市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

「そこのけそこのけガスパッチョ様のお通りだ」東京ガスの居丈高

2009-02-12 01:24:29 | 東京ガス高圧パイプライン問題
■低炭素社会への貢献を口実に、住民の都合はそっちのけで、安中市の信越半導体横野平工場~高崎市下小塙町の既設ガスラインを結ぶ超高圧ガス導管埋設工事に邁進するエネルギーフロンティア、東京ガスの本質については、既にこのブログでも報告済みですが、昨年の大晦日に東京ガスに出していた公開質問状の返事が、ようやく届きました。

 内容は次のとおりです。なお、質問内容を青字で追記してあります。東京ガスの回答内容を赤字で示しました。

***********
平成21年1月30日   東京ガス株式会社 群馬幹線建設事務所
平成20年12月31日付貴公開質問状に対する弊社回答
 拝復 貴殿ますますご清祥のこととお喜び申しあげます。さて、平成20年12月31日付貴公開質問伏について、下記のとおり回答申しあげます。 敬具

        記
1.貴公開質問状1)について
 岩野谷地区内にて施工済み及び施工中の各工事箇所の掘削溝内において、当初予見できなかった多数の巨礫岩が出現いたしました。これに伴い掘削作業の進捗が低下したため、各工区の施工時期及び順序を見直したものです。
2.同2)について
 計画より工事が遅れる事態があり得ることは、これまでの地元説明会あるいは毎月お配りする「岩野谷地区ガスエ事予定のお知らせ」等におきましてご説明いたしておりますので、このたびの遅れについても皆さまのご理解をいただいているものと考えております。
 したがって、特に今回地元説明会を開催する予定はありません。
3.同3)について
 群馬県や安中市には、適宜、施工状況等をご連絡しております。地元区長の皆さまには、今回の地区回覧資料を持参する際にご説明申しあげましたが、特段の異議はいただいておりません。
4.同4)について
 貴殿より賜りましたルートに関するご要望及びご要請に対しましては、これまでにも数回にわたり、書面、ご面談及び工事説明会にてご説明申しあげており、弊社としては真摯に取り組んできたものと認識しております。
5.同5)について
 貴殿に対しご説明済みの「ルート選定時の留意事項」を総合的に勘案し、当初計画の変更を行ったものです。 以上
連絡先 渉外課 課長 大塚宣樹 電話 027-324-5438
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 このように、東京ガスの回答は、木で鼻をくくった内容で、「真摯な」対応とは程遠いものとなっています。12月25日に直訴した、地元との災害防止協定締結と、安全でコストダウンにも役立つルート変更の要請については、完全に無視されました。

 それでは次に、東京ガスの誠意のない回答を確認していきましょう。

■最初の質問「工事予定の変更を余儀なくされた背景や要因を、それぞれの工区について詳しく特定して、ご教示下さい。」の回答は「岩野谷地区内にて施工済み及び施工中の各工事箇所の掘削溝内において、当初予見できなかった多数の巨礫岩が出現いたしました。これに伴い掘削作業の進捗が低下したため、各工区の施工時期及び順序を見直したものです。」というものです。

 工事に先立ち、東京ガスは、予め土質調査や、数十箇所の試験掘りを行いましたが、実際に掘ってみたら多数の岩がゴロゴロ出てきたので、掘削工事に手間取り、何ヶ月も工事が遅れたというのです。これは当初鼻高地区の県道工事で岩が出てきたのを皮切りに、北野殿地区の工区でも次々に発生した原因ですが、住民からも予めアドバイスがあったにもかかわらず、岩を掘削して造成した山道をルート選定したことによる東京ガスのミスです。ところが、工期遅れによる通行人や通行車両への迷惑について全く反省の念が見られません。

 また、県道部分の遅れについては、当初、東京ガスが開削工法で導管を埋設しようとしたので、交通量が多いからルート変更して推進(=トンネル)工法で通行の邪魔にならない配慮をするよう申し入れました。東京ガスは住民の意見を無視しましたが、結局、工法を変えて、今年12月末までかけて、岩井地区の県道で工事をすると言っています。にもかかわらず、この工区の説明はありません。

 当会が調査したところでは、東京ガスは、住民がアドバイスした推進工法で県道に導管を設置するように急遽計画変更しています。写真にあるように、今年1月から、碓東小交差点の東西2地点と内田モータース隣、セブンイレブン隣、岩野谷公民館入口横の県道5箇所にセメントミルクを注入して、地盤を固めて、そこにそれぞれ推進工法用の縦坑を掘るつもりのようです。これらの縦坑の掘削してから、5つの縦坑を直線で結んで、推進工法でトンネルを掘るものとみられます。昼間は1万7千台もの交通量があるため、工事は夜間に実施せざるをえないので、今年1年間をかけて、トンネルを掘り、その中に導管を配置する計画だと思われます。しかし、深さ何メートルに配置するのか、縦坑にはフタをするのか、それとも土砂で埋め戻すのか、薬注し掘削した地盤は周辺の地下水質や水量に悪影響は及ぼさないのか、などが分かりません。

