そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

TPP即時撤退を求める大学教員の会の試算

2013-05-31 | 政治と金

「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」(代表醍醐聰東京大学名誉教授)によると、日本がTPPに参加した場合の全産業の生産減少額は10兆5000億円にのぼり、農家の所得も全国で3483億円減るという試算を、22日に「公表した。会は、政府資産の問題点を微細に分析しているが、以下は会の文章そのままである。

① 「政府統一試算」ベースによる農林水産物等の生産減少額(2兆9,680億円)により、全産業の生産減少額は、約10兆5千億円にのぼる。
② 「政府統一試算」でいう農林水産物の生産減少額は、他産業への影響からの「跳ね返り効果」5千億円を含めて、最終的に約3兆4,700億円の減少となる。
③ 就業者に与える影響(雇用効果)は、「政府統一試算」の対象品目の生産に係る農林水産業で約146万人、全産業で、約190万人の減少となる。
④ 企業・家計の所得など国民総生産(GDP)に与える影響は、約4兆8千億円の減少となり、GDPを1.0%押し下げる。
※ GDPは、09~11年度平均約489兆円(内閣府経済社会総合研究所)
⑤ 生産減少、就業者数の減少を通じた家計消費の減少額は、約2兆7千億円となり、GDPの1.0%低下のうち、0.6%分の寄与となる。
 

会は、TPPは関税撤廃について7年~10年の猶予期間は認めても、その後は必ず撤廃することが大前提になっている。むしろ例外というのは10年の猶予期間が取れたことだと誤魔化して、除外の意味を変えてくることことに注意が必要だと警告している。

試算の大きな違いの一つの例として、十勝などの連作を上げている。政府の試算では、てん菜と馬鈴薯それに小麦は壊滅状況になるだろうが、小豆は30%ほど生き残るというのである。これらの作物は連作が効かない。毎年作り続けることができないのである。輪作の一部は生き残るとする判断は、農業を熟知しないお役人の典型的な机上論である。

一連の政府の試算は、関連企業の跳ね返り効果とその代償について、正確な評価をしていない。雇用不安に伴う関連産業の減少などの評価が不徹底である。政府は今回出された、専門家と現地の声や現状の分析の精度を高めて、TPP参加を即時中止するべきなのです。新参者の日本は、TPP協議で叩かれることははっきりしている。交渉力などそもそも存在しないのです。

この50年で日本の地方はすっかり疲弊してしまいました。輸出産品の代償に、農産物を輸入してきたからです。人的な供給も、農村がやってきました。かつては、都会の人たちには古里がありましたが、すでに定着している地方出身者たちも、2世・3世になって、農村の現状や食糧の生産することの重要性も、農村文化も理解できなくなってしまいました。

TPPはそうした中でもわずかに生き残ってきていた農業に、さらに大きな打撃を与えることになります。農家所得を倍増するのではなく、農家戸数を倍増するか生産量を倍増しなければ、豊芦原瑞穂の国の文化的基盤はなくなってしまいます。

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何とも情けない大阪市議会

2013-05-30 | 政治と金

大阪市議会で、橋下市長の従軍慰安婦をめぐる一連の発言を受けて、自民、民主系と共産党などが、問責決議案を提出した。当初は公明党も加わっていたが、松井大阪府知事の、問責が通れば選挙になると脅し、橋下を援護した。

選挙になると恐れおののいた、市議会ではキャスティングボードを握る公明党は、問責決議案と一言一句変わらない、注意文書のようなものを出した。問責も注意文書も過半数には至らなかった。選挙に勝ってしまうと、あらゆることがミ禊になってしまう。免罪符を与えることになることを、嫌ったともいえる。

大阪市議会は、選挙にはめっぽう強い橋下脅しの軍門に下ったのである。選挙は想定外だった大阪維新の友党である公明党の日和見が、橋下を救った格好である。

橋下の一連の慰安婦発言、それに続く沖縄米軍の日本女性利用しろ発言で、もっとも救われたのが、安倍晋三である。安倍首相は、野党時代や閣外にあって、橋下と遜色ない発言を繰り射返していた。

