そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

新自由主義と決別を

2007-12-31 | 国際・政治

1980年代に、ソビエトなど社会主義国が次々と崩壊したのを受けて、サッチャー・レーガンによる資本主義の勝利が世界を市場原理へと追いやった。

社会主義の崩壊は資本主義の勝利と短絡するのが間違いであった。ソ連という歯止めのなくなったアメリカが、グローバリズムを掲げ暴走し始めたのである。世界は、何事もアメリカを軸に回転し始めたのである。

アメリカは世界の警察を自認するだけでなく、市場原理の恩典を最も受ける立場から、暴力国家として暴走し始めたのである。

民主主義と自由を標榜する暴力国家に、最近になってようやく経済成長を背景に中国やロシアが歯止め的存在になりつつある。それとて、たとえばそれぞれの国に抱える少数民族の独立運動を抑える必要から、反テロとしての動きは同調しつつあり、決定的な冷戦構造時代を再現するものではない。

その一方で、エネルギーをもつイランやベネズエラなどの中東や中南米の国々から、絶縁状をもらいつつある。

これらの国々から嫌悪されたアメリカは、冷戦以降最も暴走したブッシュは、そうした意味で正直にあるいは純粋にアメリカ的に戦場をいくつも創ったといえる。

資本主義が勝利したのかもしれないが、それは決してアダム・スミスの無計画な、市場原理主義の勝利を意味しているものではない。冷戦時代の、資本主義体制は社会主義の理念を導入することで、社会主義体制以上に社会主義的でもあった。

各種の福祉制度や年金や雇用保険など、とりわけ我が国の労働三法などは、労働者や弱者など低所得層の不満への歯止めとなり機能していたのである。社会主義体制では十分に機能しなかった、こうした体制が資本主義を根底から支えていたのである。資本主義体制が、ある意味謙虚な時代でもあった。

それを、資本主義万歳と高らかに傲慢に勝利を宣言した連中は、アメリカに追随することで、旨みを得たのである。こともあろうにこうした連中は、サッチャー・レーガンを高く評価し自らを「新自由主義」と呼ぶようになった。

我が国の、小泉・竹中路線がその最たるものである。イデオロギー的には、日本では国粋主義、アメリカではイスラエルに近い福音派として新保守主義(ネオコン)として、過激にブッシュを支えた。

市場原理から真っ先に外されたのが農業である。それに付随して、地方が疲弊し弱者が貧困層となるのである。

新自由主義や市場原理主義から脱却しない限りこの国の未来はない。2008年はそうした先駆けの年になって欲しいものである。

3刷目になった拙書を参考ください。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う


相変わらずの構図で

2007-12-30 | 政治と金

いつまで経っても、この国はお金で政治をやろうとする姿勢が変わらない。岩国市の航空母艦移転に反対にたいし、交付金の35億円の交付を政府が見送ったのである。移転反対を貫く井原市長は、辞表提出071226 を引き換えに5度目の予算案を通した。

お金がほしい、そのためには国の言うことを聞けということである。金欲しさに、賛成する人たちと理念を通そうとする人たちが、地方で国の思惑で対立する。

国の金は一時の潤いになるが、地域の健全な産業が生育する土壌を奪うことになる。お金欲しさの事業は産業として定着しない。自立できない地方の多くは、こうした構図からなっている。国の思惑が変わると、切れた凧のように自らを統制できないのである。

その一方で、米軍に対しては「おもいやり予算」とか称して、詳細不明の高額な無条件のお金が支払われる。

合併前の2006年2月に、艦載機移転の賛否を問う住民投票では反対87.4%で、圧倒的な反対意見を国は無視したのである。

移転容認派は、現職の衆議院議員を擁立し、再度立候補する移転反対派の井原市長にぶつけるようである。

地方の時代と何度も言われながらも金で誘導する構図は、三位一体を掲げた地方を切り捨てた小泉改革と裏腹になった同質のものである。

上杉鷹山が地域の産業を興し藩の財政を立て直した産業はいまだに残るが、国家の要請を背景に巨大なコンツェルン資本が作り上げた炭鉱の町は、巨大な債権を残し疲弊している。こうした教訓はいまだに生かされていない。


