松井秀喜が引退した。今年は球団のオファーもなく、出番がほとんどなかったので案じていたが、引退を発表した。巨人時代から連続試合出場記録が続いていことで判るように、丈夫な体躯であった。が、手の骨折とひざの故障が彼の引退を早めた。
松井の引退で驚いたのが、ニューヨークの反応である。そういえば、松井がエンジェルスに移って、最初のヤンキースタジアムの出来事は忘れられない。
ヤンキースの選手はもちろんのこと、ファンまでが松井をスタンディングで歓迎を表したのである。前年のワールドシリーズのMVPであっただけではこれほど歓迎はされなかったであろう。
松井が甲子園で、5打席すべてで敬遠されたエピソードは有名である。松井は「相手の戦術である」と、大人というより紳士的態度で応じた。この試合松井の星陵は敗北したが、校歌を歌う勝利チームへのブーイングはものすごかった。
この時の敬遠選手は、現在高校で指導者になっている。松井の態度を、生徒たちに教訓として引用しているとのことである。
松井の紳士的態度と、チームプレーに徹した姿勢は、何かと注文の多いニューヨーク子を感動させた。イチローの、単打・走塁・守備の小技も、日本人としての特質の評価と言えるが、松井秀喜の姿勢も日本的であると言える。
日本の若者が失いつつある、礼節や恩義それに団体競技でのチ-ムへの姿勢にアメリカ人の共感を呼び起こしたのであろう。驚いたのは、ニューヨークタイムスが、3年前に辞めた選手の特集をやったことである。
松井の評価は、この処いたずらに好戦的・右翼的にになっている、日本政府や自民党や維新の会は見習うべきである。日本の活路がここにあると思われる。