そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

朝青龍を解雇せよ

2010-01-30 | 政治と金

私は大相撲が大好きであった。あったというのは過去のことで、それはつい最近のことである。大相撲を見なくなった理由はいくつかあるが、最大の理由は朝青龍の横綱として、というよりそれ以前のPhoto 相撲取り、力士としての品格がないことである。

相撲には武士道の精神が残っており、惻隠の情というものがある。勝者が敗者に力関係がはっきりした後には、いたわる精神であるが、朝青龍にはまるでそれがない。土俵外でも横綱としての品格がない。横綱以前の問題である。

その朝青龍が又々不祥事を起こした。今回は本場所中の出来事で、当初はマネージャーを小突いたと、協会に報告していた。朝青龍も記者会見で、ニヤニヤしながら反省してますと協会に謝ったと言って「酒を飲んでのことですから」と嘯いていた。

これが嘘だと解ったのは、歴代3位になる25回優勝が決まった後だった。本場所の中日のことである。深夜というか朝方4時に、身内でない人物を殴り鼻骨を骨折させた。1か月の重傷である。要するに格闘技の頂点にいるものが素人相手の暴力沙汰である。

古くから多くの横綱や、地元出身に力士を数多く見てきたものとしてこれは容認できない。日本文化の象徴の一つとされてきた相撲を、この男は地に落としたのである。決して許すことができない。協会は自らが調査することなく、朝青龍に何も言えない高砂親方に報告をさせるよう命じただけである。

しかし、相撲協会もかれが横綱であるからこそ甘い対応をやってきたのである。その協会も理事戦のさなかにあり、貴乃花の立候補でもめている。谷町に持ち上げられ、ぬるま湯の中で“伝統”を守ってきた体質が、様々な問題を引き起こしている。今回の、朝青竜の問題は変革するのにい機会である。即刻朝青龍を解雇するべきである。

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補助金を考える

2010-01-29 | 政治と金

国や自治体は政策遂行のために、あるいは国民を誘導させるために補助金を出す。農業分野では嫌というほどの補助金が出てくる。目的は農業保護であろうが、現実には群がる業者に吸い取られてしまうことが少なくない。

現実としてこのようなことがある。例えば、トラクターを補助事業で買う場合、1000万円ほどだとする。これが業者の定価である。補助が防衛施設周辺整備事業(要するに自衛隊の騒音などの迷惑料として周辺の農家を対象にしたものである)だと、大体8割補助である。農家の手出しは、1000万のトラクターを買っても僅か、200万円支払うだけである。農家は潤い、農民はニコニコ顔である・・・というのは表面だけの話である。

返済する200万円は、5年から10年ほどで返済することになるが、なんだかんだと払い終わる頃には300万円ほどになっている。しかも、購入する機械などは決められたものしか買うことができない。使い勝手が悪くても規模や地形に合わなくて仕方ない。

それでは、お金持ちの農家が現金を持って同じトラクターを買いに行くとどうなるかというと、多分600万円ほどで同じ物を買うことができる。どこにでもある話であるが、定価は外向けの公式価格として幅を設けられ、農機具会社は高値に付けている。それでも手出しは半額で買えるではないかという思いはあるだろうが、国などの拘束を嫌がる人たちは多い。そして、そのような農家ほど経営は良いのである。

これが施設なら、固定資産税が定価で掛けられるし、第一大きさや企画などがんじがらめで、農家の自由になるものはほとんどないのである。いずれの場合でも、最も潤うのは納入する業者と金が通る農協である。

少しの内容は異なるが、家畜の診療を行っている農業共済制度も同じである。共済加入農家の診療はどうしても高額になってしまう。非加入の農家は、何とか診療価格を抑えるよう努力する。大きな診療内容の違いはない。何よりも、共済加入農家は総じて病牛を丁寧に扱わない。治らない時には、共済金が出るからである。非加入農家は、懸命の牛の面倒を見ようとする。

