市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

社会正義の実現を損ねる弁護士という職業とは?…利益相反行為で紛争助長?

2020-11-21 21:53:00 | 不良弁護士問題
■11月6日の東京新聞のこちら特報部で、持続化給付金不正受給者の相談殺到という話題について、「弁護士同項の自主支援」と題する記事が掲載されました。要するに、「困った人を助けたい」けど「数十万円かかります」という弁護士稼業の実態を報じたものです。


 日弁連のHPには、「弁護士の使命」として、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とします(弁護士法1条1項)。弁護士は、この使命にもとづいて誠実に職務を行います。」と明記されています。
https://www.nichibenren.or.jp/legal_info/lawyer/mission.html

 また、「弁護士の役割」として、「~法律の専門家として、そして「社会生活上の医師」として~」とするサブタイトルのあと、「弁護士は、法廷活動、紛争予防活動、人権擁護活動、立法や制度の運用改善に関与する活動、企業や地方公共団体などの組織内での活動など、社会生活のあらゆる分野で活動しています。弁護士は、社会で生活するみなさんの「事件」や「紛争」について、法律の専門家として適切な予防方法や対処方法、解決策をアドバイスする「社会生活上の医師」なのです。病気の予防が大事なのと同じように、社会生活での争いごとを未然に防ぐ活動は、弁護士の重要な役割の一つです。」と記されています。

 当会として、特に首を傾げたくなるのは、「民事事件」での弁護士の役割として「普段の生活の中で起こる争いごとです、広くは、離婚や相続などの家事事件、商事事件、労働事件、行政事件などを含みます。弁護士は、これらの事件について、法律相談、和解・示談交渉、訴訟活動や行政庁に対する不服申立てといった法律事務などを行っています」という箇所です。

■当会のこれまでの経験では、行政事件に限って言えば、行政庁に対して、不服申立てをする事務を喜んで行う弁護士は皆無です。むしろ、住民からの不服申立てを揉み消したり排除したりする事務を行政から依頼されると、喜んで行政に加担する弁護士が大多数です。

 日弁連のHPには、「弁護士は、依頼者の立場にたって『法的に守られるべき利益は何か』を模索し、依頼者の正当な利益を実現して紛争を解決するために活動します。このような一つ一つの活動が、人権擁護と社会正義の実現につながるのです」などと、現実離れした美辞麗句が掲げられていますが、実際は、権力側、大企業側の立場にたって、自分達にとって守られるべき利益は何かを追及して活動しているのです。

 日本の司法がおかしくなっている原因として、裁判所が政治的圧力に屈しやすい体質であることもさりながら、弁護士という特権資格を持つ集団が、本来の弁護士法を遵守せず、自らの利益を追求する集団に成り下がっていることも大きな問題です。

■さて、東京新聞の当該記事を見てみましょう。

**********東京新聞2020年11月6日
ZIP ⇒ 20201106imjoxp.zip
【こちら特報部】持続化給付金不正受給者の相談殺到
弁護士同行の自首支援 人助けか ビジネスか

 「弁護士が同行します」「助けたい」。こんな言葉で自首を促す弁護士が増えている。呼ぴ掛けている相手は持続化給付金の不正受給者。軽い気持ちで金を受け取り、逮捕されるのでは、とおびえている人たちだ。関係機関には今、相談が殺到している。確かに自首すれば罪は軽くなる可能性が高い。弁護士の支援は心強いだろう。気になるのはそのお値段だ。数十万円を掲げる事務所もある。自主支援は人助けか、ビジネスか。(大野孝志、中沢佳子)

知人男性の指示で持続化給付金を申請した経緯を話す女性=静岡県で
 「軽率ですね」。 静岡県内で飲食店を経営する三十代男性は語る。従業員の二十代女性が、 持続化給付金を虚偽申請したのだ。女性は本紙東海本社の取材には「ばかなことをした」と答えている。
 女性は知人男性から会員制交流サイト(SNS)や電話で「二十万円もらえるから」と持ち掛けられた。給付された百万円のうち、知人男性と会計事務所の取り分として八十万円が抜かれ、手にしたのは二十万円。経営者男性は「地元で不正受給をあっせんしているヤツらがいる」と明かす。
 持続化給付金は新型コロナで影響を受けた個人や中小の事業者が対象。売り上げが前年同月比で50%以上減った月があることなどが条件で、個人で最大百万円、中小なら同二百万円が給付される。
 ネットで申請できる手軽さからか、四日現在、全国で三百六十九万件、約四兆八千億円が支給されている。その中に多くの不正受給があることが分かり、社会問題になっている。
 目立つのは、過去の売り上げを偽ったり、SNSなどで勧誘された受給資格のない人が偽って申請したりするケース。仲介者がうその書類を作らせ、高額な手数料を請求する例もある。素早く支給するため、審査を簡略にしたところを突かれた格好だ。
 国民生活センターによると詐欺が疑われる相談が、十月末までに約八百件。七月から増え、 二十代だけで六割、大学生が三割弱を占める。警察庁によると、全国の警察にも約二千件の相談が寄せられている。
 不正受給は「出来心」では済まない。詐欺罪に当たる恐れがあり、逮捕される人も相次いでいる。さらに延滞金や加算金を加えて国に金を返す必要もある。中小企業庁には、不正の疑いがある例や申請ミスを含め七百五十一件、七億九千万円が返還された。さらに五千三百件近い申し出がある。
 梶山弘志経済産業相は記者会見で、同庁の調査前に返還を申し出れば、加算金を課さない考えを示した。担当者は「加算金を加えて返させた例は一例もないが、調査中の件はたくさんある。警察にも情報提供している」と明かす。
 これだけ多くの人が「犯罪に手を染めたのでは…」と不安にかられているということだ。そしてネット上に、「逮捕を避けるため、自首を支援する」という弁護士事務所のサイトが続々と登場している。
 その一人、上原幹夫弁護士は八月中旬以降、四十件ほどの相談を受けた。「自首すれば被害を早く回復でき、不正を犯した人も早く立ち直れる。若い人も多く、早く更生すれば人生をやり直せる」。依頼者との相談で自首するべき犯罪に当たると判断すれば、上申書の書き方を指導し、自首に同行することもある。
 もちろんタダではない。上原さんは「報酬額は明かせないが、ビジネスでやっているわけではない」と語る。通常の弁護活動よりは安く設定しているという。
高い報酬には疑問も
目立つ若者■SNSで誘われ■コロナで正当化
詐欺罪の可能性、返金なら起訴猶予か


