように「曖昧な言葉」を並べた「綱領」を作る意味がどこにあったのでしょうか。

 「戦後の日本史の大河」を眺めている「ねこ庭」に言わせてもらえば、「自由民主党とは一体どういう党なのか。」という国民の質問に対する対応は、「立党宣言」の作り変えではありません。

 ・自由民主党は、先輩の議員諸氏が臥薪嘗胆して作った過去の「立党宣言」を国民に伝える努力を怠ってきた。

 この一言に尽きます。

 松下村塾で育った勤王の志士たちは、「尊皇攘夷」を宣言する小冊子を懐に抱いて全国を歩き、明日の日本のため同志を集めたと聞きます。藩を超えた往来が困難な時代であるにもかかわらず、命懸けの啓蒙活動をしていました。

 谷垣氏と共に「綱領」を検討した各氏は、ご先祖さまが実行した地道な努力を少しは見習っていたのでしょうか。反省すべきはまずこの点ではないかと、「ねこ庭」は考えます。

 学徒を自認する私が80才になり、初めて自由民主党の「立党宣言」の存在を知ったことが、いかに啓蒙活動が手抜きだったかの証明になると思えてなりません。

 自民党の議員諸氏は党の「憲法」と口で言いながら、国民に伝える仕事をしていないのですから、「自由民主党は何をする党か」と、そんな質問が出てきます。

 党是の存在を知らなかった「ねこ庭」にも責任があるのかもしれませんが、ここは重要な点ですから、次回も検討作業を続けたいと思います。

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自由民主党の「立党宣言・綱領」- 21 ( 党幹部5人の挨拶 )

2024-12-03 08:47:51 | 徒然の記
  自由民主党総裁 谷垣禎一   副総裁 大島理森 ( ただもり )
 
  幹 事 長   石原伸晃   総務会長 小池百合子   政調会長 石破茂
 
 谷垣氏の挨拶で、5人の党幹部が分かりました。氏はこの時【 平成22年綱領解説  】を作成するため、「新綱領策定委員会」を新たに作り委員長に就任しています。
 
 【 平成22年綱領解説  】策定の委員名は書かれていませんが、幹部5名が主要メンバーだったことは確かです。
 
 政権奪還のため、党役員各氏の挨拶がありますので紹介します。14年前の謙虚な姿に驚かされますが、下野した時でしたから一層そうだったのかもしれません。
 
〈 大島理森副総裁 〉
 
  ・まずこの1年、この場で幹事長として皆さまにお世話になりました。ありがとうございました。
 
  ・この度、谷垣総裁の下で、新しい自民党のスタートを作るという意味で、副総裁をやりなさいというご指名とご下命を頂きました。私は、総裁を補佐し、党運営全体を見渡していく立場にあると思います。
 
  ・この1年間の党員、党友、そして各議員の皆さまのご議論、この1年間の歩みをしっかり踏まえつつ、今後において、まさに参議院選挙で示されたことですが、わが党の力を結集していくことが国民の期待に応えられる基本だということです。
 
  ・そのことをやらせていただくことが、私の使命だと思っています。石原幹事長、小池総務会長、石破政調会長が、谷垣総裁の下で思い切って仕事ができるように、その環境を作り、そのことに全力を尽くして、自民党が協同して、国民のために働く体制を作るのが私の責務だと思って、全力を尽くして、谷垣総裁の下で働かせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
〈 石原伸晃幹事長 〉
 
  ・この度、谷垣総裁のご指名で、大島副総裁の後を受けまして、幹事長をさせていただく石原です。よろしくお願い致します。
 
  ・先程もご挨拶で申し上げさせていただきましたが、私たち自民党の立党の原点を忘れてはいけないと思います。
 
  ・政治は誰のためなのか。政党のためではありません。国民の皆さんのためであります。国家のためであります。そういうものが失われつつある状況で、日本の社会で、一体何が起こっているのかということを強く思います。
 
  ・豊かな時代だと思いますが、この円高不況、円高が進むことによって、輸出企業の収益が落ちる。中小企業が苦しい経営になる。そのために株価が低迷を続ける。それに対して有効な手立てを行っているのでしょうか。
 
  ・一国で円を買い支えることはできません。まさに外交力、経済政策に外交力が伴って、言葉を換えるならば、政治力が伴って初めて、この状態に対応することができる。
 
  ・そういうことが行われていない現状を憂い、私たちは、谷垣総裁の下、若い執行部ではありますが、国家国民のためにに全力全精神を傾注して、一心一途、一人一人が一途になって努力すれば、必ず為し得るという思いで頑張らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
 
〈 小池百合子総務会長 〉
 
  ・この度、総務会長を拝命しました小池百合子です。党3役初の女性ということで、まさに自民党の多様性、大抜擢を体現する形で、党の最高意思決定機関である総務会の会長を務めさせていただくことになりました。
 
  ・この総務会は、長い歴史があります。総務会において党運営、国会運営、そしてまた各種法案に対しての党としての態度を決めるという会議です。決定までには、自由闊達な意見が行われるわけです。
 
  ・様々な意見を得て、全会一致を旨として、結論を得る。この機関があることによって、国民の負託を得て選ばれて国会にいる私どもの一人一人の議員の代表である総務会の方々の意見をそこで集約する。
 
  ・どこかの政党のように、突然消費税が飛び出したり、突然国民の総意を受けてのガソリン税の暫定税率の廃止の廃止など、そのようなことは総務会を経ることのある自民党とはかなり違ってくる。
 
  ・「総務会は自民党としてのアンカーである」と、先程、田野瀬前総務会長から引き継ぎを受けたところです。今、国民の皆さま方の迅速な要望にも応えられるように、公平、公正かつ円満な総務会の運営を目指して行ってまいりたいと思います。よろしくお願い致します。
 
〈 石破茂政調会長 〉
 
  ・引き続き政務調査会長を拝命しました石破です。引き続きよろしくお願い申し上げます。
 
  ・新しく作った綱領に基づき、いろいろな政策を立案してまいりました。それは今さえ良ければ良いのではないという考え方で、日本さえ良ければ良いのではないという考え方で、作ってまいりました。
 
  ・何が真実であるかということを見極める。そして、それを語る勇気を持ち、わかっていただける真心を持つことが必要なことだと考えています。
 
  ・今までもそのように心掛けてまいりましたが、全員が参加する政策づくりを心掛けたい。そして、丁寧な議論を行いたい。しかし、足して2で割るようなことをするつもりはありません。
 
  ・税制改革にいたしましても、あるいは外交安全保障政策につきましても、あるいは農林水産政策につきましても、こうあるべきだということを打ち出すのが我々の使命であります。
 
  ・もう一度、自民党に任せようと国民の皆さま方に思っていただくために、来る統一地方選挙、総選挙、今度は選挙公約ではなく、政権公約ということになります。
 
  ・その作業をしてまいりましたが、さらに加速して、国民の皆さま方からもう1回自民党に(政権を)預けてみようと思っていただくべく、総裁、副総裁、幹事長、総務会長にご指導を頂きながら、全力を尽くす所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 予定が遅れましたが次回から、謙虚だった党幹部が、政権奪還のため推敲した【 平成22年綱領解説  】の検討をいたします。

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