こうして見ると、補助金とはそれがあるとそれを良いことに、誰かのおこぼれを待つ、ドラ息子のようなものである。補助金がなければ、懸命に働き自己責任の回避を試みるのである。そしてそのような農家ほど概して経営は良いのである。

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巨大化する中国経済圏

2010-01-28 | 政治と金

沈滞し低迷する世界経済にあって、元気いっぱいなのが中国である。社会主義体制(?)を自負し、銀行が事実上国営の状態であり土地の収用でもいとも簡単にやってのける。

政策決定が、上意下達が思いのままの共産党一党独裁体制であることを、存分に活用して経済発展を遂げている。政治体制は社会主義で経済はサイバー資本主義(?)で昨年は10%を超えたそうである。今年中に日本を追い越して、世界第2位の経済大国になる。

もう一つ大きなことは、今年1月1日より発行した、中国ASEAN自由貿易圏の発効である。この自由貿易圏は、19億の人口と、6兆ドルのGDPで現在の年間貿易額が4億5000万ドルにもなる、世界最大の自由貿易圏の誕生である。

ASEAN各国の思惑は、中国の安価で豊富な商品の輸入であり、世界最大の市場である。ASEAN諸国と一括りは難しいが、これらの多くの国を支配するのはいわゆる富裕層である。彼らの思惑を優先しての、自由貿易圏の締結であったであろうが、起きる問題は逆になる公算が大きい。

安価で豊富な中国の製品によって、それぞれの国の中小産業が深刻な状況になることが予測される。事実上無関税によって、それぞれの国が育んできた産業が追い込まれrくことが十分起きうるのである。

日本にとっても、伸び盛りの薄型テレビなどが、安価な労働力によって稼働し始めると一気に追い込まれることが予測される。とりわけ、今は少し落ち着いている農産物も、日本のノウハウを取り込むことで、安全性を高め東南アジアからも大量に輸入されることが起きる。

もっと大きな問題は、中国が一気に巨大化するだけでなく、政治的地歩を固めることになると思われる。日本は一気に斜陽化するばかりでなく、米中の狭間からしか世界を語れなくなるかもしれない。鳩山首相の東アジア共同体構想は、そうした意味での歯止めになるかもしれない。

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キャスパーの死

2010-01-27 | マスコミ報道

イギリスのプリマスという町の猫でキャスパーは人気者だった。キャスパーは、ほとんど毎日定Casper_drive_100125 期バスに乗ることを覚えた。自宅前の停車場で人間と一緒にバスが来るのを待ち、ひょいと乗るのである。毎度のことで、人がいなくても運転手はキャスパーのためにドアを開けるようになった。会社の粋な計らいである。

キャスパーの乗ったバスは、市内を循環するバスで、ほぼ一時間ほどで戻ってくる。自宅前に来ると、いきな計らいで運転手はドアを開ける。人間が降りなくてもである。キャスパーはこれをほぼ4年間続けていた。Photo

飼い主は朝の一時間、決まっていなくなるキャスパーの行方を当初は解らなかった。無賃乗車するキャスパーは、通勤猫と呼ばれ評判になって地域でも知られるようになった。

そのキャスパーが、先日青年の運転するバイクに轢かれて死んだと報道があった。12歳になったキャスパーの動きが鈍かったのかもしれない。バスに乗る趣味を持つ猫のキャスパーの死は住民の悲しみを誘っている。

http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/devon/8174850.stm

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苦悩するオバマ

2010-01-26 | アメリカ

チェンジを訴えてアメリカ初の黒人大統領になったバラク・オバマであるが、一年経って理念現実と100126 のかい離ばかりが目立っている。金融危機もイラク・アフガン戦争も出口すら見えない。内政では、医療保険改革はほとんどとん挫した状況にあり、高い評価を与えられるような状況ではない。

オバマの政策を全面的に否定して挑んだマサチューセッツ州補欠選挙で共和党が勝利した。民主党の地盤と言われているところである。失業率の高さが発表される度に記者会見していたオバマではあるが、一向に上向き兆しはない。アメリカ国民がオバマから離れていくように見える。