持続化給付金の不正受給をした人に返金を呼び掛ける経産省のチラシ=消費者庁提供

持続化給付金を所管する経済産業省=東京・霞が関で
 その費用だが、 さまざまなサイトを見ていくと、弁護士が自首に同行した場合、二十万~五十万円程度を示しているものが多い。そんな金を払えるのだろうか。前出の上原さんは「相談だけで依頼に至らない人が六割ほど。子の不正に気付いた親の依頼なら、親から報酬を受ける」と語る。
 自首支援に冷めた目を向ける人もいる。「合理的な報酬額なら問題ない。ただ、自首を支援するとしてあまりに高額を求めるのは疑問だ」。こう語る小林正和弁護士は一、二日の付き添いをしただけで弁護士が百万円の報酬を請求した例を耳にしたという。小林さんは「そこまで行くと、ぼったくり」と指摘する。
 そもそも百万円の公金をだまし取ると、どれほどの罪になるのだろうか。
 「通常の詐欺の一・五倍増しぐらいの感覚」。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士はこう話す。
 持続化給付金の不正受給は詐欺罪に該当する可能性が高い。最高で懲役十年の重い罪。もちろん、だまし取った金額やだました相手が何人かなどで、実際の刑は変わる。だが、同じ額でも出所が公金ならより刑は重くなるということだ。
 若狭さんは「詐欺額が百万円の場合、三十代以上なら懲役三年ぐらいのところ。若年なら一年六カ月から二年。執行猶予もつく」と量刑の相場観を説明する。
 では自首すると、それがどう変わるのか。ちなみに自首とは、捜査当局が容疑者と特定していない段隋で自ら出頭すること。「怪しい」とにらまれてからでは、もう遅い。
 弁護士などが付き添って自首し、不正申請の書類など証拠を持参し、本人が取り調べで容疑を認める。そうすれば効果は絶大だと若狭さんは語る。若者ならいっそう扱いはよくなる。
 「逃げたり、証拠を隠したりする恐れがないと判断されれば、逮捕されずに在宅での調べで済む可能性がある。お金を返せば起訴猶予もあり得る。返せなくても執行猶予の付いた懲役十月から一年ぐらいの刑で済むのではないか」
 とはいえ、明々白々な犯罪に、なぜ多くの若者が手を出したのか。
 若者文化研究所の西村美東士(みとし)所長は、まだ社会に出ていない若者が不正に手を 染めた根底に、ごく身近な「世間」の中で生き、おかしいことにノーと言えない 人間関係が絡んでいると分析する。「『世間』という、狭い同質・同調集団の中では物の見方が主観的になる。広い社会で客観的に自分の立ち位置を考える視野が持てない」。だから、不正受給に誘われた時に、それが社会に歯向かう行為だと気付くことができず、「もらえるのなら…」と軽く考えてしまうという。
 西村さんは「 若者には、カルチャーショックを与えてくれる『異質の他者』と出会い、社会に目を広げる機会が必要」と語る。
 一方、犯罪心理に詳しい立正大の小宮信夫教授(犯罪学)は「手っ取り早く稼げる闇バイ のようなものという認識はあっただろう。SNSを介していれば足がつきにくいという思い込みも根強い」とみる。
 さらに、コロナ禍を言い訳に、罪悪感を中和する思考も働いたと見る。「自粛ムードで楽しいことができず、バイトも減った。政府の対応がまずいからだという心理だ。自分は被害者だから補償として金を受け取ってもいい、と自己正当化しやすかったのでは」
 そして今、「自首」が相次いでいる。不正受給を悔いているのだろうか。小宮さんは「逃げるのと名乗り出るのと、どちらがダメージが小さいか損得勘定したのだろう。犯罪勧誘と同じように、『自首すれば罪が軽くなる』なんて情報が、SNSで広がっているのかもしれない」と厳しい見方をする。
【デスクメモ】
 ある弁護士の話。自己破産の相談を受けた時、まず相手の手持ちの金を確認する。裁判所への実費と自分の取り分で三十万円は必要とか。金のない人には夜逃げを勧め、金ができたらもう一度来るよう話す。仕方ないのだろうが釈然としなかった。自主支援の話でなぜか思い出した。(裕)2020・11・6
**********

