ギリシャが何とか落ち着いたかと思ったら、今度はイタリアがユーロを危機に火をつけるかもしれない。イタリア国民は緊縮財政のモンティに僅か10%の支持しか集めなかった。
イタリア選挙をかく乱したのが、二人のコメディアンと言われている。一人は五つ星運動の、本物のコメディアンのベッペ・グリッロである。既成政党を批判して25%も支持を得た。もう一人のコメディアンが2度も首相をめた、女好きのお騒がせのベルルスコーニである。28%もの支持を得た。
この二人のお笑いは、ユーロ脱退と減税を公約に掲げていた。誰もが緊縮財政を好むものではない。当然イタリア国民が支持した。単なるポピュリズムである。
過半数を取得した政党もなく、こう焼きに連立を掲げている政党もない。五つ星運
動だけが連立を拒んでいる。新たな政権は、ベルサーニの中道左派を中軸にした政権になるが、安定したものとはならない。
これを受けて、ユーロが再び暴落する事態になろうとしている。経済学者の浜矩子氏は、もともとユーロを多国間の共通通貨にするには無理がある。各国の財政がそれぞれ独自で取り組んで、国力も経済力も信用もバラバラである。浜氏は2リーグ制の通貨体制にするなり、根本的な見直しを指摘している。
元々2度の大戦を引き起こしたドイツを抑え込むための、ヨーロッパ統一であった。ところがユーロが暴落する度に、ドイツ車は安価に輸出できるのである。ドイツは大儲けになるが、ギリシャやイタリアなどの南部の財政負担を、強くけん制する。
EUとはノーベル平和賞を受賞した、非戦が理念のヨーロッパ統一である。経済圏の確立としての、入り口に通貨統合がある。それがトラブル続きで、機能していない。浜氏の指摘通り、通貨の統合に関しては、基本的に見直すべきなのであろう。選挙後の組閣と、財政政策が注目される。