橋下の強烈な、世界各国からのバッシングを見て、これは当分だんまりを決め込もうとしたようである。橋下はいわば、安倍のスケープゴートになったのである。維新の協力がいる96条改定も、当分は全面には出してこないだろう。急速に維新の会とは距離を取り始めている。

それにしても、大阪市議会は何とも情けない政治的動きに終始した、本日(5月30日)の一連の動きである。

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最小限で幕引きを図る、カネミ・水俣・原爆

2013-05-29 | マスコミ報道

結構色々な報道やネットから情報を拾っているつもりでいるが、知らなかったことがあまりに多い。すっかり決着がついていたと思っていた、カネミ油症事件であるが、原爆症や水俣病と同様の経過をたどっていたのである。

カネミ油症事件とは、45年まえに何の瑕疵もない一般国民の台所に忍び込んだ、猛毒のダイオキシンである。食用油の生産過程で混入した、PCBであるが現在はダイオキシンと分類されている。

この被害者たちが、一時の補償にとどまることなく継続的な、補償を求め昨年救済法が成立した。被害から44年経過していた。ご多分に漏れず、カネミ油症事件でも被害者認定で、いまだに決着がついていないのである。

ダイオキシン物質の特徴として、次世代に引き継がれる恐怖がある。現実に被害者の母親から、症状として引き継いでいる2世たちがいる。しかし、血液検査をしても全く異常を見出すことができないため、カネミ油症の認定患者にはならないのである。

日本では救済法が成立しても、可能な限りその範囲を狭めるのである。ほぼ同様の油症事件が起きている台湾では、親が患者なら子供にもその対象を広げて認定しているのである。

こうした日本政府の姿勢は、原爆症や水俣病についても同じことが言える。原爆症については、アメリカの見解あるいは指示のもとで、7日間を過ぎ現地にいた人は認めなかったことに始まり、地域を限定する作業は延々と続けられた。それがようやく昨年枠が外れた。

水俣病についても、血液検査の結果で認定患者を絞り込んだ。現実の症状がある人たちは、救済されることがなかったのである。アスベスト被害も同様である。被害者が声を上げ、多くの場合亡くなられてから、工場周辺の人たちの認定に腰を上げたのである。

その他数限りない、薬害事件はいずれの場合も加害者擁護に国家は動いている。原発による放射能被害者や被害地域も同様に、最小限にとどめようとし、加害者擁護とみられる動きを見せる。

不特定多数の人たちが被害者となった事件の場合、日本という国では最小限に留めようと国家権力は動くのである。慰安婦問題も集団自決についても同様の力学が働いている。

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農家所得より食糧自給率向上を

2013-05-28 | 政治と金

安倍内閣の打ち出したアベノミックスであるが、三本目の矢として成長戦略を打ち出している。一本目の矢は、金融緩和である。市場にお金をジャブジャブ出そうというのである。二本目の矢は、公共事業をやって一時の景気を作るのである。どれも見せかけの経済政策、猫だましである。だまされているのは国民である。
三本目の成長戦略の一つとして、農家所得の倍増を打Fao_food_price_index2013mayち出してきた。10年で倍にするというのである。農家戸数を倍にするならわからなくもないが、もしくは農産物生産量を倍にするなら、論議の対象にもなろうが、世界の食糧事情を無視した机上論にすぎない。

左右の表は、FAO(世界食料機構)の今月の表である。左のは、食料全般のこの5年間の国際価格の月ごとの推移である。年を追って値上Fao_food_price_index_indicesがり傾向であることがわかる。秋頃になると徐々に価格が上昇する傾向にあるのは、北半球の人口が圧倒的に多いからである。

右の表は主要製品、Suger(砂糖)、Cereals(穀物類)、Daily(乳製品)、Oil&Fats(油脂類)、Meat(肉)である。この12か月の動きである。乳製品が異常に高騰している。この2ヶ月で、14.9%も上がっているのである。これは、乳牛に与える穀物供給が高騰したからだと思Fao_food_price_index_cereaiわれる。家畜への供給量の不足もある。

左の表は、この10年間の穀物の生産量と、供給量それと備蓄高である。生産量と消費量(オレンジの線と黄色の波線)が、順調のように見える。しかし、これは単に生産されたものがすっかり利用されているからである。