■弁護士の役割における問題点として、「利益相反」が挙げられます。紛争などで相談事がある場合、弁護士事務所のドアを叩くと、必ず弁護士に、紛争の相手方の名前等を聞かれます。法律的なアドバイスのみでよいのに、なぜ相手方の情報を言わないといけないのかというと、弁護士の利益相反行為が禁止されているからです。

 「利益相反」とは、一方の当事者の利益になる行為をすることが、もう一方の当事者の不利益になる状態をいいます。弁護士法25条には、弁護士が職務を行うことができない事件が列挙されています。それによると、弁護士が相談を受けたり、依頼を受けたりした場合には、同じ事件の相手方からの依頼を受けることができないことになっています。別の事件であっても、すでに受任している事件の依頼者の同意がなければ依頼を受けることができません。もし依頼者とその相手方の双方に同じ弁護士が就けば、依頼者の利益を守ることは困難になりますので、このような行為は禁止されています。

 利益相反の規定は、同じ弁護士法人に所属する弁護士や、過去に所属していた弁護士についても適用されます。当事務所は複数の弁護士が所属している弁護士法人ですので、この規定に服することになります。さらに弁護士職務基本規程28条では、相手方と弁護士との間に特別な関係があるときは、依頼者の同意があるときなどの例外を除いて、弁護士が職務を行ってならないと定めています。弁護士と相手方に血縁関係がある場合や、継続的な顧問関係がある場合がこれに当たります。

■多くの弁護士は、企業や自治体の顧問弁護士を兼務しています。そのため、行政事件では住民側の弁護を引き受ける弁護士は極めて少なくのです。なぜなら、その時点では自治体の顧問弁護士を引き受けていなくても、住民側の弁護を引き受けると、将来的に行政側から弁護の依頼が来なくなるという懸念があるため、及び腰になるためです。

 日弁連が利益相反行為の禁止をうたうのであれば、行政の顧問弁護士となっている弁護士は、「行政事件にかかる住民訴訟の弁護の依頼は引き受けられません」とはっきりと公表しなければなりません。しかし現実は、顧客の守秘義務とやらで、公表しないことを正当化しているのです。

■上記の記事でも、警察に自首する際に弁護士が同行しただけで20万円から50万円を請求されるとあります。

 筆者のこれまでの経験では、弁護士報酬については、行政事件の場合、1件当たり着手金が30万円というので相場です。一方、行政側に対しては1件当たり着手金は20万円が相場です。

 法律相談の結果、弁護士に事件処理を依頼するには、委任契約書を作成して委任契約を締結します。通常、弁護士は法律事務所の看板を掲げているため、法人の形態をとっていることが殆どなので、委任契約は依頼人と事務所法人との間で締結することになります。

 弁護士が事件処理を行うための費用として、着手金と報酬が必要になります。着手金は、弁護士が事件処理を行うことに対する費用であり、結果の成功・不成功にかかわらず、返金されません。これに対して、報酬とは、結果の成功に対する費用になりますので、結果が成功となった場合にのみ必要となります。

■筆者もかつて、日刊スポーツの朝日新聞グループ専用ゴルフ場開発にかかる環境アセスメントの写しの交付を巡る情報非開示処分取消訴訟や、安中市土地開発公社の51億円事件にかかる歴代幹部の責任追及のための損害賠償請求訴訟のころは、弁護士費用を支払って、訴訟代理人を依頼したことがありました。また、勝訴に有効だからとして有名な大学の先生に意見書を書いてもらうために50万円が必要だとする弁護士のアドバイスを受け入れたこともあります。

 こうして、何度か弁護士を信じて委託して住民訴訟を行いましたが、ことごとく敗訴しました。そのため、その後、現在に至るまで、住民訴訟は本人訴訟で行うことにしており、市民オンブズマ群馬でも、その方針を貫いております。

■持続化給付金の不正受給をした皆さん、自首のため警察に出頭するときに弁護士を同行させても、何の役にも立ちません。自分で行けば、余計な手間や出費が防げるうえに、警察の対応がどういうものか、実際に肌で感じることができ、今後の人生のリセットにもきっと役立ちます。

 人の弱みに付け込んで法外な報酬をふっかけてくる不良ないし悪徳弁護士には十分注意が必要です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【出張!オンブズマン】地域... | トップ | 【スラグまみれの群馬県】有... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

不良弁護士問題」カテゴリの最新記事