一つのアメリカや核廃絶などの理念を高く掲げたことが評価されたのは、オバマが実際の行動を起こす前のことであった。ブッシュからの負の遺産を引き継いだことへの同情も、一年程度が容認に限界であろう。オバマは今日2期目はやらないような発言をしている。かなり弱腰のようである。

金融問題では声高にウオール街に、税金泥棒呼ばわりまで言ってのけるほど苛立っている。医療保険制度改革は、どうやら骨抜きの案に落ち着くようである。アフガニスタン戦争は完全に行き詰っているし、イラクではテロが止むこともない。ビン・ラディンが就任当初静観するとしていたオバマに対して、宣戦布告を出した。

中間選挙でオバマは敗北するかもしれない。身動きが取れず一期で終わればなにもチェンジできんかった評価を受ける。政権交代した日本でもやや似たことが起きている。鳩山は先送りしただけで乗り越える時間を過ぎた時に、オバマと同じような八方塞になるのではないだろうか。

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小沢が勝利する日

2010-01-25 | 政治と金

100125 小沢一郎の今日(25日)の会見は穏やかだった。小沢は、追いつめられると懸命に防御するか、黙ってしまう。今日の小沢は逆であった。余裕ができたのかもしれないし、何かをつかんだのかもしれない。

小沢の秘書石川たち3人の逮捕理由は政治資金規正法である。記載不実である。極めて軽微な逮捕理由で、別件逮捕であることははっきりしている。小沢の贈収賄の立件であろうが、彼には職務権限がなく、これは無理である。

小沢に金を渡したと証言している人物が解った。水谷建設の社長の水谷功である。現在脱税事件で獄中にある。水谷が、小沢に5000万円を二度に分けて秘書に渡したと、獄中で証言しているのである。この男は、かつて偽証によって福島県知事を貶めたことがある。

元福島県知事佐藤栄佐久氏である。2006年に弟の会社に便宜を図って土地を売ったことと、西松建設からの献金を水谷が証言したのであるが、これは偽証であることが解ったし、土地の売却も相場の金額で売却されていた。このため辞職した佐藤栄佐久知事は、無罪判決が見込まれている。

西松建設が小沢に献金したとの証言は獄中の脱税犯の水谷功だけである。昨年総選挙前に、小沢をしょっ引くことができなかった東京地検は、今度は何としても参院選の前に打って出たようだが今回も、秘書どまりになる可能性が高い。今回は、余程の事実が出てこない限り、小沢側が東京地検に勝つ公算が高い。

東京地検は一体何を狙っているのであろうか。佐藤栄佐久知事は、原発反対を鮮明にして政府と対立していた。民主党は官僚政治の打破を打ち出している。

それにしても、えん罪が絶えないが、どんなことをしても検事たちには何のお咎めもないのは、片手落ちのような気がしてならない。検事は自らの正義感でやりたい放題で、見込み違いでも言い訳することもないし、何の罪にと問われるものでもない。検挙された方は政治生命を終わらすことが多い。鈴木宗男は変身して復活したが、お見事である。

小沢も勝つ公算が高いが、政治生命はどうなるかは別問題である。佐藤知事のようにすっかり居場所をなくすることも十分ありうる。

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名護は拒否した

2010-01-24 | 政治と金

名護市長選挙で、普天間の辺野古移転を反対していた稲嶺進氏が勝利した。賛成派の、前職100124 の島袋氏を破っての勝利である。少なくとも、名護市民は辺野古移転に反対したのである。

条件付きとはいえ、基地の受け入れを表明していたた島袋氏は、産業振興の決め手に思っていたのであるが、名護市民はそれをも拒否したのである。基地の職員は、地域住民よりも2~3割も給与が高い。誰でもが嫌がる基地を受け入れることで、地域住民に落ちるものは少なくはない。雇用対策の決め手になっているようであるが、このことが逆に新たな産業の振興を抑制する結果になっていることも、忘れてはならない。稲嶺氏は、自Photo_2然を主体にした産業振興を訴えていた。

