
四方を海に囲まれた海洋国日本の漁民が激減している。減ってはいるだろうと感じてはいたが、圧倒的な沿岸漁民はそれ程でもないと思っていた。
上の表はコロナ禍が起きるまでの30年の推移である。沿岸漁師は41%に、中小企業の漁業会社は50%に、大規模会社は減少し25%となっている。漁業支援政策は、沿岸漁民のために港湾の整備や製氷施設などがあるが、出たとこ勝負の感が強い漁師に対する支援はほとんどないと言って良い。
国民の魚離れも大きい。30年前の40%程度にまで減少している。若い世代が魚を料理することがなくなってきた。肉は好んで食べるが、魚は調理までして食べないというのである。
それよりなにより、漁業が過酷な労働である。沖に出れば、時間外労働多いと自死する世代には耐えられない厳しい労働である。若者が板子一枚下は地獄というような船に乗る職業を敬遠するのである。
当地の漁師の友人に聞いても、農業と同じように、あるいはそれ以上に次世代が育って行かない。マスコミが好んで取り上げる養殖は、食料として多くの危険があり規模も小さい。
いずれしにしても、政治が一次産業を怠ってきたからの他ならない。自動車を売り込んでGDPを上げるため、この国から一次産業を犠牲にした結果である。その典型が北海道である。農業はが廃れ、林業は無関税の外材に抑え込まれ、鉱業は石炭も金や銅などとり尽くすか放棄され、北海道開発は一体何だったのかと思わせる。
日本の漁業は7万人程度の漁民に支えられているが、いずれも同じ高齢化で後継者も少なく、沿岸の漁師町は衰退の一途を辿っている。農村だけではない、かつて4万6千人いた炭鉱の町歌志内市は後10年で千人になる。各漁村毎にたあったお寺は異宗教を越えて僧侶がいくつも掛け持ちしている。政権に従順な漁民の声は薄い。そのうち日本は遺伝子操作した養殖魚と、ホルモン処理された輸入魚だけいなるかもしれない。