悲しみに耐える力をください

2007-12-28 | 戦争

クルドを追って攻め入り戦死した最愛の息子の血塗られた遺品を前に

トルコの母が涙を拭うことなく手を合わせ言う

「神様、私に悲しみに耐える力を授けてください」・・・と

国のために死んだ息子を誇りに思うと

嗚咽を抑え、真紅の国旗に口づけし

母は健気に語る

イスラエルの銃弾に散った息子の死んだ場所を

オリーブの樹の下に見つけ跪き号泣する喪服の母

その母は

息子は祖国のために戦ったと、真っ赤に腫れた目頭を上げ

「息子の死を誇りに思う。悲しいけれど私たちは屈しない」

と胸を張る

夫を戦場に送り出す若き妻は

幼子の手を引き、乳飲み子を抱え

作り笑顔で何度も夫の頬に口づけし

送り出す

戦はいつも、女に悲しみを積み重ね

繰り返される


そりゃ認めないさ

2007-12-27 | 安倍晋三

Photo 沖縄戦での「集団自決」に日本軍の関与を認めたものの、「強制」は認めなかった。この教科書問題は、明らかに阿倍晋三前総理の復古的国粋主義思想を受けて、教科書記述が改変させられたものである。

やっとまともになるのかと思ったら、、主要部分は譲らないままである。戦争を美化し、軍隊の不名誉な記述を削除し純潔性を守ろうとする姿勢は、守られたままである。

文科省のメンツを守るだけではない。検定調査審議会が、検討内容が非公開なのである。右翼の脅しを意識したのか、15時間の審議を尽くしたとしておき02ながら、議事録は公開されていないのである。

沖縄の、前市長村議会と県議会の反対決議と、県民集会の動きを政治的に判断したのである。だから不透明な審議内容になったのであり、どちらともつかないような、表現にならざるを得なかったのである。

簡単に外圧によって、教科書の記述内容を変えることも問題である。教科書とは、一体事実を伝えないで何を記載しようとしているのか。

個々の集団自決に関して、それぞれ個別に軍隊が指導していようがいまいが、そんなことは論外である。この戦争は、東条英機の「戦陣訓」が、戦争を鼓舞して敗北を容認しなかった。

太平洋戦争は、すでにミッドウェー海戦で敗北が決まっていた。それを、引きずったのが「戦陣訓」である。沖縄戦の敗北を受けて、本土決戦が残っていると準備していた、陸軍の存在を忘れてならない。

沖縄は、国土と国民を犠牲にした無為の戦いだったことを、歴史に明記し後世に伝える義務を履行したにすぎない。それに比して、なんと哀れで浅薄な国粋主義者たちであることか。


プーチン化する旧ソ連圏

2007-12-25 | 政治と金

キルギス共和国で、大統領選挙が行われた。現職の先月訪日したバPhotoキエフ大統領が圧勝した。この国の、議会は全国の選挙区で0.5%以上獲得しなかった政党に議席を与えないことになっている。

そのためバキエフの率いる与党「輝く道」は48%の得票率であったにもかかわらず。90の議席すべてを独占しそうである。野党の「祖国」は30%を超える支持を得ながらも、議席を取ることもできない。

また、ウズベキスタン共和国でも、カリモフ大統領が大統領選挙で、88%の支持を得た当選した。対立した3名の候補はいずれも、大統領 支持の声明を出し、全く選挙運動を行わないダミー候補であった。

この国は、いずれもマスコミが政権与党を支持し、野党の動向すら報道していない。ロシア選挙と同じである。

欧州安保協力機構(OSCE)は、民主的に選挙は行われていないと声明を出している。その一方で、旧ソ連の国々で構成する(バルト3国をPutin_joins_new_actors_on_the_middl除く)独立共同体(CIS)や上海協力機構(SCO)は、民主的であったと、選挙を評価している。

先ごろ行われた、ロシアの総選挙を見ても、一旦権力を握ったものがそれを手放さない構図がある。プーチンは、どうやら大統領を降りても、院政を敷き新たな権力者として君臨するようである。これは、旧ソビエトの社会主義体制を色濃くの残しているといえる。

旧ソビエト圏の多くの国は、ロシアを見習いプーチン化しているように思える。


アメリカの選択に注目

2007-12-23 | 政治と金

米国下院が18日に、新たなエネルギー法案を圧倒的多数で可決した。この法案の骨子は、石油使用を減らすための効率アップと、バイオ燃料の開発である。This_hydrogen_fuel_cell_car_is_lead

