
国際法に疑いもなく違反するトランプによる、イラン領土へ平然と侵入し核施設への巨大な爆弾を地中深く爆破したことを、平然と支持する評論家がこの国に多くいることに愕然とする。しかし、不条理であっても核開発については度々やられてきたことではある。そしてこうしたぐうバクによる破壊は効果があることも、その後の経過を見ればさもありなんとも思える。
イスラエルがイラクには1981年に、シリアには2007年に核施設を空爆破壊している。リビアは、カダフィがアメリカの恫喝に屈し、核開発に手を出さなかった。その後の内戦などでシリアもイラクも政権が崩壊し、フセインもアサドもいなくなって核開発どころではない。攻撃したのはイスラエルである。カダフィも中東の春の中で殺害された。
イランは1億の大国であり、政権の体制がしっかりしてるので、政権の崩壊はない。逆にパーレビ―王朝は崩壊しイスラム大国となっている。
イランの外相は、今回の爆撃で体制の転覆をトランプは望んでいたようである。日本に広島・長崎に原爆を落として終戦し、体制を変えたようにと思ったのか。寸足らずの頭で。
トランプはバンカー爆弾を落とし、確認することもなく完全に破壊したと宣言したが、どうもかなりの部分が残っているようである。とりわけプルトニュウムはかなりの量を避難させていたとのことである。
ならばトランプは再度攻撃するというのであるが、イランは再攻撃をしない約束をしない限り、交渉には応じないということである。
トランプはイランの核施設に攻撃をしたが、そのほかの核保有国には、ほぼ無言である。インドやパキスタンについては何のお咎めもしない。北朝鮮に対しては、トランプは何の成果もあげないで会食を重ねただけである。
極めつけは、イスラエルである。イランに対する論理を、核兵器を90発所有するイスラエルには適用しない。結局アメリカにとって脅威であるかどうかが、核の質を決めるのである。
アメリカ(とイスラエルが?)が認めた核は問題にならず、逆に認めなかった国は空爆で破棄される。こうした論理の元の核施設破壊攻撃は、
アメリカのバンカーバスター核施設攻撃は核開発を断念させるのではなく、かえって強固にしむしろ加速っせる結果になる。
下の表は、ウラン濃縮を行うための遠心分離機の数を示したものである。2016年から2019、2020年あたりまで急激に減っている。ここは、オバマ主導による6各国によるイランとの核合意が行われていた期間である。核合意は2015年に結ばれて、2016年から実施されている。ところが、トランプが1期目の時に「腐っている」と核合意から離脱した。その後、イランはこれに反発して核開発を進めたというものである。トランプはだから信用できないと、全く逆のバカ発想である。
合意を進めていれば、イランは核の平和利用をし、核兵器の開発をしなかったかは不明であるが、少なくとも監視下に置くことができた。6ヵ国の中にロシアも中国もいる。広い意味での核抑止にもなったはずである。
