獣医学部の開設に4条件が事前に提示され長年もわたって検討されてきた。候補として名乗り出ていた、加計学園と京都産業大学はどちらも、この4条件をクリアーしていなかった。これは大学の開設の直接責任者の、文部科学省の前川政務次官が述べています。
いわゆる「石破の4条件」とは以下である。
<<獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討 1、現在の提案主体による既存獣医師養成でない構想が具体化し、 2、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき具体的需要が明らかになり、かつ、 3、既存の大学・学部では対応困難な場合には、 4、近年の獣医師需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。>>
早い話が既存の大学では取り組みことができなかったことをすることが条件になっている。
獣医師不足や、地域性などどこにも記載されていない。ところが突如として、「地域性」という言葉が提案されて産業大学が撤退したという経過であった。
獣医師の国家試験に合格するのはこの50年ほど変わりない。ほぼ1000人ほどである。50年前には、小動物(愛玩動物・ペット)の診療に300人ほど、産業動物(家畜)の診療に300人ほど、そして行政と研究職に400人ほどが就職していた。ところが、畜産の衰退と規模拡大で、産業動物への就職者がかなり減ってしまう一方で、愛玩動物が雑種がうんと減り室内で飼育するようになり、しかも複数の犬猫を飼うようになり愛玩動物の診療獣医師が増えてた。佐々木倫子の、マンガ「動物のお医者さん」がベストセラーになり、獣医師希望者が増えて、入学試験の偏差値が高くなり女性が増えた。
相変わらず、1000名ほどの獣医師が新たに生まれている。つまり獣医師は不足はしていないが、偏在するようになった。大雑把な数字であるが、産業動物へは100名ほど、愛願動物には600名ほどが就職するようになった。産業動物の診療獣医師は、小動物の診療もするようになり、食つなでいる。
女性の社会進出は望ましいところであるが、産業動物では体力的なことや、何よりも汚いしきついししんどいく、女性の定着は低くなる。本当は業務を分担すれば、女性の場も広くがるとは思うのであるが、現実には行政に家庭を持った女性が就くことが少なくない。
獣医師の分野は臨床が目立つが、医療や農業や自然環境とかかわる分野も少なくはない。更に最先端技術として、分子生命学の分野も
多種の生命と関わる獣医学の分野に取り入れた方が、研究の幅が明らかに拡がることになる。獣医学科を持っていないが、進化学や公衆衛生や解剖学や細菌学を開設している大学が、京都産業大学や名古屋大学や広島大学などたくさんある。そうした意味でも加計学園など論外である。