沖縄は地上戦を戦った唯一のところである。県民の多くが戦死したし、土地も家屋も奪われた。日本軍は逃げるだけ逃げて、牛島中将は自決しながらも、部下には最後まで戦えと無責任であった。その沖縄は戦後20年以上にわたってアメリカの支配下に置かれた。そしてその後日本に返還になPhotoったものの、核兵器を隠し持たされながら日本駐留米軍の75%を受け入れてきたのである。しかも日本は、7割もの駐留負担をしているのである。

米軍も、治安が良く遊興施設もあり何不自由ない沖縄は、兵士にとって最も住み心地のいいところでもある。グアムに行きたくないのは、アメリカだけではなく兵士たちも同様なのである。

米軍施設が、沖縄にもたらす経済効果も大きいものがある。それらを全て容認しながらも、名護市民はジュゴンが棲み、垂直にサンゴが広がる貴重な自然の残る美しい辺野古への、基地移転を拒否したのである。鳩山由紀夫首相はこのことを肝に銘ずるべきである。

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常識に還るということ

2010-01-22 | 政治と金

雑誌「世界」の2月号に、寺島実郎氏が「常識に還る意志と構造-日米同盟の再構築に向けて」という論文を書いていいる。彼の意見はこれまでいろんな機会で聞くことがあったが、この論文は秀逸である。我々が知らなかった日米関係を、明快に分析している。

先ず事実認識として、①4万人の米軍と東京23区の1.6倍の米軍基地があること ②米軍の大規模海外基地の上位5つのうち4つが日本にあること ③地位協定によって全国どこにでも基地を置くことができ、首都圏に横田、横須賀、座間、厚木など基地があること ④米軍駐留経費の7割を受け入れ国の日本が負担していること ⑤占領軍時代の行政協定を引きずって主権が希薄になり日本側の負担が拡大していること これらの幾つを我々は認識した上で、日米関係を論じようとしているかと、寺島氏はくぎを刺す。

更にその上で、日米安保条約は講和後の占領軍撤退の空白を埋め、とりあえず西側に与するとした暫定的なものであって、情勢の変化で見直すことを前提としたものであったと吉田茂が回想している。9年後の1960年に日本は、岸内閣で鮮明にアメリカの配下に位置することを決定たのである。

日米安保条約は冷戦構造の遺物である。ソビエトの崩壊を受けて同じ敗戦国のドイツは、93年に在独米軍を26万から4万に縮小した。日本はほとんど無策のまま、宮澤、細川、羽田、村山、森と短命内閣が続きその間に社会党が崩壊した背景もあって、見直されることもほとんどなく今日に至っている。

その結果、誰が見ても不条理なアフガン・イラク戦争を、無条件でアメリカの後追いをするような形で自衛隊を派遣したのである。アメリカですら戦争反対のオバマに交代し、イギリスは調査委員会を設けていイラク戦争の検証をしている。日本は政権交代後も、一極支配のアメリカに追従した戦争の検証もされていない。

米軍基地の経費の7割を負担するやり方は、逆にアメリカに正常な判断を下さなくなっている。日本はアメリカにとって最も安上がりの場所であり、兵士にとっても居心地のいいところでもあるのだ。このことが、今や米軍が日本に駐留する大きな理由になってしまっている。寺島は、日米安保に群がる腐臭を漂わせる人たちと呼んでいいる。

インド洋上の米軍艦船への給油を止めると、日米関係は破綻すると断じた人たちは、今また普天間を海外に移すと日米関係は破綻すと声高に叫んでいる。彼らは、ブッシュ時代のアーミテージなどの高官を発言を引用しているだけである。

日本を取り巻く「脅威」も希薄である。北朝鮮の暴走は全否定はできないが、世界に共鳴者を探すこともできず、冷戦孤児と化している。中国は、今やアメリカと「米中戦略経済対話」の閣僚級会談を始めた。経済関係も良好な状況にある。

日本は冷戦後の、現代における条約改正の局面にあり、常識的な問題意識で向かい合うべきと結論している。我々はあまりにも、左右から日米安保条約を挙げ奉るか、こき下ろすかの作業を繰り返し過ぎてきたのではないか。

