報道などで日本という言葉の前に、”先進国”という言葉を付けて「先進国日本」という言い方が通例化している。はたして未だに日本は”先進国”と呼ばれるに相応しい国なのか?
上図は主要国の賃金の伸び率であるが、この20年で11%も減っている。極めて大きな失速をしているといえる。3年前に韓国に平均賃金を追い越され、アメリカのほぼ半額となっている。もうすぐ東南アジア諸国に追い抜かれ、安い労働者を呼べなくなるし、下請けにも出せなくなる。
このことを見えにくくしているのが、アベノミクスの第一の矢である、「異次元の金融緩和」政策である。円安と株高を生み、一見日本経済は堅調であるかのように見せかけていたのである。8年間2%のインフレを壊れた機械のように言い続けている。つまり異次元の金融緩和策は成功していないのである。
円安・株高は経済的には動いていなくても、大企業や大金持ちは儲けたように金が入ってくるシステムである。国家国民が潤っているわけではない。アベノミクスは格差社会を創り出したに過ぎない。
博士の取得率も取得者も激減している。基礎研究を、「ヒヨータイコーカ」などという言葉で追いやった結果である。論文提出数は見るかげもない。
国債の発行は群を抜いて高く、財政収支は最悪で、その場限りの短期的政策しかできない日本の政治の結果である。国債の評価が30位まで下落し、信用は低下は著しい。
政治の貧困、政治家の極端な知性などの欠如と低下、それが若年層の無関心を呼び、さらに劣化する。少子高齢化は突如現出するものではないが、無策のまま今日に至りさらに加速を早める。投票率の低さは民主主義の劣化の表在の一つに過ぎない。
現在日本という国の何処を切り取っても、先進国という誇る言葉で説明できるものはほとんどない。報道各社も、先進国という冠詞を日本に付けるべきではない。
ジェンダーギャップ指数(GGI)が群を抜いて日本は低く、156カ国中120位である。