まず乗用車の燃費効率を40%下げるというものである。現在、リットル当たり9.6キロのところを、15キロに2020年までに引き上げるというものである。この考え方は、順序として正しいがあまりにも短期間の実現は、技術的・経済的側面から見て、不可能なのは明白である。

また、バイオ燃料への比重を高め、2020年までに現在の5倍の360億ガロンにする目標をたてた。ただし、トウモロコシへの依存は、2015年までに、150億ガロンに止め残りを新たな原料にするとするのであ55 る。

新たな原料を、廃棄食料や産業廃棄物に求めるというのである。これまた順序として正しい。食糧市場を現在で再混乱させている、トウモロコシの大量使用に枠をはめる、この考え方は当然である。

しかしながら、最も力を入れようとしていたスウィッチグラスの依存は怪しいものがある。未肥料で無限の収量があるようなことを言っていたが、葦のようなこの作物が、無肥料無灌漑で永続的に採れるわけがない。エネルギー転換効率は、輸送も含め懐疑的である。

産廃や食糧廃棄物の収集についても、コストの問題が必ず浮上する。環境やエネルギーのことを考慮すると、それらのことは無視してでもやらなければならないことであるが、市場経済優先国家でどこまで可能であるか、はなはだ疑問である。

こうしてこの法案全般を俯瞰してみると、ブッシュの人気取りのパフォーマンスとしか思えない現実が見えてくるのである。


そりゃ違うゼ

2007-12-20 | 政治と金

Russian_oil_spill_ecological_catast 「地球が危ない!」や「地球を救え」なのスローガンをよく見かける。地球環境の急激な変化、温暖化や乱開発などの危機感を表現したものと思われます。

気持は解る。が、表現としての言葉だけではなく、人の無貞節な活動で引き起こした環境破壊の現実でありながら、懲りない人間側からの解釈であるといえる。

地球の危機などどこにも存在しない。45億年の歴史の中で、もっと急Shandur_becomes_a_paradise_during_t 激な温暖化もあったし、氷河期など何度も地球は体験している。隕石による劇的な環境異変もあった。それに比べると、大した変化でもなく危機でもない。

危機なのは、この環境で種を増やし育んできた、人類をはじめとする生物全般にとって、危機なのである。これは誤解した表現ではないの である。人の驕りを内包した表現なのである。

頭では理解していても、人間ばかりが生き残りたいための、「地球が危ない!」ではダメなのである。絶滅種がSippo年々増えていることも、同質の問題である。

繰り返して申し訳ないが「地球を救う」などとは、全くおこがましい話である。自分たちを救うために、環境の改善と保護を訴えるべきである。


浮かれた報道ばかり

2007-12-19 | 政治と金

海上自衛隊の、イージス艦「こんごう」からの迎撃ミサイルSM3の発射成功が、嬉々とした内容の報道が紙面を賑わしている。なにはともあれ、アメリカ以外の国が初めて成功したのだから、喜ぶべきと国民を操作するしているようにも思える。

しかし、これには幾つもの我が国が抱える、大きな問題を放棄するか触れないようにしているPhoto報道姿勢である。まず、大気圏外の迎撃であり、国際的な「平和的な宇宙開発」合意に大きく抗するものである。

我が国から見ても、「集団的自衛権」の内容に抵触する攻撃である。少なくとも、このことに対する論議は、皆無の中での実験である。これは専守防衛論議を高めた結果であって、大気圏外の攻撃についての「集団的自衛権」解釈は存在しない以上慎重であるべきである。

このミサイル開発に積極的で実質な功績者である、守屋前政務次官は何度目かの逮捕を受Photo_2 けて収監中の身である。このミサイルの開発は、日本の三菱重工がやっていることをみると、なにやらきな臭いものを感じる。

この開発は「日米産学複合体」の、軍事的部門の道を開いたことになる。民間の開発によるものであれば、当然武器輸出の営利を視野に入れることになる。

SM3の開発だけで、412億円の巨費が投じられている。さらに失敗の受け皿に、陸上のパトリオット(PAC3)の設置が必要とされている。PAC3の配備で、優に1兆円を超える金額になる。さらに、守屋の描いたシナリオが完成すると、6兆円程度の計画になる。

この背景には、北朝鮮をすっかり悪者に仕立て上げたマスコミの功績がある。もちろん、金正日体制は強力な軍事国家で不法行為を重ねてはいるが、到底この国の国家予算の数年分をかける程の事業ではない。