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中国から締め出されたグーグル

2010-01-21 | 政治と金

世界最大の検索サイトのグーグルが、中国から撤退する。撤退の理由は、極めて強力なハッカGoogl ーを受けていたが、それが中国政府の複数の要人のものであったことで、中国に抗議を入れたが事実無根と拒否された。

中国には、民主化に向けての根強い動きがある。言論の自由を認めない中国政府にとって、これら民主化の反政府活動がインターネットでやられる厄介な問題を抱えていた。民主化運動に加えて、民族問題もインターネットを活用し始めた。こうした背景を持つ中国にとって、何とかしてインターネットを利用した活動を阻止したいのである。

グーグルの関係者は、締め出された携帯電話の問題もあってあっさり撤退を決めた。中国政Photo府は、中国の国内法にのっとって不正サイトの進出を許さないと発表している。グーグルは中国の検閲に抗議の姿勢を変えていない。

世界第2位の経済大国になろうとする中国である。国交のないハイチに震災復興の援助を世界最速で行ったのにも、そうした自負があると思われる。中国が真の大国になるには、民主化の道は避けて通れない。民族問題も同様である。更には、農村部の貧困問題も力で抑えきれるものではない。インターネットという、人間にとって21世紀の最大の武器を中国は国民から奪い、人権を認めない権利はない。

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日米同盟のもたらしたもの

2010-01-20 | 政治と金

日米安保条約のもたらしたものは、この50年で多大なものがあることは刈らずもながであるが、様々な産業構造にとって大きな変化を与えたことだけはは事実である。多くの産業については、語るだけの力量は自分にはないのは解っている。しかし確実にこの間に私が直接かかわってきた、酪農業についてははっきりとしたことが言える。

多くの人は、一昨年穀物が高騰したので酪農製品が値上がりすることを理解されていないよ うである。牛が、輸入穀物を大量に食べているとは思ってもいなかったようだ。日本はおおむね、3000万トン近くの穀物を輸入している。その3分の2が家畜用であることも、説明しなければわからないことである。穀物の輸入先は、ほとんどがアメリカである。

アメリカは軍事大国であると同時に、農業大国である。100年以上前の、トムソーヤや大草原の子どもたちが遊んだ、木々が茂り水が豊かに流れるプレリーは、広大な穀物を生産する農場に変わった。水は地下水を汲みあげて、地平線の彼方まで穀物を作付している。巨大になった農場で生産された4億トンのコーンは、半分は家畜に向けられる。大量生産で安価になるためである。質など問われることなどない。

高度成長下で生産された自動車などを日本が売り付けた見返りに、穀物を大量に輸入することになった。最初は人間のために、次は家畜のためにである。そのためには、コメを主体にした食の体系の見直しさえも日本に強要した。畜産製品の摂取へと、大きく日本人の食は変わり人と家畜への穀物の売り込みにアメリカは大成功したのである。当事者自身も驚くほどであったと振り返っている。

これを可能にしたのは、安価で安定的な穀物の供給である。この背景にあるのが、日米安全保障条約である。他にもアメリカから輸入されたものも少なくはないが、現場でこの変化を長年にわたってみてきた実感である。乳牛が40年前とすっかり変わってしまった。乳牛の改良もアメリカの思うままである。飼養管理も、穀物協会の指導がすっかり浸透している。今では、日本最大の酪農地帯でも草に頼る酪農家もすっかり少なくなってしまった。

05082435この地でも、乳牛の多くは閉鎖された牛舎で穀物主体の飼養管理に変わってしまっている。草地で自由に草を食べらっる牛も少なくなってしまった。改良された乳牛は、穀物を牛乳や肉に変える能力が突出した資質を持つものである。かつては5産以上していた乳牛は、今では2.5産平均にまで落ち込んで淘汰される。

高生産を強いられる乳牛は、大量の穀物を与えられて、肥満にあえぎ肝臓疾患との戦いである。肉や卵を大呂に食べる人間も肥満体形になって、いまや腹囲を測られてメタボの基準を健康検査の対象になっている。

