
プーチンはトランプ提案の停戦に、極めて高いハードルで回答してきた東部四州それにクリミア半島はすでに憲法に明記してある。ウクライナの非NATO加入に、中立政権(とはロシア寄りである)の成立など言いたい放題である。
当たり前である。停戦は両者引き分けであるから、戦況が有利な国側が譲るわけがない。ましてやプーチンである。そして出てきたのが、NATO諸国ではなくアメリカのトランプである。
明らかにプーチンは適当に煽てておけば、あるいは外にならないような餌でも与えておけば何でもできると思っているのであろう。
上記のような条件を出しておきながら、トランプをちやほや煽ててしまえば、政治のアマチュアのトランプは、「あいつはいい奴だ」と手名付けられる。国のトップの懐柔はこれで終わり。
つぎはプロパガンダ(政治宣伝)である。アメリカの次は欧州諸国である。アメリカとまったく逆の攻撃をする。「欧州諸国が進めている軍事化計画は、ロシアとアメリカの方針と相いれないものだ」と喧伝し始めた。
プーチンの目論見は、アメリカと欧州諸国(NATO)との分断である。これで一層戦況も有利になる。ラブロフロシア外相も最近は、「戦争を続けたがっているのは欧州だ」と繰り返し発言している。
テレビでは、「これからはロシア、中国、アメリカの『偉大なトロイカ』が新しい世界の構造を形成する」と流している。
「モスクワ・タイムズ」は、米ロ首脳の電話会談が行われた2月中旬以降、ロシア大統領府から国営メディアに対し、アメリカ批判を和らげるよう指針が示されたと報じている。特にトランプ個人への批判的な報道は厳しく監視されていると。
トランプの掲げた一時停戦の提案は完全に失敗し、プーチンの思う壺である。