事前に知らされている弾道を、7分後に撃墜したことが成功で実用的であるとは信じがたい。このエセ実験の成功に浮かれ、ことの本質と目的と背景を看破しないこの国報道は、戦争に対する貞操感が希薄になってしまったことを感じる。


この後何が生み出されるか

2007-12-18 | 政治と金

”いざなぎ越え”景気が終焉しているそうである。本物の”いざなぎ”景気は1962年から5年ほど続いたが、この時期には給与は2.2倍になった。良くも悪くも所得倍増したのである。

2002年から、6年近く続いたいざなぎ越え景気は、所得は1.02倍になったそうである。この間の好景気は、リストラによって企業が収益を上げたことによるものである。リストラとは、雇用、債務、施設を切り捨てることである。

この間に、特殊業務に制限されていた派遣職員の規制が撤廃され、一気に正規社員の数が300万人以上も消えてなくなったのである。

当然「格差」が生まれる結果になる。1.02倍になったとされる所得も、格差の拡大があってこの数字である。実態は、好景気といわれながらも、貧困層を大量に生み出すことになったのである。

さて、この後どうなるかついうことである。40年前の、いざなぎ景気の後には「1億総中流」を生み出した。もちろん公害も環境破壊も同時進行していたのであるが、今回の、いざなぎ越え景気の後には、何が生み出されるのであろうか。

前述のように、この景気はリストラによって生み出されたものである。リストラは、労働者(一般庶民)、設備投資、それに債務を切り捨てきた。債務は政府の温かい援助で、救われてさらに巨大になった感すらある。設備投資も、公共事業は削られたものの、安い外材や労働力に支えられて順調に見える。

結局、労働者が企業からは勿論のこと、政府からも切り捨てられた形になって、今日に至っている。

この好景気が生み出した最大のものは「格差」である。かつてのように、庶民に政治のその力を反映させる、活力がない。この背景には、東欧などの社会主義国の崩壊があるが、庶民に政治に対する、反発パワーが失せた現在、このいざなぎ越え景気が生み出すものはさらに、悲惨な格差社会と食糧依存国家と世界的環境破壊であると思われる。


ここでもアメリカ追随かい?

2007-12-16 | 政治と金

国連による温暖化対策の、枠組み作り・ロードマップCOP13がまたしても、大国のエゴで効力の弱いものになってしまった。

各国の利害がぶつかるような場合は、大国が退くべきなのである。復元力をはじめとする、体力が圧倒的に強いからである。そして結果的に、弱者や小国が犠牲になるからである。

戦争が良い例である。アフガンでもイラクでも、力で大国が制圧すると、制圧された民族、家族を殺害された人たちが銃を持つことは容易に想像される。抵抗者は"テロリスト"と呼ばれる。大国は、また力・暴Xin_442120404145556209627力で制圧する。

こうして、暴力の連鎖がとめどもなく続く。こうした場合でも、大国が退いて対応しなければならない。大国はエゴをほんの少しを我慢するだけで、小国や弱者は救われることが少なくない。環境問題も同じことである。

COP13は、温室効果ガスの削減をの数著目標を盛り込めないままの閉幕である。京都議定書(COP3)に署名しなかった、アメリカの姿勢はここでも、経済成長を盾に渋った。

日本は、この20年でエネルギー効率を37%も上げた実績がある。アメリカを説得するのが"同盟国”としての姿勢であろうが、経済成長は必要だとアメリカに追従したのである。

具体的な枠組みを決めなければ、グローバル化した世界経済は、市場原理のままに温室効果ガスを排気続けることになるであろう。


そんなの出来るわけないだろ

2007-12-13 | 森友・加計問題

年金問題を政治の舞台に上げて選挙をやったのである。「最後の一人までやります」などと、大声を出していた安倍ボンなど実態を知らないで言っているだけである。アンナいい加減なことをして、今更最後の31209 一人までやりますなどと出来ないことを言っていると、マトモナな人間なら誰も思っていたはずである。

安倍晋三は、今年の2月には「徒に煽って国民に不安を与えるべきでない」などと、何も知らなかったのですと、答弁している。生活実感のない連中が、「最後の一人まで・・・」などと言っても現実味のない、単なるパフォーマンスであることぐらいは誰も思っていることである。ましてや、2月にはできますなどと厚顔無恥で失礼な返答である。