農村から農民を奪ったのも、酪農に限らずこの高度成長経済下の出来事である。国益のためには他国の伝統的な食の体系を変えることも厭わない、アメリカに従属する国家日本の姿の背景に安保条約をみることができる。

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日米安保条約改定から50年

2010-01-19 | 政治と金

日米安保条約が暫定的な旧条約を改訂して、19日で50年になった。60年安保条約改定反対運動は、日本最大の反政府運動であった。前年の三井三池闘争の労働運動に比して、学生が先頭になった運動であった。時の全学連の名前は世界に知れ渡った。6月15日には、東大女子学生樺美智子さんが殺されている。

日本は、良くも悪くもアメリカに寄り添い、東西冷戦真っただ中で西側につく選択をした。占領軍時代に比して、対等な同盟とされながらも一方的にアメリカに従属する関係となったのである。アメリカは共産勢力の拡大阻止の拠点に、日本を位置づけた。その後、アメリカに従属し核の傘の下で、日本は着実に経済成長を遂げ、世界第2の経済大国になった。この時に日米安保条約を結んでいなければ、今日の発展はなかったと思われる。しかしそれもこの国の選択である。多くのものを失なったことも忘れてならない。

とりわけこの後の日本は、農村から労働者を都会に送り込み、地方を疲弊させ農業を無残な形にさせた。61年の農業基本法がこの役割を担った。農村への補助は道路の整備と、農地の基盤整備やダム建設など土木事業ばかりとなったのである。安保条約を、都会から経済発展ばかりで見ると、偏った見方になってしまう。

東西冷戦は東側の崩壊で終結したが、アジアには微妙な形でまだそれが残っている。自らを社会主義国と称する共産党独裁政権の世界第2位の経済大国の中国と、金王政を敷いている北朝鮮も社会主義国と呼んでいる。これらの存在が、現在のままの安保条約の必要性を説く人物にとって格好の材料となっている。

世界は多極化しているし、これほど長い同盟関係は世界的にもまれである。また独立国でありながら、アメリカの基地を半世紀以上にわたって駐留させるもの異常である。しかも、唯一の地上戦があり多くの犠牲者を出した沖縄に、75%も押し付けている。

核兵器持ち込みなどの密約に見られるように、ベトナムへやアフガニスタンへの出撃など、日米安保とはほとんど無関係に、アメリカは日本の基地を自国の戦争のために使っているのである。もっと使ってくださいという意味ととれる、思いやり予算などで日本は更に服従の対ソを示している。

日米安保条約は、成立当時の背景を考えるまでもなく、大きく変化した世界情勢の中にあって歪な関係になっている。アメリカのオバマ大統領は、ブッシュの単独行動主義を見直しているし、日本では歴史的な政権交代を迎えた。この際日米の在り方を、単なる従属関係から脱却するいい機会ではないか。普天間基地の移転は、そうした意味で鳩山政権の踏み絵と見て取ることができる。

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アメリカがアフガンを放棄する日

2010-01-18 | イスラエル

アフガニスタンの情勢が最悪になっている。一つは今月6日に、アフガニスタン東部のトスと市でCIA事務所が自爆攻撃をされたことである。自爆した人物は事前にメディアに顔を出している。ヨルダン人のこの男は、職員として働いていた2重スパイだったのである。これで、CIA職員が7名も死亡した。極めて、アメリカにもカルザイ政権にとってもショックな出来事である。

100118そのカルザイ大統領が提出した閣僚17名のうち、10名をアフガニスタン下院が否認した。これで何度目になるか解らないが、閣僚も決められないカルザイ政権は、汚職と選挙の不正発覚で国民の信頼を失い身動きが取れない状況である。

その世間の動きに対して、タリバンは極めて元気である。18日には首都カブールで、中央銀行などの複100118002数の拠点を持ち市街戦をやっている。政府側の被害も甚大である。単なるゲリラ攻撃でない。タリバン軍といえる攻撃である。首都機能はマヒ状況である。タリバンが犯行声明を出している。

