閣議決定とは、行政の最高機関が内々で決めることである。
あたかも立法の府の上に立ち、国会に支持すように閣議決定を位置付けているかのように乱発するのが安倍晋三である。まるで立法の府国会に命令するかにさえ見える。
10年前の7月1日に安倍晋三は、殆どの憲法学者が違憲と見解を示す、「集団的自衛権行使容認」を閣議決定した。まるでこれで決まりとばかりに、安倍晋三は決して起きることにないような事件を想定し、集団的自衛権行使容認をとうとうと記者会見で述べて見せた。
10年を迎えたところで、シンポジュウムが開催された。(上記記事)
国会は論議しないどころか、まるで上意下達のように何もなかったかのように粛々と進められ、岸田政権は軍事予算を倍増し、安保関連三法案を決定し、先制攻撃容認とするまでになった。
自衛隊も本格的な軍隊として、アメリカン後方支援部隊として国会での論議も何もなく平然と行うまでになった。日本の軍国化は凄まじい勢いで進められている。
憲法の持つ平和主義と立憲主義そしてなにより民主主義が蔑ろにされてゆく。それが始まったのが10年前の今月の、閣議決定である。
元内閣法制局長官宮﨑礼壱さんは、・集団的自衛権とは自国が攻撃されていないのに紛争に介入することであるが憲法に違反する・日本国政府は憲法上一貫して集団的自衛権行使を否定してきている・自衛権の行使容認の要件の曖昧さ、の3点を元法の番人として指摘する。
同じく、元最高裁判事の濱田邦夫さんは、安倍晋三が内閣法制局長官を恣意的人物に変えたことを指摘する。「今は亡き内閣法制局」と指摘し、立法府を甘利にも無視した行政府の武装を指摘する。
これら憲法に抵触する案件を、憲法条文に触れることなく、解釈の変更で乗り切っている。理論上は憲法は変えられていないのであるから、敗北したわけではないと、慶応大学名誉教授の小林節氏は指摘する。腐りきった政権を変えれば、閣議決定をやり直すことも可能であると檄を飛ばした。