右の表は世界の人口増加の現状と予測である。多くの予測がある02が、いずれもこの20年ほどで90億に達することを予測している。さらにもっとも大きな比重を示しているのが、アジアの人口である。穀物の中で、もっとも急騰しているのが、お米である。加えて、円安は国内畜産の基盤を直撃することになる。

こうしたことを総合的に考えれば、誰にでもわかる。農業にとって最も重要なことは、所得を増やすことなどではなく、自給率を高めることなのである。自らの国民を食べさせることが、人口問題や食糧問題を解決する唯一の手段である。アベノミックスは食料については、なにも語っていない。

フォトアルバムに紹介している<マイペース酪農交流会>は、食料の自給率に大きく貢献する、酪農の飼養管理方法だと言える。

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危機管理すらない原子力研究施設

2013-05-27 | 原発と再生可能エネルギー

23日の正午に、東海村の日本原子力研究開発機構の加速度実験施設「J-PARC」で放射能漏えい事故が起きた。金にビ-ムを当て素粒子を発生させる実験中Photo
に、安全装置が働きビームが停止した。良くあることだったらしく、リセットして再実験を4時間もやった。気が付くと、研究員の放射能測定装置が、通常の4倍の値になっていた。

あわてて、研究員が行った行為が実験施設のダクトを開けて、ファンを回すことだった。放射能を拡散させて、自分たちの居場所をより安全にする行為である。通常ならともかく、放射能である。彼らは、半減期の短かったものがものが多かったのでと言い訳をしている。

ここには、原子力研究に携わる人間としての意識が全くない。これが、放射性物質の性質を熟知している集団の取った行為である。極めて未熟な対応だったと言える。

ここまで十分驚かされる行為の連続であるが、もっと呆れたのは、この施設のファンにはフィルターすら取り付けられていなかったのである。放射能は実験施設を抜け出て、周辺へ拡がった、

もっと驚かされのは、周辺自治体への報告が、30時間も経って行われたことである。この一連の対応を見ていると、この研究施設では事故対応の訓練がやられていなかったことが、推察される。

30時間も遅れて報告をするまで、彼らの取った対応で評価できるものが一つもなく、放射性物質を扱う専門家としての、基本的な教育がなされていないことも解る。

原子力規制委員会は27日、事故やトラブルの深刻さを示す国際原子力事象評価尺度(INES)で「レベル1(逸脱)」と暫定評価した。作業員の被爆レベルが最大1.7ミリシーベルトと低かったが、外に漏らしたことに対する厳しい評価である。因みに福島原発やチェルノブイリでも、レベル7である。

27日現在で被爆した人は、33人にもなっている。結局、原子力村の中で教育されてきた研究員たちの、エリート意識が福島原発以降も何ら改善されていない低レベルを露呈したまでである。

フォトアルバムに<マイペース酪農交流会>をアップしました。

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放牧酪農にこそ未来がある

2013-05-25 | 政治と金

昨夜北海道地方で放送された、クローズアップ北海道「TPPで乳製品ピンチ”強い酪農”を目指せ」は、大型化に対する警告の番組であった。番組の冒頭では、十勝の大型酪農家、番組では900頭搾乳している、と報告されていた。

巨大な牛舎と、搾乳施設には圧倒されました。これほど大きな牛舎にするには、餌の主体が購入資料になってしまう。配合飼料(輸入穀物のことである)は、毎日100万円を超すと説明していた。きっと円安で相当のダメージを受けるに違いない。

Photo牧場の方は、TPPが入ってくれば存在すらできないと、作業の手を休めながら語っていた。このような巨大な酪農業は、外部資本への依存度が高く、ちょっとしたことで傾いてしまう。

番組のほとんどは、足寄の放牧酪農を主体にやられている方の、経営形態を展開していた。ほとんど穀物を給与することなく、外に出て牧草地の草を食べさせていた。この方は牛舎すら持っていない。簡易な雪風を防ぐようなハウスしかない。

