海江田経産相が玄海町を訪れて、町長に玄海原発の再稼働へ協力を要請した。町長の要求に応えて、国が安全性は補償すると返答した。海江田は何の根拠を示したか解らない。単なる口約束である。町長も知事も容認へと傾いた。
今回の、あるいはこれまでの原発行政を見れば解ることであるが、原発推進のためなら国は何でもやってきた。金はばら撒くし嘘もつく。脅しもやれば自治体を恫喝させる。知事さえ貶めることもやってきた。
海江田は経済評論家であり、新自由主義者でもある。この男は、産業の停滞の方を優先課題と考えている。
この二日間で行われた、電力会社の株主総会では、個人投資家たちの悲痛な声が沢山上がっていた。各総会の会場では、人的には脱原発が圧倒していたようである。しかし、基幹投資家は圧倒的な株数を誇っている。
どの会場も原発については大いに論議があったようであり、そのことは評価しなければならない。しかし、結局は原子力行政は多大の金を地域に落とし、地域は潤うし産業は安価な電力を得ることになる。
政権与党の民主党内でも、脱原発へと動いた人たちも大勢いる。政党としての態度も決めかねている。そんな中で、菅首相は脱原発を旗印にしようとしているような、いないような解散含みの発言である。
しかし、現実には日本は原発再稼働へと大きく舵を切りなおしたと言える。世界中にショックを与えた、福島原発事故である。ドイツやイタリアやスイスは脱原発を決め、フランスもイギリスもアメリカも論議をまき起こしている。中国もインドも当惑しながらも、原発稼働へと恐る恐る歩もうとしている。
こうして見ると、福島原発事故で最もショックを受けていないのは、日本の政界と産業界ではないだろうか。ヘンな国である。