世界有数の企業のアップル社やソニーやデルなどの、電子製品受託生産(EMS)企業であるフォックスコン中国社で12人自殺を図り10人が死亡した。フォック スコンは中国に20の工場を持つ、最先端の電気製品を生産する受託会社である。
EMS労働者は「12時間立ちっぱなしの作業で、毎日怒鳴られっぱなしだ」と、労働条件の厳しさを訴えている。自殺者は、会社の遺族補償を目当てだともいわれている。
5月に中国の工場ではストライキが、ホンダ、ユニクロブラザーなど相次いで発生している。自称社会主義国で、これまで労働者のストライキがなかったことに、大いに疑問を感じるが、日系企業では彼らの要求を一部受け入れたりしている。ストライキによって、職場環境が改善されることを彼らは体験することになる。
世界有数の企業が相次いで中国に工場を進出させている。これが中国の経済成長の根幹をなすものであるが、それを支えるのが安価な労働力である。改革開放政策は、一部富裕層の賃金を突出させ、その一方で内陸地方を中心とする貧困層を残したままである。
格安の労働力に頼ったEMSなどの労働者トラブルは、中国が世界の工場として世界の企業を受け入れてきた素地をなくしつつある。こうしたトラブルを受けて、世界労働機構(IMF)は労働条件と生産環境などの改善に苦言を呈している。世界各国の工場進出は大きな転換点に立っている。