牧場主は、「TPPが入ってきてもこのスタイルを続けます」と、何の危機感もなく答えていた。本人は大学を出てから、ニュージーランドに実習に行き、放牧だけで搾ることを学んでいる。設備投資も経費も極力抑えられている。外部資本の依存はほとんどない。当然環境に左右されるために、規模も小さく一頭当たりの搾乳量も少ない。

この30年ほどで、日本の酪農は大きく変わった。一頭当たりの乳量は倍ちかくになったが、給与穀物量は倍以上になった。給与供物はほとんどがアメリカからの輸入されたものである。この10年ほどで穀物価格は倍近くなったが酪農家は気が付いていない。円高で酪農家はそれほど高くない穀物に依存し続けてきた。

穀物多給酪農家では、当然病気も多発する。三産も搾れない。放牧酪農は、マイペース酪農と言われていることが多く、この人たちのところでは病気は少なく、五産ほど搾ることになる。

大型酪農は、設備投資や維持の経費が膨大な金額になる。おまけに大量の穀物を給与する。酪農家の労働時間も、年8000時間を超える膨大なものとなる。牛も頻繁に病気になってくれる。周辺産業にとってはまことにありがたいしシステムなのである。

大型酪農は、今回自民党政府が奨励する「意欲ある農家」と分類され、マイペー080917_30ス型や放牧主体の酪農家は、改善意欲がない農家に分類されることになる。大型酪農家が世界の資源を浪費して、環境悪化と食糧問題の元凶になっていることは、この国の政府は問わないのである。

更に、酪農家の経営質や労働量のことなども問わないのである。アベノミックスでこれまで以上に、農家が債務を抱えることになる。

左に<マイペース酪農交流会>をアップしました。

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コストダウンには金がかかる

2013-05-23 | 政治と金

安倍首相は、10年で農家所得を倍にすると大見得を切っている。その本体は、農業の流通への参入(6次化)と大規模化である。輸出も奨励しているが、それらを攻める農業と呼ぶのである。食料生産としての、農業の本質がここで語られることはない。

大規模にすることで生産効率を上げてきたのが工業である。手作業を機械の発達で、大量に生産してコストダウンをして商品を市場に供給してきた。靴や服を好みに合わせて、大量に多様な商品を生産して、人々を満足させてきた。

ところが農業の生産効率は、太陽と土壌の力と水によって支配されている。少ない人数で大量に作付はできるが、生産の効率が向上するわけでない。生産効率が上がったと人を見誤らせたのは、品種改良と化学肥料や農薬それに、灌漑の技術である。

さらに機械の導入によって、労働者当りの生産量は上がったが、農業の本質的部分のエネルギーとなる炭水化物やたんぱく質の生産量はさほど上がらず、相変わらずお天気次第なのである。

農業の大規模化には、機械の導入が欠かせない。規模に応じてそれは大きくしなければならない。金額もそれに応じて上がる。

私の専門である、酪農に関して言えば、政府が推奨する規模にするには、約1億円がかかる。それも牛舎とその周辺施設に限ってである。フリーストール牛舎にして、ミルキングパーラーにすると、1億円にもなるのである。

生産量は増えるし、労働効率は上がる。しかし、負債を返さなければならない。この数年、経営不振の離農よりこうした過剰投資による破たんする農家が増えている。周辺産業が盛んに、規模拡大を推奨するからである。

農家は生産のコストダウンにはお金がかかることを、返済する時になって気が付くのである。規模拡大は農業にとって矛盾する行為であることが少なくない。

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維新一人泥をかぶってほくそ笑む安倍

2013-05-21 | 政治と金

日本維新の会がボロボロである。共同代表の橋下と石原の、前時代的な感覚が露呈したからである。特に橋下は、旧本軍と同じで敗退を知らない。多少の言い回しの変化があるものの、撤退したり訂正ができない男である。

橋下の発言内容は、実は安倍晋三が以前から言っていたこととほとんど変わらない。慰Photo安婦の強制収容の事実を、安倍は否定している。首相になってさすがに、公言することはなくなったが、櫻井よしこを師と仰ぐ安倍が慰安婦問題や集団自決を容認するわけがない。

