
トランプのイランの核施設を爆破するとする超強硬手段が有効に効いて、イランとイスラエルは停戦に合意した。トランプの功績だと称える声さえある。これにはお笑いかと思わせる。
そもそもイランの核開発を止めさせるため、アメリカ大統領のオバマが主導し、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国の6っカ国それにEUとイランが加わって6者合意として、2015年発足した。イランの経済制裁を解除する代わりに、査察を受け入れ核開発を止めるというものである。
新たに大統領に就任したトランプは2017年これを離脱した。イランは腐った国だ信用できないというのである。6ヵ国もさることながら国連など世界各国は失望した。
喜んだのはイスラエルである。そしてトランプの非協力的な結果、離脱がイランの核開発を促進させたのは事実である。この2国の攻撃は国際法に違反するものである。
そして、イランが核を持ちたい最も大きな理由は、中東で唯一核を持っている(90~120発)、イスラエルの存在が大きい。核を明かに所有しながらIAEAに加入も査察も受けることなく、核所有の批判すら受けないイスラエルは周辺各国に脅威を与えている。トランプの離脱とそれ以上にイランが核開発へと突き進むせる大きな力になっているのに、イスラエルの存在がある。
今回の核施設攻撃も、どうやら中途半端に終わったようである。イスファハンはほとんど無傷のように見える。イランは中東でもイギリスの影響が残っていて、パーレビ時代の自由な雰囲気は今も失われていない。町の車の3割は女性が運転しているし、ホメイニの肖像も汚れていても傾いていても平気である。女性のスカーフも首都を離れると全くしていない地域すらある。イランは厳格なイスラム原理主義国家ではない。極めて現実的な対応を平気でやる。今回もハメネイ師は多くを語らず、停戦合意むけて動き始めた。
イスラエルには核兵器所有の実態すら明かさず、平然とパレスチナ民をジェノサイドし、周辺の国家は圧倒的な戦力を誇示され恐怖する。
今回も圧倒的な戦力を見せつけることで、イランは抵抗を止めた。
トランプは戦争を終わらせたいのではない。戦争や紛争でアメリカを、つまりは自分自身を際立たせたいのである。今回の停戦合意は、イランもイスラエルも表面だけのものでしかない。イランはアメリカに怯え、イスラエルの執拗な攻撃と歴史的な対立に一時の黙する姿勢を持ち、イスラエルはトランプの恫喝に従っただけである。何も解決されていない。