オバマはイラクの勢力を、アフガニスタンに投入するとした選挙公約を実行している。この間の情勢分析などない。ノーベル平和賞受賞のスピーチでも彼は、増派の正当性を訴えていた。オバマの思惑とは異なり、アフガニスタンはタリバンの復活、復権で増派の意味すらなくなってきている。8年を超えるアフガン戦争は、これまでアメリカが戦ってきたあらゆる戦争で、最長のものになった。

先日当地の情勢を古くから知る、マスードの写真集で知られる長倉洋海氏が、何かいい解決策はないかとの質問に答えて「アメリカ軍が撤退することです」と明快に回答していた。いくら兵力を増やし、高性能の武器を用いても、軍事力では解決できないというのである。誰でも解る単純なことに、ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領が気づく日が早ければ早いほど、アフガニスタンの悲劇が早く終わることになる。

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今度はパパかい

2010-01-17 | 政治と金

小沢一郎が居直っている。土地購入に関するお金は、父からの遺産であったと、逮捕された石川氏が供述している。党首の鳩山由紀夫は、ママからお金をもらっていたが、幹事長の小沢一郎はパパからのお金だというのである。世襲政治家は地盤、看板、カバン(お金)をたくさんもらって結構なことだ。

Stt1001171602005p2 今回の秘書3名の逮捕で小沢一郎に理解を示したくはないが、警察官僚の反逆とも見れなくはない。事情聴取の可視化や官僚への老後の補償をなくしたり国会の答弁を禁止したりと、官僚の権限を小沢が削ぎ落しまくっている。

今回が単なる記載ミスや報告ミスなら、この程度のことはこれまで立件はおろか、逮捕などされてこなかった。安倍も麻生にもそのようなことはあったが、事務的な訂正と報告だけで終わっている。昨年の西松建設問題以来、小沢一郎に限ってだけ秘書が逮捕されている。しかも今回は通常国会を前にした、元秘書とはいえ議員の逮捕である。情報も検察リークが圧倒的である。

かつてのように検察の逮捕劇に、国民はエールを送らなくなった。正義としての振る舞いとみるには、あまりにも検察は自公政権寄りである。普天間問題に見られるように、自民党政権が永遠に続くと思われた時代の官僚の残党が、影に日向になって民主政権を揺るがしている。今回の逮捕劇も極めて恣意的な匂いがする。せっかく政権交代したのであるから、官僚も入れ替えるべきなのである。アメリカはそうしている。3000人もの役人が入れ替わるといわれている。制度が異なるが、そのための周到な準備もなされている。

職務権限のない当時の野党の小沢一郎をいくら追い詰めても、贈収賄で起訴などできるはずがない。しかし、小沢を政治的に追い込むことは可能である。検察の狙いはその辺りにあるのではないか。彼らはどっちに転んでも、何のお咎めもないお役人である。

今回の最大の問題は、企業献金に依存する古い体質を持った人物が、政権交代した政権の中枢にあり、それを仕切っていることである。民主党は企業献金の中止を鮮明に打ち出すべきである。でなければ、脱ダムへの道も意味がなくなってしまう。更に、政党助成金のあり方にもメスを入れるべきである。企業献金が中止されたら、日本共産党も政党助成金を受け取るであろう。

それにしても、主要な人物を全て閣内に送り込んでしまった民主党には、党内を取り仕切る人物が小沢の他にいない。彼が辞めない理由も、彼を辞めさせたくない理由もここにある。小沢に権力が集中し過ぎたのである。

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イラク・アフガン戦争の検証を

2010-01-15 | イラク

29_rg_hamas_gaza2_ap__081229 インド洋上でアメリカ艦船に給油するとテロが減るという、まるで三題話のようなイラク特措法(テロ対策特別措置法)が、本日をもって失効した。とてもめでたいことである。が、そんな暢気なことを言っていてはならない。物忘れが得意な日本人は何もなかったようにやり過ごす。