更に、過去に安倍は日本の核武装を主張していた。安倍もこの点は同じである。石原も同様である。

今回、参議院選挙に向けて、みんなの党から決別状を渡されてしまった。みんなの党には、民主党が共同を組もうと持ちかけている。

公明党はいち早く、橋下発言を女性を侮辱するものであると、手厳しい対応を行った。民主党も、海江田代表が極めて歯切れの悪い言い回しで、橋下発言を批判している。

昨年暮れの総選挙では、台風の目となった日本維新の会である。民主党を追い越すのも時間の問題とみられていた。ここにきて支持率が落ちて急速に勢いが衰えている。今回参議院選挙を前にして、維新の会は四面楚歌である。

これを最も喜んでいるのが、安倍自民党である。公明党とはこれまで与党として組めば良い。みんなの党と維新の会が組むことで、いくつかの複数区の選挙区を失いかねなかったが、これで一安心である。民主党には勢いがいまだ戻る気配がない。

安倍国粋主義者の危険性は、石原・橋下が泥をかぶってくれた。中韓は安倍攻撃を止めて、石原と橋下を攻撃している。対外的に橋下がガードしてくれる格好になっている。こんな都合よ良いことはない。参議院選挙絵自民党が勝利するなら、安倍は橋下に礼を言わねばなるまい。

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空論に過ぎなかったプルサーマル計画

2013-05-20 | 政治と金

原子力規制員会が、高速増殖炉もんじゅに対して、事実上の停止の決定を下した。原発の副産物のプルトニュウムを再利用する、プルサーマル計画が空論であったこ02とがようやく認められた。盛んに知ったかぶりで推奨していた、草野仁や滝川クリステルの言い分を聞きたいものである。

これまで1兆円も投入した、プルサーマル計画である。プルトニュウムは、最も危険な放射性物質である。発がん性が高いこともあるが、核兵器使用への転嫁が可能な物質でもある。

国内には、再利用計画が動くとの予測のために、40トンもの天文学的数量の危険物質のプルトニュウムが保管されている。その本丸であるもんじゅが、停止されることになる。枝野が唯一容認した、大間原発も同様である。

これまで一度も稼働していないから、素人目にも停止は当然である。数限りない事故を繰り返し、隠ぺい工作の画像を出して取り繕うとした、愚かとしか言いようにない、もんじゅは国民をばかにした欺瞞の施設である。

世界各国は、何度も事故を起こすなどして撤退している。アメリカは1946年より開発してみたが、1994年に中止にした。イギリスは度重なる事故で1994年に閉鎖した。原発大国のフランスは、最も熱心に取り組んではみたが、1998年に研究用の一基を残し閉鎖した。ドイツは1991年に中止している。

今回1967点もの整備不良個所が見つかった。何か奇妙な言い訳を言いながら、鈴木理事長は辞任した。

原子力発電所は、石破軍事おたくの自民党幹事長が主張するように、核抑止力としての働きもあるとするのは、プルトニュウムを生産するからである。IREAも日本が、プルサーマル計画をやるからと黙認しているだけである。それが停止されるとなると、日本の原発事業全体の計画が欺瞞になってしまう。

利用もされず一方的に、貯まってしまったプルトニュウムの処理一つ見ても、原発事象は破たんしているといえる。

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農家の所得倍増計画に未来はない

2013-05-18 | 政治と金

安倍首相は17日、東京都内で講演し、農林水産業の強化や民間投資の拡大などを柱とする成長戦略第2弾を発表した。農業分野では、生産から加工、流通までを担うPhoto_2「6次産業化」を進めて農業・農村全体の所得を10年間で倍増させると言うのである。首相は実現に向け、自身を本部長とする政府の「農林水産業・地域の活力創造本部」を来週新設すると述べた。

10年間で倍増は、池田勇人の「所得倍増計画」を真似たものである。日本の農業が極めて歪になったのは、1961年(昭和36年)の、農業基本法の設定からである。農家の息子の、河野一郎農林大臣は激怒した。都会に出た農民の土地を、残った農民がもらうという筋書きに、「そんなことは起こるわけがない。農民は土地を手離さない」と言ったが、その通りになった。多くの農民は、兼業になったのである。

兼業の小農が生き残れたのは、外で小銭を稼いだからではない。農外所得はほとんど、機械化した農業に投資したからである。小農はロスが少なく、農業の生産効率がいいからである。