写真上:岩井の碓東小交差点。地盤改良のためセメントミルクを地中に注入した跡が道路上に見える。


写真上:セメントミルク用のタンク。


写真上:セメントミルクを地中に圧入するためのポンプユニット。

■2番目の質問「地元住民として、生活道路や通学道路として使用している道路が、さらに最大9ヶ月近く(野殿VSは除く)交通規制されることになります。毎日交通規制で円滑な通行を妨げられている地元住民としては到底容認できません。あらためて、工事の遅れについて、地元説明会を開催して、理解を得る必要があるのではないでしょうか。貴社の考えをお聞かせください。」の回答は、「計画より工事が遅れる事態があり得ることは、これまでの地元説明会あるいは毎月お配りする「岩野谷地区ガスエ事予定のお知らせ」等におきましてご説明いたしておりますので、このたびの遅れについても皆さまのご理解をいただいているものと考えております。したがって、特に今回地元説明会を開催する予定はありません。」というものです。

 地元住民は、工事遅れについて、地元説明会で東京ガスからきちんとした説明を受けていません。鼻高地区で岩がゴロゴロ出て初めて工事に手こずり、慌てて工期を延ばし始めたのです。それも、2度にわたり好き勝手に変更しました。前項のように、工期遅れだけでなく、工法の変更も好き勝手にしています。住民からアドバイスされた時は耳も貸さなかったくせに、推進工法を採用せざるを得なくなっても、結果的に住民の言うなりになるのを嫌って、黙っているのですから、情報開示の姿勢そのものが疑われます。また、前項のように、周辺住民の生活や環境への安全性に懸念があっても、「住民説明会をする予定はない」と居直る始末です。

■3番目の質問「今回の工事予定変更について、群馬県や安中市、地元区長らには、いつどのように説明を行い、了承を得ましたか?」への回答は「群馬県や安中市には、適宜、施工状況等をご連絡しております。地元区長の皆さまには、今回の地区回覧資料を持参する際にご説明申しあげましたが、特段の異議はいただいておりません。」というものです。

 行政にはいつどのように説明したのか質問したのに、東京ガスは「適宜連絡している」としか答えません。また「地元区長からは特段の異議は出ていない」と言っていますが、地元区長は、東京ガスのやり方に憤っています。資料回覧は、地元との災害防止協定について東京ガスが前向きに検討すると約束したから応じているのであり、作業の安全や地元住民への迷惑を最小限にするよう注文をつけており、「特段の異議が出ていない」という東京ガスの説明はウソです。

■4番目の質問「上記の工区のうち、比較的順調に工事が進捗しているのは農免道路の工区です。一方、最も工事予定が遅れる場所としては、北野殿の集落、藤井坂から県道部分です。地元住民から農免道路を主体とするルートへの強い変更要請がありましたが、貴社はそれを無視して、当初のルートにこだわり続け、工期の延長により今後さらに9ヶ月も地元住民に負担をかけることになりました。結果的に地元民への負担軽減は無視され、貴社の言う工事コストの軽減策も出まかせだったことになります。このことについて、貴社の見解をお聞かせください。」に対する東京ガスの回答は「貴殿より賜りましたルートに関するご要望及びご要請に対しましては、これまでにも数回にわたり、書面、ご面談及び工事説明会にてご説明申しあげており、弊社としては真摯に取り組んできたものと認識しております。」というものです。

「株主に対する説明責任があるので、コストは抑えなければない。最短工事のためにルートも最短にした」と住民説明会で言明したことを東京ガスは完全に忘れているようです。道路管理者の安中市長との密約を重視し、ステークホールダーに住民を加えないのが、東京ガスの方針であることが分かります。

■最後の5番目の質問「貴殿は、平成18年7月ごろ、一度ルート計画の変更を安中市に申し出たことがあります(添付参照)。なぜ、当初計画からこのような変更を行なったのか、理由を教示ください。」への回答は、「貴殿に対しご説明済みの『ルート選定時の留意事項』を総合的に勘案し、当初計画の変更を行ったものです。」でした。

 住民が「国道をルート選定して、碓氷川などを渡河する場合には、既設の橋梁に導管を抱かせる添架工法にしてほしい」と要望したにもかかわらず、東京ガスは「テロ対策などあらゆる安全リスクを考慮すると、導管が剥き出しになる添架工法は採用できない」と断言しました。しかし、平成18年7月ごろ、東京ガスが当初計画したルート図では、烏川にかかる環状線の橋梁に添架工法で導管を設置するようになっていました。住民に平気で出まかせをいう東京ガスの体質は、行政の官僚主義より勝るとも劣らないようです。東京ガスの由来からして、役所の天下り先となっている官製会社なので、彼らはこうした対応が当たり前だと思っているのかもしれません。

■現在、北野殿地区では「バルブステーション」と呼ばれる高さ30メートルの巨大な煙突を設置する工事が今年8月完成に向けて進められています。70気圧の超高圧ガスが、非常時にどのように大気中に放散されるのか、周辺住民からの不安の声に対して、東京ガスは、いつになっても、この施設に関する住民説明をする気配がありません。

 そこで、当会では、役所に、この施設に関する情報公開請求を先日行いました。ところが、役所から、「第三者の開示に関する認否が必要だ」といって、開示延期を通告されました。東京ガスが、あくまで情報開示の邪魔をするかどうか、同社の体質があらためて試されております。

【ひらく会情報部・東京ガス高圧導管敷設問題研究班】


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