この法律は、アメリカが9.11対策としてアフガニスタンとイラクに攻め入ったことが「テロ対策」であって、これを小泉内閣がイギリスに次いで容認した。憲法で不戦を誓い9条を持つ国とは思41_jpg えないほど迅速に、小泉は陸海空の自衛隊をいち早く派遣した。アメリカ支援のとして、8年間もの間インド洋上で給油し続けていたのである。アメリカ艦船とパキスタンの艦船が対象になっている。

失効したからこれで終わりであってはならない。全く不条理なブッシュの戦争であるが、最も協力的であったイギリスですらこの戦争は、でっち上げた事実に基づく戦争であったこと総括している。アメリカですら、大量破壊兵器もなければアルカイダとの関係もなかったと結論付けている。

政権交代した日本は、いまだにこの戦争の不条理も憲法を踏みにじるような再三の行為についても、何の反省も総括もしていない。現在のアフガニスタンやイラクなどの中東の状況を見る時に、ブッシュが仕掛けたこの戦争で何が解決されたというのであろうか。戦禍を拡大したにすぎない、死者の数を増やしたにすぎないのではないか。

日本はこのイラク特措法で、こうした中東の混乱と戦禍の拡大に協力したことを、せっかく政権交代したのであるからしっかりと反省するべきである。第一給油活動の実態がいまだ公開されていない。さらに、自公政権が進めた給油活動の、テロへの効果を程度を総括してもらいたいものである。イギリスは、独立調査委員会を立ち上げて、参戦した理由とその効果を政府高官の証人喚問や機密文書の公開などを通して行おうとしている。

戦火が拡大した中東は、イラクのマリキ政権はほとんど解決する力がなく、アフガニスタンの会ザイルに至っては汚職とアルカイダの攻撃にあって閣僚すら任命できない状況である。ブッシュの起こした戦禍に事実を洗いざらいさらけ出すことでしか、これからの方針は打ち出せるわけがない。日本は、民主党政権になってもそれすらできないでいる。

左のフォトアルバムに<雪たちの戯れ>をアップしました。ちょっと足しました。

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小沢一郎が退場する日

2010-01-14 | 政治と金

小沢一郎と東京地検の闘いが面白い。小沢一郎は師と仰ぐ田中角栄の後半のすべてを傍聴している人物である。今回の陸山会の家宅捜査で、多分目に100113つくようなものは出てこないだろう。小沢が地検の任意による事情聴取を拒否している態度にたいしての、検察の苛立ちであろう。

石川知裕議員の事情聴取に関しては、一方的に情報をマスコミに流している。地検の陽動作戦であろう。同時に、石川議員の元秘書や水谷建設の職員の証言なんかも、リークを垂れ流している。私たちは、半世紀近くこうした政治とカネそれに利権にまつわる動きを見続けてきた。

今回は、どのような結末が用意されているかは判じかねるが、鈴木宗男議員の経過などを見ていても解る通り、結果的に無罪になるとしてもそれは先のことである。とりあえず、検察は議員がその活動が停止されればいいのである。裁判はその先である。西松建設の場合は、どうやら立件してみたものの、そのまま終わってしまうような気がしてならない。

今回は、丹沢ダムに係わる利権争いが裏にあるようである。複数企業のの関係者が小沢の天の声が貰いたくて献金したと証言している。その金が見当たらない。そう考えると、小沢の性格からしても捜査がもう少し進むと、自身が投げ出すことも十分ある。議員辞職まで行くかどうか解らいが、立件されるようだと少なくとも民主党からは離れるものと思われる。

今回は、ゼネコンだけに限らず、自らが党首を務めた新進党と自由党が解体した時の、党の金も問題視されている。政治資金の中には、政党助成金として税金もつぎ込まれている。制度上不正ではないようであるが、不透明なカネであることには変わりはない。

小沢一郎は、ほどなく民主党を離党するものと思われる。せっかく政権交代したのによ多くの国民は、民主党に好意的であるが、党首の鳩山の場合とはまった異なる形での、政治資金問題に嫌気を見せる日も近いように思われる。

左のフォトアルバムに<雪たちの戯れ>をアップしました。

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羅臼港

春誓い羅臼港