日本中の農家を取材して現在就農している友人が何度も言う言葉である。「企業が参入して成功した農業をみたことがない」というのである。マスコミなどが盛んに取り上げ報道するが、はじめだけのことが多い。やがて、撤退することになる企業が圧倒的である。

アベノミックスの、3本目の矢は農業の所得倍増である。何度もこのブログで書いたが、食糧の自給率を上げることと無縁のことである。攻めの農業と名付けられているが、お金儲けの話である。食料の質も量も関係ない。

そのお金儲けであるが、中身は大きくすることと6次産業化である。輸出などは全く農業生産とは関係ない話である。今月号の「農業と経済」で、林芳正農水大臣と生源寺眞一名古屋大教授の会談が掲載されている。内容は結局は、民主党政権の批判とその転換であり、つまりは大型化と6次化への話ばかりである。

民主党政権下でも、生源寺眞一氏はアドバイスをしていたが、会談を見る限りカメレオンのような学者であることが判る。攻めの農業は、若者を呼び戻すフレイズにはなるかもしれないし、周辺産業が潤うことにもなるであろう。一時でなくするためには、持続的政策が求められる。

大型化に企業の参入と農地の集中を図るとのことであるが、これはかなり困難であり、濃音の現実を無視した政策であると言える。誰もついてきないばかりか、企業が放棄するのは見え見えである。

農業にとって最も重要な政策は、長期的視点を持ち持続的であることである。他産業に比べて、農業は生産に時間がかかかり、時の気候に左右されることがあり、短期的な視点から政策を組まれたらたまったものではない。

日本の農業が衰退しているのは、政治家の時どきの思い付きによって、振り回されてきたからである。6次産業化で、市場を10年間で10兆円にすると、安倍はぶち上げた。どうみても食糧や農村のことを正確に分析した上でのこととは思えない。思いつきの域を出ていない。農村はこうして振り回され、人がいなくなった。そのいい例が生産調整である。

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無知のまま突っ走る橋下

2013-05-17 | 慰安婦

自らの発言を殆ど修正することなく、無知なまま突っ走る橋下大阪市長である。戦時兵士にとって、売春施設は欠かせないというのである。沖縄にも、売春施設を設けれPhotoば、あるいは日本のそのようなものを利用すれば、事件が減るというのである。

この発言には、橋下本人が風俗大好き感情が見えているが、女性への蔑視であるとともに、兵士への侮辱でもある。

アメリカが異例の反応の速さを示した。下院の外交委員長のエドワード・ロイス代表がきわめて不穏当な発言と断じた。日系のマイク・ホンダ下院委員も同様の発言をしている。アメリカメディアも異例の速さで報道している。

橋本の事実関係の認識も、相当低レベルである。慰安婦の存在は、安倍晋三や櫻井よしこも否定している。この事実を認めると、「自虐史観」になると主張しているのである。

ブログ「すくらむ」http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11531684724.html によれば、兵士のためにレイプ施設を作っていたのは、日本とドイツだけとのことである。

しかもドイツの場合、神聖なアーリア人の血液が、多民族と混ざらないためのものであった。被侵略国家の女性を使って、レイプ施設を作っているのは日本だけである。しかも日本の場合は”従軍”させ、連れ歩いているのである。日本だけが非難されるのは当然である。橋下の貧相な歴史観が哀れにも思える。ついでに、「軍隊と買収は一体」発言の、石原慎太郎も同罪である。

橋下を擁護するつもりだっとみられる、西村真悟衆院議員が「大阪には韓国人の売春婦がうようよいる」と発言した。維新の会にはこうした無教養の人物が、うようよいることが判った。

ツイッターでは、アメリカに対して「お前らもやっている」という論法であるが、そのことがやっているものの贖罪になるわけがない。建前を排して本音で語れば分かり合えると、橋下は言う。本音で語られるのは、橋下の下賤な感性だけである。

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北朝鮮の失政を尻拭いすることにならないか

2013-05-16 | 朝鮮半島

北朝鮮が焦っている。ステルス機が参集した今年の米韓合同演習に強く反応した、金正恩第一書記である。あちこちを火の海にしてやると息巻いた。ミサイルを発射台Photoに据え付けたが、何もできなかった。一人騒ぎをした金正恩お坊ちゃまである。

