政治主導と首相の指導力について、明らかに菅直人は誤解している。誰にも相談せずに、自分の頭の中で思ったことを、やり遂げることが「政治主導」であり「首相の指導力」だと思っているようである。
今回も、仮設住宅を夏ごろには避難者全員に当たるようにします、と明言したが根拠が何もない。関係者は土地もなければ、資材の確保も十分でないと回答している。
更に、被害補償については、現場では風評被害も対応すると言いな がら、評価会では風評被害については外されている。風評被害については、便乗組もいるだろうし実際に出荷停止被害を上まらるケースもあるようである。判断に極めて困難な経緯が生じると推測される。余りにも安易な、菅直人の返答である。
よく考えてみると、参議院選挙の直前に消費税アップをぶち上げた。しかも、内容は自民党案の丸投げである。民主党の延命になるようなことを、自民党が受けるはずがない。考えが甘かったのであろう。下準備も何もない。自民党に蹴飛ばされて終わりである。
TPPについても同じことが言える。TPPは彼が懸命に立ち向かった、小泉内閣の新自由主義と符合するものである。竹中・太田の小泉時代の経済閣僚がもろ手を挙げて賛成している。
閣内はもちろんのこと、民主党内で論議された形跡はない。余りにも唐突な、菅直人の決断である。
第二次菅内閣の組閣でも、あれほど民主党を非難攻撃していた与謝野薫を入閣させた。民主党が国を滅ぼすと言っていた男である。
これらの一連の経緯を見ていると、菅直人は独断で情勢判断もなく決定することが「政治主導」あるいは「指導力」と思っているようである。
器の問題はもちろんあるであろうが、何しろ今まで根回しや下準備などの経験がなく、対立軸だけで地位を築いてきた男である。小沢派だけに限ることなく、協力的な側近すら離れているようである。震災の復興さなかにあって、最悪と言える宰相をもつ我々は最大不幸の国民であると思える。