民主党もそんなことは百も承知でやっていることだ。どうせ出来っこないなら、泥をかぶせてやるために突きまわしているのである。

今頃になってようやく「宙に浮いた年金記録」は、5000万件で照合困難な記録が全体の4割になる、具体的な数字がわかったのである。

少し前まで、攻撃側にいた桝添大臣も「あれはスローガンだ」などと、本音をちょっと漏らしては、突っ込まれている。極まって、2年以内に解決できるなどと発言してしまった。福田総理はもっとひどいもので、「公約違反と言えるものか・・・」などとおとぼけである。

これもあれも、世間知らずの安倍オボッチャマ総理が、発言した尻拭いである。こんなものできませんと、思っていても誰も発言できないのは傍から見てても、面白くもあり情けなくもある。


酪農を支えるもの

2007-12-12 | 政治と金

酪農経営の指標に用いられるものとして「乳飼比」という数字がある。酪農の牛乳収入(乳代)に占める、購入飼料の比率のことである。

酪農の収入とは、乳代が圧倒的であるがその他に、個体販売がある。肉に売る場合と、妊Arai 娠した若牛を売る場合があるが、それらの収入の内「乳代」全額に対していくら購入飼料が占めているかとする数字である。酪農家にとって、乳飼比は経営の健全性を見るのに、格好の数字である。

北海道でも最も草の生産が盛んな根室地方は、飼料自給地帯と言われている。この地域のよほど健全な酪農家でも、乳飼比は25%程度である。自給飼料の多い酪農家でも、30%程度である。

大型酪農家になると、輸入穀物飼料への依存度が高くなる。それでも2年ほど前までは、乳飼比は35%程度であった。1200トンの牛乳を出荷している大型酪農家の乳代はおおむ ね、1億円ほどである。購入飼料が3500万円ほどであった。

ところがこの2年ほどで様相は一変した。大型酪農家の乳飼比は40%を平気で越すようになったのである。乳価が5%ほど下がり、穀物価格が15%以上値上がりしたのである。この間当然酪農家は、それぞれの努力はしているとが、乳飼比が平均で10%ほど上昇したのである。

乳代の半額を購入飼料が占める状況は異常である。大型酪農家は、極めて脆弱な経営体質である。

自給飼料への依存度が高まり、乳牛の病気が減ることは良いことではあるが、酪農家経営は急転回できない。施設投資も、負債も抱えている。一気に酪農家の手取りが半減する。

マヨネーズに端を発して、今年はいろんなものが値上がりしている。牛乳価格も、生産が伸び悩んでいることを理由に、乳業メーカーは牛乳の値上げを渋っていたが、ここにきてようやくSippo値上げの方針を打ち出した。

とりあえずは、牛乳の市販価格が上がることを消費者は受け入れてもらいたい。大型店では、安売りの目玉に必か「玉子」が「牛乳」を並べる。それほど需要が高い商品である。

特に、根室地方の酪農家に転職はない。他の作物は作れないし、ほかに仕事がないからである。こうした試練を経ながらでも、本当の意味での草地酪農になって、乳飼比を下げて貰いたいものである。


こりゃひどい開発だ!

2007-12-11 | 政治と金

根室平野の北を流れる標津川は河口近くに、見事な湿原を抱えた豊かな地域だった。数多く071211_4syukuの先史時代の遺跡も残っている。

ここが、国営の大型草地開発の手が入ったのは30年ほど前である。そして、事業が終わって20年経ち、こ草地が放棄されようとしている。草がロクにできないのである。誰も使わない舗装道路が空しい。

もともと湿原だったところである。、暗渠や明渠の溝を無数に入れて作られた071211_33syukuが、結局は牧草は出来ないのである。牧草は乾燥地のアルカリ性土壌の植物である。湿原は酸性土壌地でしかも水分が多い。たった20年で、写真のような湿原性の草に覆われてしまった。

加えて、酪農家が減少し最近では牛の頭数も減っている。公共牧場として、少しの間使われて いた牧場は、大きな環境破壊と、多大な利益を土建屋に残して終焉した。

これらに使われたお金は、すべて農業予算である。公共事業として使われる農業事業は「基盤整備事業」と呼ばれて、そのほとんどが土木事業である。農家に還元されることはほとん071211_35syukuどない。特に、ヨーロッパとはこの点が大きく異なる。