アメリカは全く折れなかった。オバマは核放棄がすべての前提として、これを崩さなかったのである。国連の制裁も全く変わらなかった。北朝鮮は、核とミサイルを目いっぱいちらつかせたけれど、食糧も燃料ももらえなかった。交渉すらして貰えなかったのである。

逆に、中国の銀行がほとんど、北朝鮮との取引を中止した。これがこたえたのであろう。メーデーだの誰かのお祝いだのとか、お坊ちゃまがどこかの視察をしたとの放映をするようになった。おまけに、強硬派の軍のトップを3カ月で解任させたのである。

今回の一連の強硬発言は明らかな失敗である。このような大きな失政は、通常の国家なら、強く非難されるか失脚するところである。政権交代もない独裁国家には、それがない。こうした時には、知らん顔して次の政策に手を出すのである。

手を出したのが日本政府である。一昨日から、飯島秘書官が北朝鮮を訪問していPhoto_2
る。北朝鮮は会談の内容も何も触れることなく、この事実を報道している。今日は国家ナンバー2の金永南と会談をしている。これは異例の扱いと言える。

ここに北朝鮮の焦りが見て取れる。小泉に拉致を認めたときには、金正日は日本にアメリカとの会談を依頼したかったのである。拉致問題に対して、北朝鮮側の軽い扱いが問題を一層混乱させ、今日に至っている。その当時の日本側の当事者であった、飯島を招き入れた理由は判らないし、どのような結果になるかこの国のことである、予測がつかない。

中国は歓迎しているが韓国は不快感を表している。拉致問題解決を大前提にしている日本が、この国から何を引き出すのかが注目される。何かが大きく進展する可能性もあるが、北朝鮮の失政の尻拭いをさせられり危険性も孕んでいる。

フォトアルバム<春遅い根室の森では>をアップしました。

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わけのわからない地下水の海への放水

2013-05-15 | 政治と金

東京電力は福島第1原発の放射能汚染水対策として、敷地内でくみ上げた地下水を海に放出するようにした。東電は、「汚染前の水で安全性に問題はない」とし、地元市町村や漁業関係者の了承を求めた。

了承を取り付けようと説明された、県漁連は戸惑っている。そりゃそうである。漁民にそんな権限があるわけではない。東電の説明はこれまで、隠ぺいの連続であったし、俄かに信じるわけにはいかないだろう。

それに今回の、地下水の放水はいかにも奇妙である。大量の地下水が山側から、建屋に向かって流れている。原子炉冷却水と混ざって、毎日400トンの汚染水ができてしまう。原子炉冷却水と混ざる前の、地下水を放出しようというのである。極めて基本的な疑問が残る。

 冷却水と混ざる前というが、冷却水が地下水と混ざることの方が問題であろう。山を削ってわざわざ、津波を受けやすいように作られた福島原発である。対策すらなかったことが問われるべきであるし、地下水は元々出るのであるが、汚染冷却水が地下浸透することの方が問題である。

 汚染前の地下水であるから、放射能汚染は受けていないという根拠もおかしい。すでに2年を経過している。表層からの浸透も浅くはないはずである。東電は、「放射性セシウム137の濃度は1リットル当たり1ベクレル以下で通常の地下水と変わらない」と説明している。仮にそれを認めたとしても、現在の話である。いつまでのものかもわからない。

 東電の説明を仮にすべて了承したとしても、汚染水の処理の行き詰まりは見えている。僅かに引き延ばされるだけである。それが、どれほどのものになるかもわからない。単なる小手先の対策であることに変わりはない。

 今回説明を受けて県漁連は、自らに権限はなく、判断材料もなく、結論を先送りした。仮に漁協が了承したとしても、海水への影響についてはどれほどのものになるかも解っていない。

