比較的平穏だったチュニジアで革命が起きた。今後この動きは不透明な部分が多いが、近隣に火種が飛んでいる。とりわけアメリカが最も信頼を寄せていた、エジプトで民衆の動きはかなり活発である。
エジプトのムバラクは、内閣改造を行った。自らが大統領になる基盤となった、副大統領を置いたのが目を引く。ムバラクとしてはせいいっぱいのことをやったつもりでいる。これで民主化の動きが止まるとは思えない。イエメンでも、されは大統領に対する反政府運動が起きている。アメリカはこれらの動きを、表向き支持せざるを得ないコメントを出している。
しかし、中東における親米国家であるエジプトはムバラクの独裁長期政権、イスラエルは極右翼政権、サウジアラビアは言わずと知れた王政である。中東で最も民主的な政権は、アメリカが最も嫌うイランである。最も民主的な選挙をやって、反米を貫いている。
アメリカが民主化を掲げて侵攻したイラクでは、混乱が続くばかりである。選挙を行っても半年経たなければ組閣すらできない。政情は安定に程遠い現状にある。
中東には長期政権が常態で存在する。軍事政権であれ王制であれ、民衆は 特権階級の存在を容認する風潮がある。こうしたことが政権に多くの問題を引き起こすことになっている。いずれにしても、国民に政権を選択させる制度を導入するべきである。
今回のエジプトのしても、中東で民主化が起きると例外なく反米政権になる。アメリカの民主化を評価するそぶりは真意ではない。都合が悪ければ武力介入をへいきでやり、国民が選んだ政権を潰すのである。アメリカが中東に限らず、他国に求めるのは民主的な政権などではなく、親米政権が欲しいだけなのである。