ここに今、湿原を破壊して川を真っ直ぐにた反省が何もなく、20億円の巨費を投じて河川を元に戻すと言うのである。直線化して排水路とした河川の、ほんのごく一部を元の川に戻すと言うのである。極めて一部である。

20億円もの投資をするのであれば、この牧草地にした場所を湿原に戻すことの方がよっぽど、土建事業にはならずその分金がかからない。第一、河川の保水力が増し水質が浄化される。

新たな環境破壊と、土建屋の儲け話である。財政破綻を訴えて、消費税の増額を訴えながらも、土建屋には食わす金はあるのだ。恐ろしい国である。


プーチン化するロシア

2007-12-10 | プーチン

Photo  プーチンロシア大統領が、後継にメドベージェフ第1副首相を指名した。今回の選挙で、プーチン率いる「統一ロシア」が大勝した。63%の大量の得票をバックにプーチンは何を目指そうとしているのであろうか。

ロシアはソビエト連邦が崩壊してからの、ゴルバチョフ、エリチンと続いた混Putin_joins_new_actors_on_the_middl乱時期を居健的に制圧することで、強いロシアをイメージさせることに成功した。そのために、KGB出身のプーチンは報道の自由を犠牲にし、独立を希望するチェチェンなどの民族を 殺戮することや、エネルギーを国家管理することで強いロシアを再建した。

憲法で禁止する、3期目の大統領はないのであるが、連続しての3期を彼はどこかで便法を用いて、再度大統領の座に返り咲くのでないかと推察されている。統一ロシアの、比例代表のトップに自らを置いたことや、同じKGB出身者の若いメドベージェフを指名したことから、憶測されている。

Photo_2封建体制(奴隷・農奴体制)から社会主義体制と続く中で、ロシアには民主主義が育まれる土壌がなかった。国民は権力者への従属と、国家の強権体制が必然的にセットになって無意識に存在することになる。この国に、民意は存在しない。

プーチンは高い経済成長と、国民に向けての強いナショナリズムを訴え支持されたことを背景に、これからさらに強権国家となっていくように思える。その結果、犠牲になる民族と環境破壊がどこまで続くのであろう。


いただきます

2007-12-09 | 政治と金

生物学者、福岡伸一さんの本「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書が、ベストセラーになっている。この類の本がベストセラー入りすることは驚異的である。もちろん著者の筆力に依拠するところは大きいが、何か新しい動き変化を感じる。

今生物学は、分子レベルでマクロの世界に入っている。DNAをいじれば、どんな生物でも再生できるような感すらある。先だっても万能細胞の開発もあった。これは医療目的としての評価も高いが、将来的な倫理的問題を残したままである。

この倫理的と言うのが、人をはじめとする生命の存在そのものの、基盤となる考え方が詰められないままでいることである。生命の存在を、もう少し大きくマクロ的視点で俯瞰しなければ、理解できないとするのが福岡氏の提言である。

福岡氏は、BSEの病理に革命的な解釈をあたたプルシナーの「プリオン説」に、研究段階から疑問を投げていることで知られている。彼は、生命とは「自己複製する」ものであるとする従来の考え方について、ダイナミック性(動的な視点)が欠けていると指摘する。

生命が個体として生存し生殖するには、まず個体が生存することである。個体の生存行為とは、採食行為である。採食とは、結局は生き物を取り入れることなのである。

動物にしろ、植物にしろ生きている物を摂取して体内の取り込むことで、生命を維持している。生きると言うことは生命個体の細胞が、常時入れ替わることでもある。福岡さんはこれを「動的平衡」と表現する。

我々の体は、常時他の生物から取り入れた分子で入れ替わっているのである。「動的な平衡状態」が生きている状態でもある。

我々の祖先は、食べる前に「いただきます」と言い、食べ物の前で手を合わせ感謝することを教えたのである。「戴く」とは「命をもらいます」ということで、食べ物を作った農家や調理し人への謝意ではない。同時に行う彼らへの謝意は手を合わせる行為で表現する。

生物学者から、伝統的な日本の食文化と同じ内容の主張の本がベストセラーになることは、改めてこの国がいま食に対する大切で基本的な何かを、置き去りにしていることが浮かびあがってきている。

福岡さんの本が売れるのは、食に対する不安がその根底にある。それはどんどん下がる食料自給率の低下と食に対する連鎖的な偽装事件の発覚などが根底にあるのではないか。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書 1891)


羅臼港

春誓い羅臼港