解っているのは、いわき市長も危惧するように、地元漁業者や住民が風評被害を受けることである。

地下水の放出は、思いつきの小手先の対策であり、奇策の域を出ていない。

これが安倍首相の言う、「世界最高水準の技術」?で、輸出までやろうという日本の原発の現状なのである。

左のフォトアルバムに<春遅い根室の森では>をアップしました。

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慰安婦の存在を認めない橋下

2013-05-14 | 慰安婦

日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が、従軍慰安婦制度を「必要だった」と述べたり、在日米軍に風俗業活用を促す発言をした。各方面からの反応を見て、ツイッターで持論をさらに展開している。

極めてレベルの低い発言である。今回の発言内容は論外であるが、従軍慰安婦の事実関係を否定していることは、もっと大きな問題である。身近に朝鮮人の方々を見て育った者にとって、朝鮮人がどのように扱わていたかを身をもって知っているからである。

しかもこの感覚は、戦後のものである。戦時中は、占領国の朝鮮の人たちは極めて残酷に扱われていた。その感覚が、強制的に若い女性を軍隊に引き連れていったのは、推察に難くない。

証拠がないのは当然のことである。こうした行為が、不法であり非人道的であることは、国の上層部も承知をしていたのであろう。国としても公式に認めるような、愚かなことをするわけがない。

神風特攻隊ですら、志願兵がやったことであって、軍部や国家が関与したものではないのである。集団自決も同様である。国家は思想的に囲い込んで、国民に選択肢を奪ったうえで、彼らが勝手にやった行為としてしまうのである。

慰安婦の存在を全く否定する連中もいるが、安倍を含めた櫻井よしこたち国粋主義者たちの多くは、彼女ら望んでやったというのである。そうした階層を作った事実を黙認した上で、必要であったというのである。女性蔑視は当時は許されていたと、橋下は言外に主張する。

頼りにしようとしている、アメリカからの発信を彼らは渋々受け止めようとしている。認めたくない本音はありありである。今回のような低レベルの内容に限らず、慰安婦問題はいつまでもくすぶり続けることになるだろう。戦争と同じである。反省していないからである。

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大国の戦場になったシリア

2013-05-13 | 政治と金

シリアが内戦の枠を超えて、果てしない戦いが続いている。先月アメリカ大統領が、Photoシリア政府が国際法で禁じられている毒ガス使用の可能性を指摘した。アメリカの武力介入の可能性まで言及した。更には、イスラエルが空爆してより一層混迷が深くなっている。

イスラエルの空爆は、イランを抑え込むとの理由である。宣戦布告もなく、圧倒的な空軍を持つイスラエルが、他国を平気で空爆するのである。最もイスラエルは認めていないようである。Al_assads_trust_in_papa_bear_is_mis

シリア情勢は、中東の大国であるイランとイスラエルの代理戦戦争の様相を見せて来ている。当初は、アサド政権と反政府勢力の戦いであった。反政府勢力はアメリカとEUが後押しし、アサド政権は、ロシアが支援して中国がこれを黙認するという構図であった。

流れ出る情報は、人権団体と称されて、西側ばかりからであった。アサド政権の暴力的行為が圧倒的で、一般市民がこの犠牲になるというものであった。ところが、どうもこの構造はあまりにも単純すぎたようである。

少数宗派のアサド世襲大統領は、スンニー派を頼っていたが、イランを拠点にするシーア派が反政府勢力の支援に動いた。反政府政権支援では、アメリカと歩調をそろえるUsrussian_efforts_can_end_syria_criという奇妙な形である。

ここにレバノンの、最も過激なヒズボラが加わって支援を始めた。武器のみならず、兵士まで送っているのである。彼らはシーア派である。アメリカが反政府勢力に、兵器の提供すらしない理由がここにある。

ヒズボラとイランの天敵は、言わずと知れたイスラエルである。ブッシュの戦争でイラク情勢が混乱する中、イスラエルはシリアの北朝鮮製作と思われる核施設と思われていた、建物を空爆した経緯もある。

シリアの内戦は昨年までの、アラブの春とは明らかに異なってきてしまっている。イスラエルの内戦は今や、大国の思惑に加えて近隣諸国が極めて複雑に交錯する中で、出口のない戦いが進んでいる。この混乱を生んだのは、ブッシュのアフガンとイラク侵攻である。大国の責任はどこにある。

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羅臼港

春誓い羅臼港